これCry Lovers 第11楽章 私たちの未来は
作者: なぁび   2009年08月21日(金) 23時28分31秒公開   ID:sw0xlSukK4E
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 あまりの語呂の良さに、みなが笑ってしまった。

 深く詩に意味はないけれど、それでもテンポがいい。聴いてて心地いい。



 「…ありがとうございました」

 瑠姫のその声は、大きな拍手にもみ消されてしまった。
 ふとステージ脇の関係者席に目をやると、兄弟も笑っていた。笑顔で、手を叩いていた。


 それは、家族だから、兄弟だから――――…ではなく、ひとつのバンドとして、素晴らしかったから。








 「さっきの、何も考えずに気楽に聴けていい曲だった」

 関係者席に声を掛けに行ってみると、真っ先に李玖が言った。

 「ごちゃごちゃ考えてるの、忘れたよ、さっきは」
 「ん。俺の1等賞あげる。つい笑っちゃった、語呂が良くて」

 そう言ってくれたのは、緋月。

 「…あら、それだけじゃこれから先渡っていけないけど?」
 「お母さん!」
 「私からしてみればまだまだあ・ま・い・のよ!」

 社長であり母であり――――咲島 美津子みつこのご登場だ。

 「拍手もらったくらいでそれじゃあダメなのよ? これから先順風満帆とは限らないんだから? 大体芸能界っていいのはね…」

 「咲島さん、ちょっと…」

 「人生だってそうでしょ? 何事も上手くいく時と行かない時がある。さっきの曲はまぁ…」
 「お母さん! 愚痴はいいからスタッフ呼んでるよ!」
 「度胸は認めるけど…え? スタッフ?」
 「咲島さん! 9時半から打ち合わせって言ってたじゃないですか!」
 「あぁ、そういえば…」

 美津子が打ち合わせを忘れるなんて、珍しい。

 「じゃあ、とりあえず着替えてまたここに集合で! 30分後よ? 時間厳守!」

 忘れてはいけない。まだ結果発表が残っている。

 「あ、でも…歴代の中ではいちばんよかったわよ! …語呂の良さはね」

 最後にそう言い残し、美津子は去って行った。








⇒To Be Continued...

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