生徒会Lovers! 第3小節 一時の夢、奏でられるは幻想曲 | |
作者: なぁび 2010年05月04日(火) 04時03分21秒公開 ID:/dxzQ0Wmf36 | |
(……遅いなぁ) とうとう来てしまった、約束の日。 あれから何度かメールを交わして指定されたのはとある大きな公園の前。 周りには喫茶店や可愛い小物を売っている店、夜になるとライトアップされた街並みを一望できる展望台などデートにはうってつけの場所らしい。 デジタルが指し示した時刻は午前9時45分。約束は9時半、すでに過ぎている。 とうの夕人はというと約束の時刻よりも30分も早く来てこの場所で待っていた。朝早く目が覚めた上に家に居ても落ち着かなかったから。 (まあ、迷ってるのかもしれないし行き違いになったら困るよね。もう少し連絡しないで待ってみるか) そう思い、近くの柱に寄り掛かった、その時。 「ごめ、ごめん、なさい……っ、おく、遅れちゃって……っ」 息を切らした奏実が夕人の少し手前で立ち止まりへなへなとその場に崩れ落ちる。 よっぽど急いで来たのだろう。靴ひもはちゃんと結べていないし髪もかなり乱れていた。 「そんなに急がなくても、僕、待ってたのに」 「で、でも……人と、約束、してるのに、そんな、っ私が遅れるなんて、申し訳ないし……」 「と、とりあえず落ち着こう? 少し休んだら行こうね?」 「大丈夫。私、丈夫だけが取り柄だから!」 すぐさま奏実は立ち上がると行こう? と笑顔を見せた。 凄いなぁと内心感心しつつ夕人は奏実の後ろをついてゆく。そういえば場所なんて言われてなかった。 ついたのはプラネタリウム。 大きな文字で「オープン記念! イベント盛りだくさん!」と書いてある。 「あのね、真宙がね、ここの割引券くれたんだ。プラネタリウム、好き?」 「う、うん。星は好きだよ。詳しくはないけど」 まだ空いたばかりのようで人は少なかった。 中へ入ると暖房が利いてて気持ちいい。二人はチケットを買うべく奥へと進む。 「えーと、中学生2枚……」 「学生2枚ですね。お二人さん、カップルですか?」 でしたらクリスマス期間ということでカップル割引が……。 その言葉は二人の耳には届いてないようだった。 暖房が熱いわけじゃない。風邪をひいているわけでもない。 カップル。その一言が妙に恥ずかしくて二人は真っ赤になっていた。 「ち、ち、ち、違いますっ! ただの友達です! 学生2枚お願いしますっ!」 必死に否定する奏実。 受付のお姉さんは驚いた様子で「ご、ごめんなさいね」と謝りながら学生2枚と書かれたチケットを二人に手渡した。 少し移動してやって来たのは「実際に感じてみようわたしたちの太陽系」というコーナー。 何とも名前が小学生の理科の教科書のようだ。 (か、か、か、カップルだなんて、そんな……!) なぜか奏実はさっき言われた「カップル」という一言が妙に気になって仕方がない。 今まで恋愛なんてどうでもいいと思って来た自分がなぜこんなにも悩まなければならない? 「あの、どうしたの? 暑いの?」 「いっ、いや……別に、なんでもないよ。ただ、あのぱっちんどめ、可愛いなぁ、なーんて……」 苦し紛れに奏実が指さしたのはお土産売り場のお姉さんがつけている星のぱっちんどめ。 よく見てみるとここで売っているらしい。 「そうだね」 「じゃあ、行こうか。まずはぐるっと回ろう?」 ⇒To Be Continued... |
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