愛という名の正義の果てに 最終章 〜不幸天使の降臨〜 | |
作者: なぁび 2009年06月08日(月) 22時58分59秒公開 ID:/dxzQ0Wmf36 | |
「今日の仕事はこのくらいでしょうか」 生徒会長の有紀はプリントを束ね、伸びをした。 プリントと議事録を担当の先生に提出し、有紀は雨の降る外へと出た。 「雨は嫌ですよね。折りたたみ傘を持ってきてよかったです」 「そこまでよ。未来人、お尋ねもの、空上 有紀?」 「――…え?」 頭上から、不意に声がした。有紀が上を向くと、そこには…? 「て、て、天使?」 「半分正解、半分はずれよ」 そこには、禍々しいオーラを放つ、天使がいた。 いや、正確に言えば天使ではない。 羽はだいぶ灰色がかっており、お世辞にもきれいとは言えない。そのうえ漆黒の瞳や長髪、黒い装束。 悪魔だ。 その悪魔が放つオーラによって、有紀はその場から一歩も動けずにいた。 「こんにちは、有紀くん。私は不幸天使ルーナ。一応天使の血は引いてるけど、私は人を幸せには出来ないの」 「ふ、不幸天使ルーナ…?」 「えぇ。あなたは未来人よね?本当は消滅の運命にあった…」 ルーナの瞳には、これっぽっちの光もない。 「でも今はその運命は狂ったの。なぜだか分かるわよね?…姫様が殺され、本当に消えるはずだったはずの人がそのおかげで消えるという運命を免れたから」 ふっとルーナは不敵な笑みを浮かべる。 「でもね、人を殺した未来人がこの世に残っていられると思うの?今までのことを思い出してみなさい?」 ルーナはきっとこのことを言っているのだろう。 消えるという運命を免れた陽、桃奈も結局は同じ運命をたどってしまったと。 「だからね、貴方は時空のお尋ねもの。つまりはこの世に必要ないのよ。あの消えていった未来人のようにね!」 いつの間にか、有紀が持っていたのは、緑の折りたたみ傘ではなく…これまで未来人を殺した――…大きな鎌。 「私が殺してあげようか?それとも自分で自分の命を絶つ?」 「あ…」 無意識のうちに有紀は鎌で自分の命に区切りをつけていた。 「はぁ〜ぁ。バカよね、人間も未来人も!」 結局は、運命を免れたとしても 所詮未来人は未来人 たどる運命は、みんな一緒 でもみんな一緒だから 怖くはないでしょう? |
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