魔法の花屋さん ローズマリーの思い出、ラッパスイセンの復活。
作者: 夏姫 みの   2011年01月21日(金) 21時20分27秒公開   ID:GyHdRp8fZOM
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「すみません。ローズマリーありますか?」


 私と同じぐらいの子が、お店にやってきた。金髪のサイドテールが、とても似合う。ちょっと先はクリンとしていて、巻き毛なのかな? ちょうど、ローズマリーの話をしていたから少しビックリしたけど。


「はい、ありますよ」
「よかったー。それを五つください」


 サイドテールの女の子は、ほっとした様子だった。私は急いでローズマリーを探す。私が探しているとき「すごいたくさん花があるなぁ」と女の子は言った。確かに、ホントたくさんありすぎる。植物園みたい。


「ローズマリー五つでいいでしょうか?」
「はい」


 女の子は財布を取り出す。私はレジをいじる。レジをどうやって扱うかは母に教えてもらっているし、もう慣れている。

「代金は六百円です」
「えっと……えっと……」
「焦らなくてもいいですよ」
「あ、あった! はい」

 女の子はトレイに六百円を置く。そのとき


「君、一人でレジから何やらやってるの?」
「え? あ、はい。両親が、また別の花屋さんのお手伝いで忙しいので」
「すごいね。あたしとは大違い!! レジ会計も早かったし」
「ありがとうございます」


 こーゆーお客様との会話も楽しみの一つ。あ、でも私は敬語なんだけどね。


「……ローズマリーって花言葉は…」
「追憶、思い出でしょうか?」
「そうそう!! 思い出……」


 女の子は目を細めて言う。なんか、すごい思い出があるんじゃないかなーと私は思う。


「あたし……ローズマリーを見てると思うんだ。……母が好きだったの」
「え……」


 女の子は少し、切ない感じで言った。そして、しばらく沈黙が続く。……お母さんが好きな花、かぁ……。


「でも、お母様の好きなお花なら、まさに「思い出の花」ですね」
「うん。でもね……お母さん……今、病気なの。だから……」


 だから、この花屋さんに来たってことか。病気が治る花……。えっと……あ!!


「ちょっと、待っててください!!」
「あ、うん」


 私は急いで、店の奥に行った。女の子を待たせて。






⇒To Be Continued...

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