ただ永遠を願う 第1章 転入生
作者: 桜華   2010年03月22日(月) 22時12分30秒公開   ID:lo.MWkYVOtM
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県立光丘学園。
下は幼等部から初等部、中等部、高等部、大学院が入っている1つの学園都市となっている。
寮も設備してあり遠いところから近いところの県外からの途中入学者も少なからず存在している。
何故其処までしても来たい生徒がいるのかと言うと勉強は全国トップ、部活は常に全国上位と恐ろしい学校である。
極紛れに芸能人やモデルもいるという。

ちなみに和音は県立光丘学園の中等部生徒会長の役割を果たしている。

「和音くーんおはよう」

教室に入って椅子に座った途端に後ろから抱き着かれるという始末。
抱き着いている人間の正体は柊利希ひいらぎりきだ。彼は必ずと言っても良いほど和音やいろんな人に飛びつくか抱き着くかするのだ。
しかし、誰も怒らないのは利希が単純馬鹿だから可愛いのだろう。

「知ってると思うけど和音君。転入生が来るって言う噂ってマジなの?」
「嗚呼、変な期待は持たない方がいいぞ。立派な男だ。書類によると名前は確か仲沢優斗なかざわゆうとっていうらしいぞ」

いつの間にか机の周りには和音と利希の話を盗み聞きしていた生徒達が(特に女子)が色々と質問してきた。
どんな男の子、格好いい、どんな髪型なのと様々だったが面倒だったんので答えなかった。

「普通は楽しみにしているもんだろう」
「ただ面倒だったんでしょう和音ちゃん」

もう一人現れたのは杉崎煉すぎさきれんだ。
優斗と煉そして和音は腐れ縁のような関係である。
何故か和音は利希と煉とは1から10までクラスがあるのだが初等部に入ってから一回も離れたことがない。
中等部に上がる前に一度先生に聞いてみたところ悲しい回答が帰ってきた。
『杉崎と仲沢のお世話係はお前しか出来ないから』と言われてしまった。
確かに初等部から生徒会長の役割を持っている和音は天才少年とずっと言われてきた。
何故三人が仲良くなったのかは後日話すとしよう。

そんな事をしているうちに本鈴のチャイムが鳴る。
いよいよ噂の転入生が登場することは間違えないのだ。

担任が入ってきて転入生についての説明をする。

「知っている奴は知っているだろうがこのクラスに転入生が来たぞ。仲沢入ってくれ」
「はい」

噂の転入生が入った途端に教室中が静かになった。
みんな予想外だった。確かに期待はしていなかったつもりだったが良く漫画である格好いい転入生かな、なんて思っていたのが入ってきた転入生を見ると馬鹿らしげに思えてしまった。
髪は寝癖で何本かの髪の毛が立っていて、黒縁の眼鏡が似合っていない。

「初めまして仲沢優斗ですよろしくおねがいしましゅ……おねがいします」

あっ……とクラスの全員が思ったが可哀想なのでスルーした。 
先生もハッと何かを思い出したかのように進行を進めた。

「この中で質問のある生徒はいないかー」

シーンとなる教室。
その中でたった一人だけクラスのムードメーカーの一人、柊利希が質問をした。

「仲沢くんはどんな教科が好きですか?」
「……理科」

また静寂に包まれる教室。
利希は和音と煉に慰めてもらっている始末。

「じゃあ席は柊の隣な。天宮、後は転入生と馬鹿は任した」
「えっ仕方がないですねぇ」

引き受けた任務。
いつもよりも重要な任務が増えていった。
別に転入生の面倒ぐらいなら煉と利希でも出来るからなと考えた。

「じゃあ柊。彼処の席に座ってくれ」

恐る恐る席へ向かう優斗。
その瞬間にたった一人だけ鋭い視線で相手を睨め付けた。
あってまだ初日だ。




睨め付けた相手とは天宮和音だった。










(これからは)
(地獄の日々なのかもしれない)
■作者からのメッセージ
初めまして桜華と言います。
どれくらい長い連載になるか分かりませんが、よろしくお願いします。

感想等お待ちしてます。

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