どれCry Lovers? 千里の道も一歩から! | |
作者: なぁび 2009年09月11日(金) 00時08分42秒公開 ID:sw0xlSukK4E | |
思えばその頃だったのだ。 何かが美津子の中で変わり始めたのは。 もうすでに千里の中では気持ちは固まっていた。 次の日から忠実な犬として、いつも彼は傍にいた。 「カバン持って」 「肩もんで」 「ジュース買ってきて」 どんな命令でもちゃんと彼はこなした。きっと足をお舐めなさいといっても舐めくれるだろう。 あまりにも忠実すぎる犬に、美津子は何度問いたくなったことか。 ――なんでそこまでして私のそばにいる? それでも問えなかったのは、変な感情が生まれていたからだった。 “聞いたら変に意識しているみたいじゃない” 彼に聞いてもそんなことはお構いなしになんか理由を答えてくれるだろうが、周りの目が気になる。あくまでも自分は生徒会長、生徒の代表なのだ。 そんな折だった。 「あのさぁ、咲島って…なんでそんなに忠実にご主人様に従えるの?」 会議中、美津子が最も気になっていることを千里の友達が聞いた。 もちろん、千里の隣には生徒会長の美津子もいた。 「忠実に従うって…まぁ、それなりに理由はある、けど…」 それを聞かれて千里はなぜか口ごもった。 「それなりに理由? なんだよ、言ってみろよ」 たしかに、今日は残れる人だけ仕事をしていたから現在生徒会室に人は少ない。 「えー、なんでお前に言わなきゃダメなのさー」 「気になるからに決まってんだろ! お前って昔からMっぽい感じはあったけどさ」 「昔からって、お前と会ったの高校に入ってからだぞ」 「んなのいいからさっさと教えるんだ千里くん。このこの」 ふざけ半分で千里に抱きつく。千里はしばらく床を見つめた後、ごもごもと話し始める。 「…不純な理由で悪いけど、僕生徒会入る気全くなかったんだ。でも入りたくなった。あの瞬間に」 ――入る気なかった? だったら入らなくても…。 そう、言いかけた時だった。 「だって、立候補したんだもん。ずっと、好きだったあの人が。しかも生徒会長になっちゃって。少しでも傍にいれるなら、って思って僕は立候補した」 「好きだったあの人…? って」 自然にみんなの視線が美津子に集まった。 『生徒会長?!』 ⇒To Be Continued... |
|
■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集 |