フェアリーテイル 第16話 魔法と呪文と保健室
作者: モモ   2010年03月11日(木) 21時39分36秒公開   ID:.YGsdf.9cjE
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唯が学校に着いたのは2時ごろ。
だいたいの生徒たちは下校している時間で、普通だったらガーディアンが活動している時間。
周りを見ながら、秋になったばかりで少し涼しい中をゆっくり歩いて、ガールズガーデンの場所にたどり着く。

「みんないるー?」

おそるおそるガーデンの扉を開けると、そこには誰もいない。

「あれ、誰もいない…、ってことはもしかして今日学校休みだった!?」
「本当に誰もいないのかな〜。」

一人ごとを言いながらガーデンの奥に入ると…、
そこには壁にもたれて人形のようになっている遥がいた。

「え…、えっ、ははははるちゃん!?!?」

唯は遥を見つけるとしゃがみこんで話しかける。

「はるちゃん、はるちゃん!!大丈夫!?!?」
「ねぇしっかりして!!!」

涙目になりながら遥のことを揺さぶる。

「誰かっ、誰かいないんですか〜!!!」

唯が思いっきり大きな声で叫ぶと、それを聞いた先生達が走ってきた。

「どうしたんですか?」

最初に来た女の先生が聞く。

「あのっ、ガーデンに来て、ここに来たらはるちゃんが倒れててっ、」

泣きながら先生に説明する。

「分かったわ。取りあえずその子を保健室に運びましょう。」

先生は遥を抱えると保健室の方に向かっていった。


☆ ☆ ☆ ☆


「平沢さんは昏睡状態です。頭を強打しているから絶対安静ね。」

保険医の先生はそう伝えると、

「それと、もう下校時刻とっくに過ぎてるから早く帰りなさいね。」

と言って保健室を出て行った。


「はるちゃん大丈夫なのかな…。」

唯はベットの横の椅子に座って俯いている。

「なにがおきたんだろう…、だれもいないガーデンで…。」

また泣きそうになって、手で顔を覆うと、保健室のドアがキィと音を立てて開いた。

「そうね…、何が起きたのかしら。」

後ろから女の人の声がした。

「えっ」

唯は驚いて後ろを振り向くと、そのままその方を向いている。

「も、望月先生…。」
「どうしてここに」
「さぁ、どうしてでしょうか?」

望月茉莉紗もちづきまりさは唯の横まで来ると、問いかけた。

「どうしてだと思う?敵が来たとか、バットで殴られたとか。」
「敵…、バット…?」

唯は不思議そうに茉莉紗を見ている。

「どうして、そんなこと思うんですか?」
「どうしてだと思う?」
「それに敵とか、どうして先生がそういうこと知ってるんですか?」
「私に問うだけじゃなくて、自分で考えてみたら?思い当たる節があると思うけど。」
「……」

真剣な顔で考えた後、

「…特に何も。」

と言った。

「そう、私にはあなたにここで会う前にも会ったこと、あるんだけどな〜。」

遥の方に顔を戻していた唯は、また思いっきり後ろを振り向く。
冷静になって、

「私は先生に会ったことはないと思います。」

と言う。

「覚えてもらえてなくって残念。」

茉莉紗はドアノブに手をかけると、

「平沢さん、だっけ。その子、明日中に目覚めるわよ。でもどうなっているかは知らないけど…」

と言って、保健室を出て行った。


「先生は何を知っているんだろう…。」

唯はそのまま疲れて寝てしまった。



⇒To Be Continued...

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