愛という名の正義の果てに 〜ジュエルプリンセス なぁび作〜
作者: なぁび   2009年05月23日(土) 16時36分23秒公開   ID:EwcnCl4eQxI
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 「――…ふぅ」
 しばらく使われていないということで何かしら不安はあったものの、ここも快適とまでは言えないが不便でもなかった。

 ――…ここって、だいぶ古く見えるけど、誰かがたまに出入りしてるんじゃないだろうか?

 陽は蛇口をひねってみた。
 水はさすがに…と思っていたが蛇口をひねった途端きれいな水が出た。
 陽は驚いたが一応それで手を洗う。
 
 その時、ふと顔を上げてみると洗面台の上にあった鏡に目がとまる。別に、特に珍しいところはないが、あり得ないものが映っていた。

 「…!?顔が…!」

 陽の顔が、ちょうど顔面だけ映っていなかったのである。かわりに映っていたのは、白い、ノートのページを破ったような――四角い何か
 鏡の前に何か貼ってあるのか?と陽は手をハンカチでふいて鏡に触れてみる。
 しかし、得られたのは、鏡のつるつるとした冷やかな感覚のみ。
 
 「…もしかして鏡の中にあるとか?」

 なわけないよな、と陽が言いかけた時、手がぐにゅりと鏡の中に引き込まれた。
 そして“白い何か”に触れた。
 その直後、手が抜けると同時に陽は仰向けに吹っ飛んだ。後頭部を壁に思いっきりぶつけ、目の前に星が飛んだ。

 「い…イテテ…な、もう、なんなんだ…」

 陽がやっと目を開けると、そこは自分の寝室だった。

 「え?…さ、さっきのって、全部、ゆ、夢?」

 かすかに痛い気のする頭をさすりながら枕元の目ざまし時計に目をやる。
 時刻は午前4時を過ぎた所。

 まだ起きるには早すぎる、と陽はもう一度布団に潜――…ろうとした。

 「ん?なんだ、これ」

 背中の下にあった小さな紙を拾い上げ、陽は言った。
 ランプを付け、内容を確認する。




  “その者、愛する者の手によって死せり”




 「その者って誰だよ…?」




  “未来人はやがて消滅の時やって来たり
   
   なぜ 関係のない私たちまで 消滅せねばならぬ

   消えるのは1人でいい その名は――…”



   宝石の姫様ジュエルプリンセス すなわち草柳 叶氣





 「な…!か、叶氣だけだって?!」

 深夜ということも忘れて陽は叫んだ。
 紙を床に投げつけ、陽はベッドに腰掛ける。
 その時コトッ…とわずかだが音が聞こえた。

 陽は音のした方に視線を向けた。そこにあったのは――…?





 さっきの紙。それから





































 大きな鎌


















 「これで…」

 陽は鎌を持ち上げると、そのまま寝ずに夜明けを待った。

⇒To Be Continued...

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