フェアリーテイル 第16話 魔法と呪文と保健室 | |
作者: モモ 2010年03月11日(木) 21時39分36秒公開 ID:.YGsdf.9cjE | |
「やっぱりここと居たか。」 また保健室のドアが開いたのは、あれから2時間経った5時。 「唯、唯、起きろ〜、帰るぞ〜。」 保健室に入ってきた一瞬大人と間違うくらいしっかりした姿の男の子は、ベットに寄りかかって寝ている唯を揺さぶっている。 「しょうがないな〜。俺がベットまで運ぶか。」 男の子は唯を椅子から持ち上げてお姫様抱っこをする。 抱いた際に唯の制服のスカートのポケットに一瞬手を入れた。 「さて、帰りますか。」 男の子がドアを開けて保健室から出ようとしたとき、 「んっん…」 唯が目を覚ました。 「あれ、前にいるのは日向…って、えっ!?」 唯は日向にお姫様抱っこされていることに気がついて、顔を真っ赤に染めた。 「ななななななんで、日向がここに!?ていうかこの状態どうにかしてっ!!おろして!!」 唯がじたばたすると、日向は平然とした顔で答えた。 「なんでって、家に行ってもいなかったから。探しに来たんだよ。」 「どうして探しに来る必要があるわけっ」 必死に抵抗しながら、日向に聞く。 「どうしてって、そりゃあ心配だから。」 「別に関係ないじゃんっ。」 「はいはい、どれだけ抵抗しても無駄です。早くお家に帰りましょー」 「私を小学生の子供みたいに扱わないで。」 唯は諦めた様子で、日向のことをじっと睨んでいる。 「そんな怖い顔、唯には似合わないよ。ほら笑って…」 「あら、お姉様。放課後の保健室で何をやってらっしゃるの?」 そんな変な会話の途中で、翼の生えたメイドっぽい衣装の少女がドアから入ってきた。 「誰?」 唯はもう「これ以上の面倒な事はお断りします」な目でその少女を見ている。 「お姉様、 (本当に誰?) 唯は本当に誰だか分かっていない。 「こんないいシュチュエーション、そうそうないですけれど、そういうことお姉様がするのは少し早いかと…」 少女は頬に手を当てて恥ずかしそうな顔をしている。 そして軽くバカにしている。 「べ、別にそういうことしてるんじゃないんだけどっ//」 唯はバカにされてムカついている。 「まぁいいですわ。それとお母様。」 「え、お母様…?」 「そこで何をやっていらっしゃるのです?」 少女は唯を抱いている日向を指差す。 「何言ってるの?この人は日向だよ?」 「この人はお母様ですわよ。」 少女がそういうと、日向が「ちっ」と舌打ちして唯を降ろした。 「…ひなた?」 日向が何か呪文を唱えると、周りが少しけむりっぽくなって、数秒後に中から違う人物が出てきた。 黒百合学園の学園長だ。 「えっ、どういうこと!?何かのマジック!?」 「お姉様は本当に分かっていらっしゃらないのね。この人はお母様ですわよ。」 少女は呆れたという様な顔をしてかぶりをふる。 「黒百合学園の学園長さん、お母様って…。もしかして…」 「やっと思い出してくださいました?」 キラキラとした目で唯を見ている。 「えっとえっとぉ、どっかで見たことあるんだけど、確か黒百合学園。」 「そうそう。それで…」 「前に対決したことがあって…、」 「そうですわ、もう少し、」 少し真面目な顔で考えるとひらめいた!というような顔をして、 「……わかった!メイドさんだ!!」 と言った。 「お姉様ふざけてますの!?」 「いや、ちっともふざけてないんだけど…。」 少女と唯は言い争っている。 「もうそれくらいにしたら?」 それを止めたのは学園長。 「お母様…、だってお姉様がひどいんですもの!」 「別にいいじゃない、優。」 「ゆ、う…?」 唯は何か思い当たったことがあるような顔をして、数秒考えるとまたひらめいた!の顔をした。 でも、答えが見つかったと同時に違う疑問が浮かんできた。 「あの、黒百合学園の学園長さんが何をしているんですか?」 「確かに、お母様がココにいるのも不思議ですわ。どうしてです?」 優と呼ばれた少女は、自分のことはもうどうでもいいように、お母様と呼んでいる人物に問いかける。 「別に何の理由もないわ。」 「じゃあ、何でお姉様とたわむれてたわけ?」 「それも別に。」 「はっきりしてくださいませ!」 腰に手を当てて怒っている。 「…それより、優。勝手に茉莉紗から届いたもの、開けたでしょ。」 「なんのことかさっぱり分かりませんわ。」 「とぼけても無駄。もう分かっているんだから。」 「だ・か・ら、なんのことかさっぱり分かりませんわ!」 「もういいわ。帰りましょう。」 学園長は優を抱えると、窓から飛び去っていってしまった。 ―Next The 17th story. ⇒To Be Continued... |
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