どれCry Lovers? 千里の道も一歩から! 
作者: なぁび   2009年09月11日(金) 00時08分42秒公開   ID:sw0xlSukK4E
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 家族全員(+居候)での食事を終え、家族だんらんタイムに入る。


 気を利かせて、修と隼人は出て行ったようだ。



 「瑠姫にはおっきなぬいぐるみ、ハルにはお菓子の詰め合わせ、李玖にはミステリー全集、緋月にはビーフジャーキー…」


 子供たちには・・笑顔で買って来たお土産を配る千里。にこにこと笑みを浮かべ、本当に嬉しそうだ。


 「…私には、ないのかしら?」
 「え、ええ、え、もちろんあるさ! ほら、頼まれていたケーキだよ!」


 今日は二人の結婚記念日、ということで千里は帰宅していた。
 が、妻・美津子の顔を見るなりさっさと帰りたい衝動に駆られる。



 ――なんで、好きになったんだろうな…。



 子供たちに会えるのはすごく嬉しい。1年に2回以上は帰って来ているはずなのに、会うたびに成長しているような気がする。



 「あーそういえばさぁ、私、お父さんとお母さんに聞きたいことがあったんだ」


 不意に真面目な顔をして瑠姫が言った。


 「あ、僕も僕も! 前から気になることがあって」
 「俺も。この際だから、聞いていい?」
 「んじゃー俺もー」

 
 すると、弟たちも一斉に言い始める。


 「ん? それはなんだい?」


 千里が子供たちには・・笑顔で聞いた。





 『お父さんとお母さんは、どうやって付き合い始めたの?』




 4人同時に聞かれても。タイミングも何もかもピッタリだった。


 「え?」

 「学校は同じだったとしても、お母さんみたいな人がお父さんに興味なんか示してくれそうにないし」
 「共通点がないっていうか?」
 「こー…何でつながったのかなーと思って」
 「馴れ初めが気になってたんだよねぇ」

 何を思ったか、美津子はにっこりと微笑む。

 「そう。そんなに気になる?」


 『気になるから聞いてるんじゃん(だよ)』


 またも4人同時だ。美津子は千里の方に向き直る。


 「じゃあ話してあげましょうか? この子たちに」
 「そ、そうだね。じゃあ君が…」


 逃げ出そうとする千里の腕を掴むと、顔をこれでもかというくらいに近づけ


 「貴方が話してくれるわよねぇ」


 と、笑顔で言った。

 いや、子供たちビジョンで見れば、笑いながら説明を求める母の美津子。
 視点を変えて、千里ビジョンで見れば、笑顔、ではなくまるで般若のような顔つきで、背後には殺気立つオーラがこれでもかと立っていた。

 しかも子供たちに見えないところで、さりげに千里の尻をつねっているから逃げるに逃げられない。



 「…ね!」



 最後のとどめに地獄が見えた千里。


 椅子に戻り、マグカップを握りしめ観念したように


 「…はい、分かりました…」


 「「やった!」」


 遥と緋月が声を上げた。


 「僕たちの出会いはね…」


 嫌々といった感じだったが、懐かしむように千里は話し始めた。







⇒To Be Continued...

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