愛という名の正義の果てに 最終章 〜不幸天使の降臨〜 | |
作者: なぁび 2009年06月08日(月) 22時58分59秒公開 ID:/dxzQ0Wmf36 | |
中にはやはり本やファイルといったちょっと難しそうな種類の本などがずらりと並んでいた。 議事録やその時の生徒の個人情報のようなものはさらに奥の厳重に鍵がかかっている金庫の中にあるらしい。 有紀は近くの本棚の「生徒会の歴史」という本を手に取ってみた。 背表紙はだいぶ色褪せていて、ページのほとんどが変色していた。 有紀は1ページ1ページ慎重にめくっていく。 しかしなぜか最初の数十ページはほとんど白紙だった。 「あ、れ…?」 ぺらぺらとページをめくっていくと、やっと文のあるページに辿り着いた。 文のある、といっても真ん中にほんの数行のみ。 “この世に姫様が存在したことをご存じだろうか” このような書き出しで文は始まっていた。 「姫様?」 その瞬間、有紀の頭の中に浮かんできたのは、さっきの肖像画。 宝石の姫様――すなわち、ジュエルプリンセス? “その姫様はもうこの世には存在しない なぜなら愛する者の手によって殺されたのだから しかしその恋人も今ではこの世に存在しない その者も――殺されてしまったのだから” 「姫様が殺され、その人もまた…?」 “その者の名は――…” いつの間にか少し開いていた窓から風が入り込み、その風が有紀の持っている本のページをめくった。 “その者の名は 空上 桃奈” その瞬間、いつの間にか抹消されていたいつかの記憶が、有紀の頭の中にフラッシュバックした。 草柳 叶氣 日向 陽 それらはみな、生徒会長だった――…!! かたん… 後ろからした、小さな物音…。 振り返ると、そこにあったのは? やはり、大きな鎌 刃の部分についている血は、今まで何人もの未来人を殺してきたであろう証拠にほかならない。 「僕が、歴史の創始者になればいいんですね?」 有紀は虚空に問う。 なんとなく、さっきの声が、頷いてくれたような気がした。 目をゆっくり閉じて、開けると、そこは見慣れた洋館の中の玄関ホールだった。 この洋館は、今までいくつもの未来人が戦争や、争い事で使っていたんだ。 有紀は夜明けを待った。 ⇒To Be Continued... |
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