私のスクールデイズ 番外編 光のようで違う少女
作者: 菜月 実乃  [Home]   2009年10月04日(日) 15時19分40秒公開   ID:I3pQytENAQc
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「はぁっ……はぁっ……」




もう嫌だ。期待しないでよ……お願いだから




















期 待 し な い で 。
























ぽろっ……



涙がこぼれた。



「ダメだよ……泣いたら」



でも、ハンカチで涙を拭いても涙は止まらない。その時




「ゆーちゃん……? ゆー……ちゃ、ん? どうしたの?!」



春樹くんが私を抱きしめた。




「は、るきくん……」
「どうしたの? 結……ちゃん」






私は、頭が真っ白だった。




「「期待」」
「!!」







――期待――




それは、去年のこと。





 コンクールで彼女は期待されていた。県大会にも優勝し、全国大会に出場することが決まった。





ある日



「これからも期待してるよ。君のフルートは、すごい」
「僕も同じく。期待してるね、白咲 結さん」
「はい!」



それを僕は見ていた。






だが結果は……

















「2位 白咲 結」







 誰でも、頑張ったとは思うはず。だが、結ちゃんにフルートを教えてくださっている、先生は











――控え室




「2位か……期待はずれだったよ。1位かと思ったのに」






 彼女はあの日以来「期待」という言葉が嫌いになった。聞くたびに、あの日のことを思い出すから。むしろ……聞きたくなかった。









「大丈夫、大丈夫。大丈夫だよ、ゆーちゃん」








僕はゆーちゃん――結ちゃんを慰めるだけで精一杯。





「結ちゃん、大丈夫。ね?」
「う……ん……ひくっ」

泣きながら、ゆーちゃんはうなずく。


「落ち着いて。もう大丈夫」







ただただ、慰めの言葉をかけるしかない。









なんでそこまでするのかって?










それは……
















































僕はゆーちゃんが好きだから


















































 その後、ゆーちゃんはだいぶ落ち着いてきた。そして、タイミングよくチャイムが鳴った。

「とりあえず……保健室で休んできたら?」
「はい、そうします」
「じゃあ…」

「!?」



僕はゆーちゃんにお姫様抱っこをする。



「え、ちょっ……と」
「大丈夫、大丈夫♪」



しばらく、ゆーちゃんは保健室で休むことになった。でも







「期待」








という言葉が出ないか心配だ。






「好きな人だから……心配なんだよね」





僕はゆーちゃんに聞こえない声でつぶやいて、教室に戻った。







END





⇒To Be Continued...

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