生徒会的灰かぶり姫 童話の裏側シリーズ
作者: なぁび   2010年04月29日(木) 19時27分11秒公開   ID:/dxzQ0Wmf36
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 「大変大変、大変よみんな!」


 ある日突然お姉さんが部屋に入るなり叫びました。


 「お城で王子様のお嫁選びが開かれるんだって! ……じゃなくて、開かれるそうよ!」
 「あの軟弱王子の?」


 それは禁句ですよおねいさま。


 「でも……それってイッカクセンキン、タマノコシじゃん! ひゃっほー」
 「……あ、あの、スカートでその格好はちょっと」


 ていうか漢字変換くらいしたらどうなんだ……。

 舞踏会ではさっきおねいさまが言った通り、王子様のお嫁さんを決めるのです。
 この国の王子は博識で思いやりもあり、それなりにモテるそうです。

 継母とお姉さんは大はしゃぎでシンデレラに支度をさせました。


 「きれいにしなさいよね」
 「……この髪の毛をどうしろと……」


 時間になり、継母とお姉さんたちは出かけて行きました。
 シンデレラは言われた通り家じゅうの掃除をします。けれども……。


 「私も行きたかったなぁ。けどあんなふりふりのドレスとかハイヒールとかそゆのは嫌だから普段着っぽいのじゃだめ? って聞いたら怒るんだもん」


 後半は聞かなかったことにして。

 悲しくなってシンデレラはしくしく泣きました。
 と、その時不意に背後から声が聞こえました。


 「……泣くのはよせ、シンデレラさん(棒読み)」

 「ちょっ、誰よあんた! 不法侵入で訴えるよ!!」

 「ざけんなただの通りすがりの魔法使い(らしい)だ」


 彼女の前に現れたのは(やる気のない)魔法使いでした。


 「えーと、お前は普段の行いがいいから舞踏会に連れてってやる。ただし俺がやったとかは言うな。最近条例が厳しいからな、国家機密なんだ」
 「? うん、分かった」

 「じゃあまずかぼちゃをひとつ準備してくれ」
 「この前特売の日に買った奴でもいい?」
 「……なんでもいいよもう」


 台所から持って来たかぼちゃを魔法使いが魔法の杖で叩くと立派な馬車に変身しました。


 「おぉぅ、イリュージョン!」
 「次はネズミとトカゲを集めて来い」


 同じように魔法の杖で叩くとネズミは御者に、トカゲはお供の人になりました。
 これにはシンデレラもびっくりです。ってか魔法自体びっくりだわな。


 「私がお供するよっ」
 「あっ、報酬はケーキでいいからね! 舞踏会のご馳走!」

 「……ありがとう。すっごく嬉しい。けど、こんな格好だもんなぁ、」
 「あーすまん。忘れてた。これでいいだろ」


 魔法の杖を一振りするとみすぼらしい服はきれいなドレスに早変わり。彼女の要望でどんなにふりふりではないけど。


 「それで充分だ。で、その魔法は日付が変わると解けてしまう(by魔法全書第6巻より)からそれまでに戻るのを忘れないように」
 「はーい」


 シンデレラが居なくなった後で魔法使いは重要なことを思い出しました。


 「あ、そういえばあいつスニーカーのままだったな……」


 なんとも夢がないよな、これって……。




⇒To Be Continued...

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