アナザーワールド プロローグ〜一之瀬真帆の場合〜 | |
作者: Leaves 2009年05月16日(土) 00時25分31秒公開 ID:HDGmsnwW/JE | |
部屋に入った真帆は荷物を降ろすとすぐにパソコンの電源を入れた。 立ち上がってから即座にデスクトップ上にある『アナザーワールド』のアイコンをダブルクリックする。 慣れた手つきでIDとパスワードを入力するとアバター選択画面に切り替わる。 画面上には二体のアバター。そのうち一体は緑のフードとコートを羽織っている。 色つきのフードとコート。それは一般プレイヤーには装備できない帝の専用装備だ。 真帆は全プレイヤーの中でも数人しかいない帝の称号を手に入れた者だった。 ――真帆に冠されたのは「緑帝」の称号。 (といっても最近面白くないのよね。PKも少ないし、新人相手はめんどくさいし) 帝はゲーム内容に関与できる代わりにゲーム内の管理も任される。 PKKや新人の初クエ同行も管理行動のひとつだ。もっとも真帆はPKKぐらいしか興味はなかったが。 (せっかくだから倉庫キャラでやろうかな) 画面上にいるもう一人のアバターを見て真帆はふとそんなことを思った。 藍の髪を短いポニーテールにし、赤い瞳を持つ男性型アバター。 首の辺りから見える鱗から種族は竜人だろう。 装備は全て初期状態。本キャラが持つには多いアイテムを保管するだけのいわゆる倉庫キャラだ。 (竜人の魔道師だったかな。どうせならロープレメインでやろう) 真帆は竜人のアバターを選択し、バーチャル眼鏡――RPEを装着した。 目の前にユーザーなら誰でも知ってる定例文が表示される。 ”ようこそ、トゥエル” 物語の準備は整った。 後は開幕を待つことのみ。 |
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