でこ・れーしょんっ!
作者: 夏姫 みの  [Home]   2010年10月11日(月) 14時30分47秒公開   ID:CWWU7A72x.k
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 帰り。私は友達と途中で別れて一人で帰ってると衝撃のシーンをみてしまった。




それは……。




「付き合ってください!!」



 なんという告白のシーンに遭遇!! 私は恥ずかしくて即座に後ろを向いたから、相手の顔とか見えないけど。なんか映画に出てきそうなダイナミック告白だ。告白した人は誰?!




川上かわうえさん……」




 ……? 星の声? そして川上さんって、まさか……。
 私はドキドキと少しの緊張感と勇気をもって、そーっと石の壁から見た。すると引っ越したはずの川上さんと星がいた。




「嫌だ」と思ってる自分がいる。
「お似合いだ」と思っている自分もいる。






なんで?




どうして?





「べ、別に付き合ったっていいじゃん。あの二人」





 私は石の壁から振り向いてボソッと言う。二人には聞こえてないようだ。でも自分に自分でウソをついてる気がした。






そんなの、わかってる。








自分にもウソついてはいけないのは、わかってる。









わかっている、よ……。









 頭が真っ白になりながらも、状況が飲み込めないでいても気持ちは複雑だ。
 涙を流しそうだけど、私は石の壁から二人をもう一度見た。そして星は口をあけた。





「川上さん、正直言うけど……。ごめん、君とは付き合えない」





 その星の言葉を聞いたとき、私はホッとしたような気持ちのほうが大きかった。モヤモヤがスッキリ片付いたっていう感じ。
 そして星は続ける。川上さんは黙り込んでる様子だ。


「川上さんは人間的にも、とってもいい人だし僕もあこがれてた。でも僕は君を恋愛対象としては見られない」


 星は悲しげに言う。これは星も川上さんも……見ている私も非常に辛い状況だった。
 星は告白を断る時点で、川上さんを傷つけたかもしれないって思ってるかもだし。
 ましてや川上さんも告白を断られて、この場所に立っているのが辛いだろうし。


「でもね二人っきりだから、こーゆー機会でお礼だけはいいたい」


 星は真剣なまなざしで言う。すごく星はキリッとしている。しばらく間を空けて星は続けた。


「欄とのデコ勝負のとき……僕は君からヒントをもらった」
「?」


 ヒント……? 私とのデコ勝負のとき? 川上さんが? と頭が真っ白な状態でも疑問ばかりが浮かび上がる。



「川上さんは気づいて無いようだけど、その青いタータンチェックのハートのキーホルダー。あれでチェックデコに挑戦しよう、って気持ちになれた」


 星は少し微笑んで言う。



「君とは付き合えない。けど川上さんは人間的に僕の尊敬する女性の一人、ということで」
「うん……」



らんにも、川上さんの人間的なところ見習ってほしいしね」




 なっ……!! 超余計なお世話なんだけど!! と言いたいけど言えない。だって言ったら告白聞いてたことバレるし。


「そっか……。水野みずのくんは、もしかして石井いしいさんが好きなんだね?
「え? そんな……」


 えっ!? 星が私のことを……? 川上さん、何言ってるのーーーー?!?!



「私はいいの。私は自分の想いを伝えられて満足したし、ここに来た最大の理由だから。それを果たせてよかった。石井さんにも、よろしくと言っておいてね?」



 川上さん……なんだか綺麗に見える。川上さんは引っ越して、すごく変わった。確かに星が尊敬するのもわかる。



「わかった。じゃあね」
「うん」



 二人のやり取りは終わったらしい。モチロン、このことは内緒。





自分だけの秘密。いくら大好きな姉でも言えない、秘密。





さ、そろそろ私も星を呼び止めるか。




せいー!」
「ら、欄!!」
「どうしたの? こんなトコで」
「いや……ちょっとね」

 星は少し赤くなる。ははーん、やっぱり告白されて嬉しかったんだな。きっと。隠したって全部見てたけどね。
 でも私はわざと知らないフリをする。



「そういやココに来るまで話し声が聞こえたけど……誰だったの?」



 答えはわかってるけど知らないフリ。



川上かわうえさん。ほら、引っ越したでしょ? あの時」
「あー。でも今日は平日だよ? ……まさか学校サボったとか……


 そこは少し謎だった。今日は水曜日で平日。学校がある日。


「いや、今日は学校の創立記念日なんだって。転校してきて、いきなり休みだったよーって言ってた」
「ふぅん……」


 あー納得した。サボったかと思った。星に告白するだけの理由でわざわざ……。



「でも、告白って勇気あるよね。あの子を見習いたいと僕も思うよ」
「ふーん」


 私はツーンと冷たく返した。いつもとちょっと違って。






「好きだよ」






はぁぁぁぁあああ!!!!????





「……何それ、冗談?」




 ちょっとクスッと笑って返す。




「冗談、だったらいいけどねー」
「冗談じゃないの!?」




もう!! 星なんて……









だいっきらい!!







と、ココロの中で言ったとき







「欄、好きだよ。冗談抜きで」







 本気な、真剣な目で言われた。……冗談じゃないのがわかる。




「私も……す、好き……?」




 わーーーーーーっ!!!!!!!! なんかハテナマーク付けたよ!! なにこれ!! 台無しじゃんっ!!!
 でも気づいてな、いらしい……?




「ホント、に?」




 気づいてない、よかったー……と少しホッとする。
そして星の問いかけにコクリとうなずく。今の私、本当に顔が真っ赤なんだろうな。少し恥ずかしい。

















「じゃあ、両思いってことだね」

















 ニコニコと笑顔で星は言う。そのとき私は嬉しい気持ちで、いっぱいだった。










何故かは、わからないけど。










さっきまでのモヤモヤが一瞬にしてウソになった気がする。









そんな瞬間だった。








――私と星の恋はいつか、ハート型のラインストーンみたいにキラキラと






一生輝き続けるだろう、ね――……。







End




⇒To Be Continued...

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