機動戦士ガンダムSEED Destiny 〜新生なる牙〜 PHASE−02 ・世界の終わる時
作者: けん    2010年05月02日(日) 14時34分50秒公開   ID:cZUIXcDokvk
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エリスはネオと共に敵機を撃破した後、エグザスをプラントの外壁に貼り付けて待機していた。暫くすると、隔壁に穴が開き、そこからお目当ての品とデータにない機体が二機のザクと共に飛び出してきた。

エリス「大佐、あれを……」

ネオ〈なるほど。これは確かに、俺のミスかな?〉

ネオは失敗を苦く思う素振りなど少しも見せない口調で白いGに向かい、エリスも後を追う。

エリス「イレギュラーのようだけど、出てきたのなら!」

ネオ〈さあ!その機体もいただこうか!!〉

シンはカオスら四機を追って外に飛び出したが、全方位に気を配らなければならない宇宙、更にNジャマーの影響下にある現在の状況では見つけにくい。

シン「くそっ、どこだ!」

シンが辺りを見回していると、通信機からレイの声が聞こえた。

レイ〈シン!一旦引くんだ!闇雲に出ても無駄だ!〉

シンはレイの正論に反論の言葉を失う。確かに彼の言う通り、闇雲に出て探しても見つからない上に奇襲をかけられたらひとたまりもない。レイに従おうとしたところで同行していたルゥの口調が急に荒くなった。

〈避けろ!!〉

「え?」

ルゥの言葉に訳が分からずにいると、突然ビームが飛んできた。

レイはルゥの警告とほぼ同じタイミングで動いた為にかわしたが、インパルスはビームを避けたところで攻撃を受け、左足を失う。

「うあぁ!」

くそっ、どこから!どこにいるんだ!?

シンは必死に敵の姿を追うが、ビームが飛び交うばかりで敵機を補足することが出来ず、次第に追い込まれていた。そうなってようやくシンは敵の正体を知ることが出来た。

MA!?

赤紫と青紫に塗られた二機のMA。敵機はどうやらあれだけのようだが、まるで何機もの攻撃を受けている状況をシンは悟った。ドラグーンシステムだ。元々あの武器は連合のMAに搭載されていた物をザフトがより強力にした物だ。本家がいても不思議ではないだろう。

だが、認識した頃に撃墜されるビームは実弾と違い非常に質が悪い。追い込まれる一方のシンであったが、レイの白いザクファントムがシールドでビームを遮った。

「レイ!」

〈何をしている!ぼーっとしていたら、ただの的だ!!〉

レイが叱責している間にルゥのザクは青いMAと撃ち合っており、今も敵のミサイルをビーム突撃銃で撃ち落とした。




『この敵は普通とは違う!』

ネオにはそう言っているように聞こえた。敵機の通信が漏れた訳ではない。まるで全身でそれを聞き取るような感じがした。

なんだ、これは?

この感覚はあの白いザクから感じる物だ。一体何者だ?あれのパイロットは……



エリスは茶色のザクファントムから奇妙な気配を感じた。この感覚をエリスは知っていた。

なんなの?コイツから出てくる物は…あの子達と似ている?
茶色のザクはガンバレルの一つを落とし、こちらを狙ってくる。

「くっ!」

エリスは敵のビームをかわし、再びミサイルを撃つ。

コイツと白いザクはあのGのパイロットやスティング達以上の腕だ。しかし、やられる気はない!


