#学園HERO# 7話
作者: 神田 凪   2010年01月23日(土) 19時46分49秒公開   ID:Fpk3UqE6X6I
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誰かを助けるという事はなかなか難しい。

親切心で行ったことでも、意外と相手には余計なお世話と感じられることも少なくはない。

誰かのため、と聞こえは良いが結局は自己満足だ。



だから、問おう。



俺は、君を助けることが出来る。
理由は君には関係ない。俺のために行動する。

ただ君は助けて欲しいか。それとも助けて欲しくないのか。
それだけを考えろ。


さぁ、答えを聞こう。







学園HERO

− story 7 −  問い







私、宮城真央はつかれていた。
先日の騒動もその理由だが、今頭の中を占めるのは昨日の生徒会での会話だ。

学園の敵となった私を使い、ヒーローを呼び出す。

普通に聞けば、自分を馬鹿にしているのかと憤慨するところだろう。
私も普段通りならば、そうしていただろう。

だけど、何にも縛られなくてよくなった今ならば何でも出来る気がしていた。
自分のために、何かをするというのはとても魅力的に感じた。


ヒーロー、
ヒーロー、


ただの正義気取りの存在だと思っていた。
自分は誰かを助けている優しい人間なのだと思いこんでいる馬鹿だと思っていた。

誰かを助けるということはとても簡単で難しいことだ。

誰かが何を望んでいるのか、簡単に分かる時がある。それは、自分が相手の立場になって考えると見えてくる。
だけど、本当に助けて欲しいとき、誰かが本当に苦しんでいるのを見つけるのは難しい。
大事な人が悲しまないように隠す人がいる。他人を信じられなくて言えない人がいる。



だから、だから、
私はヒーローが嫌いだった。

いや・・・、もしかしたら、
羨ましかったからなのかもしれない。

自分には出来ないことを行うヒーローの事が。
ヒーローに助けてもらった生徒たちが。




・・・って何考えているのだろう。

ハァ・・・と思わず溜め息を吐いた。
つかれは思ったよりも深いようだ。変なことを考えてしまった。

今更だ。
そう、今更なのだ。

私がこの学園に残れるのはあと僅かだ。
この役目を終えると、退学届けは受理され私はこの学園を去る。

悲しい、とは思わなかった。
寂しい、とも思わなかった。


ただ、両親の期待を裏切ってしまったことがただ・・・悔しかっただけだ。



寮の部屋から一歩も出ることができないが、ほとんど不便はない。
ご飯は教師が気を使って、運んできてくれる。

テレビもトイレもお風呂も洗濯機も台所もすべてが設備されている豪華な部屋での生活はなかなか過ごしやすい。
まるで豪華なホテルのようだ。もう少しの生活だし充分に満喫しよう。

これまた一部屋に一つは設置されているパソコンで両親からの連絡が来ていないことを確認した。
毎日のように心配されているメールが来るが、今日はどうやら忙しいらしい。まあ、まだ時間帯が昼だし夜ぐらいには来るだろう。

さて、何もすることがないしもう一眠りでもしようかな。
そう思い電源を消そうと手を動かした。




――――ピコーン



軽い電子音が部屋に響いた。
一瞬、何なのか分からなかったが画面にそれは表示されていた。

「メール・・・?」

受信しました、と表示されている。ああ、両親からかなとボックスを開く。
だが、そのアドレスは知らないもの。

「もしかして、アドレスがばれた?」

自分で呟いてみるが、それはあり得ないとすぐさま否定した。
権力者たちの子供が通う学園だ。セキュリティは半端ない。個人の部屋には徹底的なプライベートが約束されている。
一般の迷惑メールや学園の人達から誹謗中傷などが届くわけがないのだ。

どうしよう。
ワケの分からない不安が大きく募る。

今思えば、その時の自分の行動はまるで何かに導かれるようだった。
ほとんど無意識にだけど確実に何かを感じていたのかもしれない。

ゆっくりとマウスを動かし、そのメールを開いた。


「・・・え、」



ドクン、と心臓が大きくなる。
周りの音が一切聞こえなくなった。







  タスケテ欲シイカ? 
     Yes / no ?













⇒To Be Continued...

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