アナザーワールド プロローグ〜一之瀬真帆の場合〜
作者: Leaves   2009年05月16日(土) 00時25分31秒公開   ID:HDGmsnwW/JE
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『アナザーワールド』
3年前RS社が公開した大型MMORPG。
それは精巧なグラフィックと特殊仕様が話題を呼び、今や日本一のユーザー数を獲得した。
話題の特殊仕様――すなわちプレイヤーのGM化。
一定以上の力量を持ったプレイヤーに授けられる「帝」の称号。
その称号を手にすればゲーム運営に関わることができるシステム。

「帝」の称号を手にするため今日も冒険者達はもう一つの世界を駆け回る。


アナザーワールド プロローグ〜一之瀬真帆の場合〜


「……ただいま」
黒髪を2つにくくり、眼鏡をかけた少女――一之瀬真帆はたった今学校から帰宅したところだった。
ごくごく普通の女子高生である彼女も日本最大級のMMORPG、『アナザーワールド』のプレイヤーだ。
「おー真帆。おかえり」
「ただいま、兄さん。……そろそろ髪切ったらどう?」
そんな真帆を迎えたのは、大学に在籍しながらもほぼニート状態の彼女の兄――一之瀬誠也だった。
真帆が指摘した、ろくに手入れもされず伸ばしっぱなしの山篭りの仙人ヘアを持つが、そんな高尚な存在とは程遠く、起きている時間のほとんどをパソコンに費やする男である。
「はは。そーだなあ、今から出かけるし切ってくるか」
「またハッキング?」
「……俺が出かける理由はそれだけじゃないぞ」
誠也はその道では名の通るハッカーだ。身元を割られないようにたまに外でハッキングすることがあり、それが誠也の外出する理由の約10割を占めている。今日のような例外は年に1、2回あればいいほうだ。
「じゃあ、何?」
「知り合いにパソコン見繕ってくれって言われてな。一応下見」
「……そう」
それだけ聞くと興味を失くしたように真帆は会話を打ち切り、自室に向かうため階段を目指した。
「兄さん」
途中、一度だけ振り返り、
「捕まるようなことはしないでね」
それだけ言い放ち自室に戻っていった。
「……まいったね。これは」
リビングに誠也の呟きが響いた。





⇒To Be Continued...

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