2人の空 〜2人の始まり〜
作者: 佐々木 里亜   2009年05月25日(月) 19時22分03秒公開   ID:TjDIyMaTPgQ
【PAGE 1/2】 [1] [2]





今日も一人ぼっちの一日が始まる――……


「いってきます……」


私は扉を開けて、少し肌寒い、この道を今日も通う。




キーンコーン……




私は『1−B』の教室に入った。いっぺんに、シンとなる。
聖子せいこたちが美輝みきの前に立った。美輝への冷たい視線と、言葉がとんでくる。


「マジで!? なんで、コイツ学校来れるの?!」


「来ても意味ないんじゃない?」


「どーせ一人でしょ」


今日もあのいじめっ子3人組が、私に悪口をぶつけた。
私は何も言わず、自分の席についていつも通りノートに詞を書き続けた。そうここまではいつも通りだった。


『素直になれなくて』



言いたいことが


           うまく伝わらない



伝えたくても



           伝わらない



どうしたらいいの……?




パタン…





私はノートを閉じた。



「また、やっちゃった」





私ってば気持ちを詞でしか表せないの?





「ちょっと見てよ。野寺のでらさん、また勉強してるよ」


「ダサすぎじゃない?」


「やっぱガリ勉ってわかんないよね」




「……」





じゃあ、どうすればいいの? 私の気持ちなんて誰もわかんないわよ!!





涙が出そうだった。その時


「なーに、書いてんの??」


突然、後ろから声がした。


(高木くん!?)


高木たかぎくんは、クラスで最も人気者の男の子。私と正反対の人。


「な、なんでもないよ……?」


私はちょっと高木くんに目をそむけて言った。けれどその瞬間


高木くんは「ふーん」と言いながら、私のノートを奪った。


「えっ、ちょっ……!」


「『素直になれなくて』」



えっ、ええええっ?!



ザワッ……



クラスの視線が私と高木くんに集まった。


「なになに?」


「あ、またかいがへんなことを始めたー」


「『言いたいことが


           うまく伝わらない



伝えたくても



           伝わらない



どうしたらいいの……?』」





「なーにそれ」


「ポエム?」


「海が作ったの?」


「ないない! 海がこんなセツナ系の詞を書くわけないじゃん!」


「だよねー! ウケる!」






高木くん、ひどいっ! 一番恥ずかしいのは私なのに!!


「皆、これ書いたの俺じゃないよ?」


「……?」


ま、まさか、言うつもりですかあああ???!!!! 「私が書いた」って!



「これは…」


高木くんが言う前に私が…



「やめて!!」



と言って、高木くんの口を手でふさいだ。


そして、どうしたと思う? そりゃ…


                      逃げたよ。



逃げて逃げて逃げまくって、私は学校の屋上へ行った。




⇒To Be Continued...

■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集