ジュエルプリンセス+1 詩羽たんの会長で快調(?)な日!
作者: 夏姫 みの   2010年04月11日(日) 21時57分28秒公開   ID:bkWoewa3Plc
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 キラキラと眩しい朝。生徒会長の朝って、こんなにキラキラしてるんだ。はふーん……誰も逆らえないっ!! 詩羽しうたんに誰も逆らえな〜い♪ 今日一日だけは。
 その時、コンコンとノックする音がした。

「はーい♪ どぞー」
「詩羽、僕もう行くから」

 あたしのお兄ちゃん、五十嵐 秀いがらし しゅうがドアを開ける。もうとっくのとっくに、お兄ちゃんは準備できていた。

「うん。いってらっしゃい」
「……桃奈ももなさんから、朝一で仕事があるとのことで。生徒会長さんが遅れてもいいの?

 え、朝一で仕事?! 聞いてないってばぁ!! そういや昨日、副会長の桃奈先輩からの連絡……眠くて全然聞いてなかった。生徒手帳にメモし忘れてるし!!
 
「べ、別にぃー。詩羽が会長だから、登校時間が遅くても構わないもんねっ」
「詩羽、とにかく早くこないと皆に迷惑かかる。じゃあ、先に僕は行ってるから」

 お兄ちゃんはドアを静かに閉めて、玄関に向かったのだった。妹としてムカツク〜〜〜〜!! お兄ちゃんは意地悪なんだよねぇ。あたしにとって、お兄ちゃんは兄妹というかライバル。喧嘩はしないけど、ムカツクんだよねぇ……。でもまあ、宿題を教えてくれるのはいいけどね。
 でも……そんな事はいいからまず支度! 顔洗って、朝ごはんだっ!!



三十分後。




「行ってきまーすっ!!」
「行ってらっしゃい」

 綺麗な銀髪の母に見送られながらも、あたしは走って行く。もう絶対に生徒会としては遅刻だっ。学校が始まるまでは余裕あるけど。自業自得だよね……もうなんで、あの時、生徒手帳にメモとか取らなかったんだろ。もーっ! 自分の馬鹿!!
 学校までは近い。部屋でシーンとしてれば、かすかに学校のチャイムが聞こえるのだ。それぐらい近い。真っ直ぐ行って右に曲がって、すぐそこに正門がある。
 朝一のグラウンドを、あたしは息を切らしながらも走る。そして……



「はぁっ……はぁっ……遅れてすみませんでした!!」



 もう遅刻だ遅刻。三分オーバー。生徒会の規則では、朝一の仕事は一分の遅刻も許さないだからね……。

「とにかく、おはようございますですわ。話は姫様プリンセスから聞いております。詩羽さんが今日は一日会長ですのね。よろしくおねがいします」
「はいっ!!」

 この女の先輩は、空上そらかみ 桃奈先輩。今日はサイドにウェーブのツインテールをしている。生徒会 副会長。たまにお菓子を持ってきてくれたりしてくれる、いい先輩なんだよっ。

叶氣かなきは今日は欠席だ、って言ってたけど何か知ってるか? 詩羽」

 この男の先輩は、日向 陽ひなた よう先輩。姫様の彼氏的存在ってココでは言っておこうかな。生徒会の副会長。スポーツが得意な先輩なんだよ。

「うーんとねぇ……なんか寝ぼけて聞き取れなかったけど、宝石の姫様ジュエルプリンセスとしての大事な大事なイベントで、正式な名前さえも言えない極秘のイベントなんだって」

 そう。準備でドタバタしていたときに、姫様からケータイに電話があった。


「あの、詩羽ちゃん!! 昨日言い忘れてたけど、欠席の理由は宝石の姫様としての大事なイベントで、中身とか名前とかは言えないイベントがあるの。それでね、もし陽たちに「どうして休んだの?」とか聞かれたら、さっきの説明を言ってね。んじゃ!!」


プッ……と切れた。約二十秒ぐらいの通話時間だった。なんかすごーくすごーく忙しそうだったなぁ。

「へぇ……。宝石の姫様だけの極秘イベントなんですか」

 誰に対しても敬語を使う先輩は、空上 有紀ゆうき先輩。桃奈先輩の弟で、可愛い男の子として人気がある。生徒会の書記なんだよ。
 そして、お兄ちゃんは会計。それであたしは会長!! 普段は書記だけど。


「極秘イベントか……もう、そんな日が来たんだな」
「えっ?! 知ってるの??」



 あたしは日向先輩に問いかける。皆、視線を日向先輩に向ける。

「いや一度だけ小さいときに行った事あるんだけど、マナーとかを学んだり話し合いをしたりする宝石の姫様だけのイベント。それからダンスパーティーもあるんだって。あ、もしかして今日、オレそれで早退するかも」
「えっ、それ本当ですの?」

桃奈先輩は、みんなより特に驚いていた。

「ああ。母が、どうしても「姫様と陽でダンスを踊ってほしいの♪」だってさ」
「すごいですね。ある意味、お母さんも協力してくれてるんですか」

 たすかに、すごい! お母さんも日向先輩の恋に協力してる。こんなに優しいお母さんはいない! と思う。んーでも、姫様の母さんの元 使用人だったからねぇ。うん。
 それからある理由もあるし。まあ日向先輩の大事な事が明かされるから言えないけど。

「まあ、とにかく楽しんできてねっ。んで、今日の議題に入っていい?」
「どうぞ。会議の時間が、すごく遅れてる」

 お兄ちゃんは腕時計を見ながら言う。

「いーのいーの。お兄ちゃん。大丈夫だよっ! 今日の議題は「補足事項の見直し」だって」
「じゃあ、一回読んでくださいです」

 有紀先輩が言う。え、これなんて読めばいいの? えっ? えっ? 無理ゲーだって。詩羽にとっては、暗号にしか見えないんだけど。

「どうしたんです?」

桃奈先輩が言う。もうココは素直に言っちゃえ!




「この漢字、なんて読めばいいの?」




 皆こけた。ギャグ漫画に出てきそうな展開。生徒会って、そんな反応するもんだねぇ。おもしろいおもしろい。あたし、会長でホントによかったよっ。

「あ、補足事項か!! えっと……一、あたまかみ(頭髪)について。(1)男女……ともつう(共通)。神(髪)は立たせません。部分伸ばしはしません。ムースやワックス類はしません。そめしょく(染色)、だつしょく(脱色)はしません。あと…」
「詩羽、ぜっっっったいにわざと?」

 お兄ちゃんはつめたーい目で見る。日向先輩たちは頭に、はてなマークを浮かばせてる。あたしは特にお兄ちゃんのその目に、むかついた。そして


「ふざけてないもんっ。まともにこっちは読んでるもんねっ!!」


と言い返す。


「もういい、詩羽。とにかく読めない漢字は僕が言うから。……小学生レベルの漢字をやってるのに、正しく読めないなんて兄として、すごく恥ずかしい
「えーっ。まあいいや、お兄ちゃんが言うんだったら」

 自分の力でやりたかったけど、まあいっか。お兄ちゃんが言ってくれるし!



――この説明だけで四十分ぐらいかけたという。秀は、詩羽よりも疲れていた。そして恥ずかしかったらしい。詩羽は全然まだ平気だ。
 この調子で本当に大丈夫だろうか……?





⇒To Be Continued...

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