ジュエルプリンセスMiracle 第9話 失った記憶
作者: 夏姫 みの   2010年02月28日(日) 15時27分13秒公開   ID:bkWoewa3Plc
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「んーーーーっ!! このクッキー最高っ!!!! 桃奈ももな先輩が作ったんだね! この味、このサクサク感、本当にたまらな〜〜〜〜い!!!!!!!!」



グルメリポーターみたいな詩羽しうの声が部屋中に響く。ココは五十嵐いがらし家だ。

「詩羽、うるさい。読書のジャマをしない…」
「だーって、おいしいんだもん!! なんで、お兄ちゃんは読書なんだろうねー。私は不思議すぎるんだけど」

 詩羽はしゅうの読んでる本の表紙を見る。題名は英語で詩羽には読めない。そして中身も英語の文章だ。秀はいつも同じ場所の木の椅子で無口で静かに読んでいるが、詩羽はテレビを見たりしている。

「世の中には読書家もいる。不思議ではない」

本を読みながら秀は言う。詩羽はクッキーを一つほおばる。

「まあ、それはそれでいいけどさぁ。そんなことより日向ひなた先輩は、どーしてるかなぁ? 気になんない?」

秀は本をパタンと閉じて、読書を中断した。

「僕も少し気になっている。でもコレだけでは手がかりが少ない」

秀は無表情で冷静に言うが、詩羽はテレビをブチッと消した。

「だーよねぇー。でも気になるんだって!! 鳴課なるかとかいう女とか、どーも怪しいし。そーれにさぁ、日向先輩とか家にいなかったんでしょー? もうヤッバいよ、これ。重症だって!! 事件とかいろんな意味で」

詩羽は秀に、ふざけながらも訴える。秀は

「まあ、詩羽の気持ちもわからなくないが。でも手がかりが少ないし、日向くんや鳴課の場所もわからない」
「証拠ねぇ……。証拠……。!!!!!! 詩羽たん、ひらめいちゃった!!
「え」

また下らないことでもやらかすのかと、秀は飽きれながら思った。



「あのさっ、お兄ちゃんは鳴課とか言う女の恋人でしょ? だから、その女の良く行く場所とか知らないっ?」



詩羽は瞳をキラキラ輝かせて言う。秀は少し考える。

「確か……ブラックローズ学園の旧校舎だと思う。今は、あまり使われて無いけどブラックローズ学園の歴史とか、難しい本とかいろいろ並べてある場所。それより、僕と鳴課は恋人じゃない。ただの幼馴染…

恋人だねっ。よしっ! 鳴課という女とお兄ちゃんは恋人!! というわけで、愛する恋人を探しましょーっ!! 恋人だったらそれぐらいするんだよっ。男は女を両手で守るって言うしさっ! ザ・恋人探しに、ブラックローズ学園旧校舎にれっつらごーっ!!!!
「はぁ……」

詩羽は張り切っているが、秀はため息をついた。
そして五十嵐兄妹は、手始めにブラックローズ学園の旧校舎へと行ったのだった。













そこにはとんでもない悪夢が待ち受けていたと言うのは、まだ先の話である。








⇒To Be Continued...

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