Let'play! 生徒会組曲 こばなしげきじょう | |
作者: なぁび 2009年08月06日(木) 23時48分45秒公開 ID:sw0xlSukK4E | |
まい りとる ふぁーすと きっす ここは、王蘭学園内、幼稚園。 季節は梅雨、今日はみんな中で静かに遊んでいます。 「そら、きょうこそけっちゃくつけるぞ!」 「おう! のぞむところだ! ぜってーかつし!」 この、元気なのが空くんと空ちゃん。 「空ちゃん、女の子なんだから、女の子らしい遊びしましょう?」 この頃から空ちゃんは男勝り。先生がどんなに注意しても、遊び相手は男がほとんど。 「せんせぇ、おんなのこらしいあそびっていうけどおんなのこらしいあそびってどんなあそび?」 「え! っと、それは…ほら、夕依ちゃんや奏実ちゃんみたいにお絵描きしたり、みさきちゃんみたいにお人形で遊んだり…かな?」 「そんなのおもしろくないっ!」 これが空ちゃん。 「あぁ、もう…空ちゃんてば…」 先生の後ろ。必死にクレヨンでお絵描きしているのは夕依ちゃん。おどおどしていて、いつも先生の後ろに隠れています。 そして向こう。 「ぶー、ぶー!」 決してブーイングではありません。車のおもちゃでおとなしく遊んでいるのが、みなと。その隣で、大事そうに人形を抱えているのがみさき。 そのもう少し奥、お絵描き帳に絵を書いているのが奏実ちゃん。この頃から巻き毛は健在な様子。 「え、すき?」 その隣で奏実ちゃんの描く絵を見ているのが、夕人くん。奏実ちゃんが好きなのでしょうか? 「うん、すきだよ。まいにちかいてもあきないよ!」 隅っこに目を向けてみましょう。 おや、幼稚園児にはそぐわない新聞を読んでいる男の子がいますね? 「やっぱり銀行の株は…今買うなら…」 見ている紙面はどうやら株式欄のようです。もうお分かりかと思いますが、これが奏多くん。奏多くんは決してほかの子と遊ぼうとしないのです。 「か まれに空くんが遊びに誘うのですが…。 「はぁ? だれだよ、か まだ幼児語が抜けない空くん。 「か 「わけわかんねーこというな。ちゃんとしたにほんごをしゃべれ。じゃなきゃくんな」 こんなことをか 「…もう! か 「おれもおまえのことなんてしらねーよ」 ここまで来るともう怖いです、奏多くん。 とまぁ、これが日常です。 「あ、先生、これから雷が鳴るみたいですから気をつけた方がいいですよ」 それは、午後のこと。隣の組の先生が来て、こう告げた。 「あら、雷? 園児たちが大騒ぎするわねぇ…」 と、まさにその時だった。 ごろごろごろごろ…。 「わ、かみなりだ!」 「せ、せんせぇ、怖いよ〜!」 雷が鳴り始めました。先生のもとへと殺到する園児たち。 「うぎゃああぁぁ…あぁ〜!」 「大丈夫! 大丈夫だから! …ねっ?」 何を言っても泣きやみません。 そんな中、教室中を駆け回る子供が。 「かみなりだぁ〜! わぁー!」 「ごろごろなってるぅ〜!」 もちろん、空ちゃんと空くんです。先生は注意したいのですが、泣きわめく園児に囲まれていて、どうにもなりません。 「ひっ…ぁ、か、みなりなってる…」 怖いのは、奏実ちゃんもです。先生のもとへと行きたいのですが、怖くて一歩も動けないようです。 そしてその近くで夕依ちゃんもその場を動くに動けないようです。 そんな中、奏多くん。たいして気にする風もないのですが…。 「かみなりなんて、こわくないよ」 「…え…?」 周りに聞こえるか聞こえないかくらいの声で、奏多くんは言うと、そのまま夕依ちゃんの隣に座ったのでした。背中を、ちょっとだけくっつけて。 「…あ…」 夕依ちゃんは、安心したようです。 そして戻って奏実ちゃん。 「ほんよもう? おえかきしよう? ね、ね? なかないで?」 夕人くんが必死に奏実ちゃんをなだめ中です。しかし奏実ちゃんの泣く声は大きくなっていくばかり。 「だいじょうぶだよ! そのうちやむからね!」 何を言っても泣きやむ気配はありません。すると、おもむろに奏実ちゃんの顔に手を伸ばしました。 「じゃあ、元気が出るお そう言って、夕人くんは、奏実ちゃんの口に、自分の口を重ねたのでした。 いわゆる恋人たちがするような、キスです。奏実ちゃんは、泣きやみました。 「これね、このまえがいこくにりょこうにいったときおしえてもらったの。げんきでた?」 その言葉に、奏実ちゃんは素直に頷きました。 * * * そして今でこそ(発症し出したのは思春期に入ってからと思われる)あんな鼻血体質になってしまった夕人くん。 まだ手もつなげていないし、もちろんキスも出来ていないのですが…。 「あら、夕人くん、お出かけですか?」 「うん。奏実とデートなんだ。じゃあ時間だから行って来ます」 「行ってらっしゃい…」 「今はまだ、キスも出来てないと思いますが…でも本当はしてるんですよね」 窓から嬉しそうに走って行く夕人を見送りながら、夕依は呟いた。 「でも、それは昔のことですから…きっと、二人も忘れてるでしょうね」 それは、夕依だけが知っている、二人のまい りとる ふぁーすと きっす☆ ⇒To Be Continued... |
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