愛という名の正義の果てに 〜森の館に潜む秘密〜
作者: なぁび   2009年06月03日(水) 21時51分38秒公開   ID:te6yfYFg2XA
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 しばらくして、桃奈は2階の奥、生徒会専用の寮へと踏み込んだ。

 ここもきれいで、本当は今も使われているんではないんだろうかと桃奈は思った。





 部屋がいくつも長い廊下に並んでいて、先がないんじゃないだろうかと思うくらい長くて長くて。

 「ここは、生徒会長さんの部屋でしたのね」

 近くにあった部屋のドアにかかっていたプレートを見て、桃奈はつぶやく。
 その隣、その隣、と見ていくと、順に、副会長、会計…と並んでいた。




 「副会長…ここが使われていたころは、どんな人だったのでしょう?」

 一通り見て回った後、桃奈は副会長の部屋の前に戻ってきていた。

 「ちょっと気になりますけど…」

 鍵が開いているのか不安だったが、ドアノブをひねってみると、ドアはいとも簡単に開いた。

 「し、失礼します…」

 中に1歩足を踏み入れてみると、中はやはりきれいだった。
 奥に窓があって、おしゃれなカーテンがあって、机、ベッド、サイドテーブル、クローゼット…。

 「わぁ!なんて可愛いジュエルボックスなのでしょう!」

 桃奈が目にとめたのは、サイドテーブルにあった、花をモチーフにした小さなジュエルボックスだった。
 さすがは女の子、可愛いものには目がない。

 開けてみると、中には――


























 小さな黄ばんだ紙しかなかった。




 
 これには桃奈もがっかりした。
 

 ――何か、可愛いものでも入ってるかと思いましたのに…。

 そう思いながら桃奈はボックスの中の紙を拾う。
 かさかさと紙を開いて何か書いてあるか確かめてみると












 “ここに、姫様がいたことをご存じだろうか”





 「え、えぇ?!姫様ですって?」

 

 “今の生徒会長は本当の生徒会長ではないのだ

  ここには 生徒会には 姫様がいた その名は宝石の姫様ジュエルプリンセス 草柳 叶氣

  私たちは 未来人 姫様も未来人

  だがその姫様は忽然と我々生徒会の前から姿を消した

  なぜなら
























  姫様は日向 陽の手によって殺されたのだから”

















 「え…? ひ、日向くん…が?」

 その瞬間、桃奈の脳裏によみがえる記憶――…。










 生徒会長は日向くん? 今はそうだけど…


 じゃあ前は?記憶からいつの間にか抹消されていた、前の生徒会長は…?
























 「宝石の姫様ジュエルプリンセス…名前は…草柳 叶氣!!」




 かたっ…







 小さな物音が、桃奈の持っているボックスの中からした。
 桃奈が覗いてみると、そこにあったのは…?














 底板が外れ、鈍い鋼の色が露出している、





 大きな鎌


















 先には、誰のものかは分からない、血痕が付いていた。



 「これで…」


 桃奈はそっと目を閉じた。
 ひとつの決意を胸に抱いて。

 

 そして桃奈が目を開けるとそこは、あの洋館ではなく…

 見慣れた、生徒会室だった。







 「今日は朝一で仕事があるって言ってたわね…」




 夜明けは、もうすぐ。闇が、光に解き放たれて、全てが無になる瞬間は――









 すぐ、そこまで迫っていた。





⇒To Be Continued...

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