ジュエルプリンセスMiracle 第9話 失った記憶
作者: 夏姫 みの   2010年02月28日(日) 15時27分13秒公開   ID:bkWoewa3Plc
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その頃、空上姉弟そらかみきょうだいは――。


「姉さん。ピーチティーを持ってきましたよ」
「そう。ありがとう」

 誰もいないリビングのソファーに座っていた桃奈ももなは、やんわりとした笑みを浮かべる。有紀ゆうきも釣られて笑顔になる。そして桃奈の隣に座る。
 ちなみにピーチティーは桃奈の大好きな飲み物で、ほぼ毎日飲んでいる。ちなみに同じピーチティーでも味が違うのは嫌らしく、どうもこの味しか飲まない。それなりにピーチティーにこだわっている。

「珍しく大人しいですね」
「ええ。なんか嫌な予感がしてきまして。とにかく不安なのですわ。特に姫様プリンセス日向ひなたくんが」

桃奈は不安そうに言う。有紀も

「そうですね。僕も不安です。あの二人が」

と言う。桃奈は紅茶をすする。そしてティーカップを置く。

「手がかりは黒バラと鳴課なるかさん。それと過去の出来事。でも日向くんを使って何を仕掛けてくるのでしょう……。不気味ですわね」
「姉さんの時もそうでしたよ。同じようなこと」
「え。そうだったんですの?」

 桃奈は、あの出来事……自分が操られてたことを知らないのだ。有紀たちは知っているが、桃奈には時間が飛んだ感じだと思える。

「鳴課さんに連れ去られて……でも何故姉さんを連れ去ったのか、わからないんです。姉さんは操られたんですけど、このリボンのおかげで新しいジュエリーチェンジが出来るようになったんですよ」
「!! 有紀、いつの間に!!」

有紀は笑顔だが、桃奈は有紀のだした透明のリボンをみて驚く。

「これって、私がいつも見につけていたリボンじゃないの」
「はい。これのおかげです」

有紀は微笑む。桃奈も微笑む。

「あ。でもこれは姉さんに返しますよ。はい」
「……いいえ。返さなくても大丈夫ですわ。有紀のジュエリーチェンジのお手伝いをしてくれた大切なモノなのですから」

有紀は驚く。桃奈の大事なものを自分がもらうのだから。

「本当に、こんな大切なものをいいのですか?」
「ええ。このリボン、小さい時の有紀にコレを渡すと、不思議そうに見るのですわ。可愛かったわ〜〜♪」
「へ、へぇ……」
「とにかく、これは有紀のもの。大事にするのですわ」

 桃奈はキッパリと言うと、ピーチティーを飲んだ。その時の味は、いつもより一段と美味しいと思った桃奈であった。





⇒To Be Continued...

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