ジュエルプリンセス+12 天使と叶氣。
作者: 夏姫 みの  [Home]   2010年08月27日(金) 16時47分09秒公開   ID:pKbqOpuK9mo
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 それは、ちょうど今の夏の暑い日のこと。


「……つまんない」


 まだ小学一年生にあがったばっかりの叶氣かなきはベッドで一人言う。


「おとーさんとおかーさん かえってきてくれない。いっしょに あそぶじかんもないし つまんない」


 天井に向かって言っても、何も起こらないのはわかっているのだ。


「いつになったら いっしょにあそべるんだろ?」




とつぶやいた、その夜。
 夕飯の後、ふっと白いものが叶氣を横切った。


「ごちそうさま。……あ!! みて!! みてみてっ!! てんしさんがいるっ!!


 叶氣の目に、映ったのは白い羽で優しそうな笑顔を浮かべた天使みたいなものだった。


「天使? 叶氣のことを見守ってるのね」


 叶氣の母が、叶氣の頭を撫でながら言う。


「みまもる?」
「そう。天使っていうのはね、大人になるにつれて見えなくなるっていうの。幽霊とか見える人は見えるらしいけど……」
「ゆうれいっ!? てんしさんも ゆうれいなの?!」
「天使は幽霊じゃないよ。天使は叶氣のそばにずっといるの。叶氣が天使みたいな心を持っているまではね」


 叶氣は「ふーん」と言って返した。少々、意味がわからなかったようだ。


「さ、自分の部屋に戻りましょう」
「うん!」





⇒To Be Continued...

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