ジュエルプリンセスMiracle 第10話 自分とサラと星空と
作者: 夏姫 みの  [Home]   2010年03月07日(日) 14時04分00秒公開   ID:bkWoewa3Plc
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「し……う……詩…………詩羽!!!!!!」





はっ!!





「ココは? お兄ちゃんの恋人は? どうして私はここにいるの? なんで?」




詩羽はベットから、ひょいっと飛び降りる。

「詩羽……よかった。いつもの調子だ……」
「お兄ちゃんの恋人、逃げちゃったね。なんでだろー。あ! 鳴課って言う人、もしかして照れちゃって逃げたとか?! これはこれは……お兄ちゃんもやるじゃんっ!!」

パシパシしゅうの肩を詩羽は叩く。

「詩羽、鳴課なるかは僕の恋人じゃないから」
「Σ(゚Д゚;エーッ! そうだったの?! あたし、てっきり恋人かと……」

詩羽は今更になって驚く。

「何回か恋人じゃないって僕は言った」
「にしても全然聞こえなかったお」

詩羽には全く聞こえなかったようだ。

「はぁ……。それより、サラって……誰?
「え」




――サラ――




(何……何なの……)


「サラって……あぁ!! お皿のこと?
「違う」


(え……。お兄ちゃんの言っているサラって……あのサラなの……?)


 そう思い、詩羽はベットのほうへ行く。秀は急に詩羽が暗くなったので少し驚いた。そんなに苦しいコトがあったのか……と秀は思う。


「サラはね、あたしの……あたしのロスに居た時の名前なの」
「ロスの時に名乗っていた名?」






「そして……その名前を呼んでもよかったのは私の……婚約者、だけ






「え……詩羽に婚約者?」


秀は初耳のように驚く。


「ずっとずっと、言おうと思っていたんだ。これでも。……言うのが遅くなって、ごめんなさい」


詩羽はベットに顔をうずめる。


「……別に。知っていた」
「へ?」
「詩羽に婚約者がいたことは知っていた」


「い、いつ知ったの?」


 ベットに顔をうずめたまま、詩羽は言う。詩羽は、まともに秀の顔が見れないのだ。

「僕がまたロスに戻ってきた時の……9月ぐらいに知った。詩羽の人生だから僕は口出しが出来ないけど。でも詩羽が幸せになってくれれば兄として嬉しいし」
「お兄ちゃん……」


詩羽は顔をあげる。涙目だった。


「でも、鳴課はサラっていう名前を呼んでいたのは何故?」
「それは……鳴課さんと出会ったの。鳴課さんがお見舞いに来てくれて。その時は、優しかった。今と真反対だったの。それで、あたしはサラという偽名を名乗った。だから……」
「知っていたっていうことになる」



しばらく静かな空気が流れる。



「でもね、その婚約者。あたしは嫌だった」
「え?」


秀は驚く。

「……結局、婚約取り消し。もうあんな変態とかにあうのは、真っ平!! はぁ……このロリコンっ!! っていうかーお兄ちゃん恋人いないんでしょ? 鳴課さんがいるじゃん!! 幼馴染なんだからさぁー」
「詩羽、そんなことよりも宿題は?」
「あ!! まあそんなことよりもー。お兄ちゃんが、えと……ブラックなんとか学園の特別生徒って、どーゆーことなの?


詩羽は思い出して聞く。



「僕はジュエリーチェンジが使えた。そして、その力も優秀だったらしく特別生徒として哀梨あいりさん――ブラックローズ学園の前の学園長に迎えられた。そして詩羽が今、仲良くさせてもらっている姫様プリンセス日向ひなたくんや桃奈ももなさんや有紀ゆうきくん……その人たちの生徒会に入り込んで、スパイをやっていた」
「え?! お兄ちゃんがスパイーーーー?! すっごーーい!! 何これ、探偵ごっこ?」

詩羽は目を輝かせて言う。

「詩羽……僕は遊びでやったわけじゃないから。でも、後から僕はスパイをやめようとした。でも哀梨さんが許してくれない。だから……一回生徒会から離れた時もあったけど、もう一度戻ってきて哀梨さんを皆で倒した。その時は僕はもうスパイじゃなく、自由になった。今は……あの四人と仲良くやってる」

「ふーん。スパイお兄ちゃんに、そんないきさつが……」
「僕は好きでやってたわけじゃない」


最後に冷たく秀は言う。





「とにかく……これで2人のヒミツ交換したね! ヒミツ交換……またお兄ちゃんとやってみたいなぁ」




 詩羽は笑顔で言う。その時の詩羽の笑顔は……綺麗な雪女が微笑んだみたいな笑顔だった。






⇒To Be Continued...

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