インパルスと二機のザクを追って出港したミネルバのブリッジで状況の把握が行われていた。

タリア「索敵急いで!インパルス、ザクの位置は?」

タリアの問いに重ねてバート・ハイムが緊張を含んだ声で伝える。

バート「インディゴ58、マーク66ブラボーに不明艦1!距離、150!!」

アーサー「それが母艦か?」

タリア「緒源をデータベースに登録!以降、対象をボギーワンとする!」

ボギーワン、不明を意味する最初の敵という意味で付けられたコードネームだ。続けてメイリンが先程のタリアの問いにやや震えた声で答える。

メイリン「同157、アルファにインパルスとザク!交戦中の模様です!」

タリアが「呼び出せる?」と問うが、メイリンが「駄目です!」と返す。

メイリン「電波妨害激しく、通信不能!」

タリア「敵の数は!?」

メイリン「二機です!でもこれは、MAです!」

MA?あの三人の力量と機体の性能を持ってしても落とせないとなると機体もパイロットも相当な物なのだろう。タリアは矢継ぎ早に命令を飛ばす。

タリア「ボギーワンを撃つ!ブリッジ遮蔽、進路インディゴ・デルタ!加速20%!信号弾及びアンチビーム爆雷発射用意!」

彼らのいるブリッジがCICの存在する下部ブリッジに移動する。タリアはまだメイリンの後ろに立つアーサーに檄を飛ばす。

タリア「アーサー!何をしているの!」

タリアに叱責されて自分のすべき事を思い出したアーサーが「はい!」と答えて指揮官席に移動し、火器の起動を命令する。

ネオは白いザクと新型を相手にしていたところ、センサーが戦艦の接近を知らせる。

ネオ「艦?」

ナスカ級やローラシア級とは明らかに違う、ある戦艦と類似箇所のある戦艦がガーティ・ルーに接近している。

例の新型艦か?

ネオが一瞬戦艦に気を取られた隙をついて白いザクはガンバレルを二つ落とす。

スティング達は既に戻っている。そろそろ潮時のようだ。ネオは茶色のザクと交戦中のエリスのエグザスを呼ぶ。

「欲張りすぎは元も子もなくすか…中佐、帰投する!」

〈は!〉

彼らが帰還する間に新型艦はガーティ・ルーにミサイルを撃つ。イーゲルシュテルンがミサイルを落とすが、主砲と副砲が船体を掠める。

エリス機が左舷カタパルトに突っ込み、ネオも右舷カタパルトに突っ込む形で着艦する。

リー〈エグザス着艦!!〉

ネオ「撤収するぞ!リー!」

ブリッジのリーが〈了解!〉と答えガーティ・ルーはアーモリーワンに背を向け、撤収に移る。攻撃を受けている間にもネオはエリスを伴ってブリッジに入る。



「ごめんなさい、遊びすぎたようだわ。」

エリスが一応の謝罪をリーに入れ、オペレーターの報告を聞く。

「敵艦、尚も接近!」

「ブルーゼロ!距離120!」

最初に確認した時は離れていたが、今はこちらとの距離がかなり縮んでいる。

「かなりの高速艦のようね…どうします?」

指示を仰ぐエリスにネオはしばし黙り込む。直後、強い震動がブリッジを襲いクルーも悲鳴を上げる。

「両舷の推進剤予備タンクを分離後爆破!アームごとで良い!鼻っ面に喰らわせてやれ!」

リーが唖然とした表情で見守る中、仮面の男は次々と指示を飛ばす。

「同時に上げ舵35!取り舵10!機関最大!!」

なるほど……船体の一部を使うなんて。私ならそんな事しないわ…

エリスはネオの破天荒な命令を理解しながら上官の大胆さに感服した。同時に軽薄に見えるこの男の柔軟性とも取れる側面をエリスはある人物と被せていた。

インパルスとザクを回収し、ボギーワンを追うミネルバは確実に距離を縮めていた。発進前に帰投したアリスも今はカインと共にブリッジに上がり、戦況を見ていた。母艦は相当足が速いようだが、速度ではこちらの方が勝っている。このまま一気に沈められると思った。すると、ボギーワンが何かを切り離した。

バート「ボギーワン、船体の一部を分離!」

報告をしたバートも突然敵艦が見せた動きに戸惑っていた。

身軽になって一気に振り切るつ?でも……まさか!

デュランダルも後ろで乗り出し、何かに気付いた。

タリア「撃ち方待て!面舵10!機関最大!」

タリアの命令を受けたマリク・ヤードバーズが舵を切るが、間に合わず、船体の一部は艦首に激突して爆発し、凄まじい振動が起こる。

メイリン「きゃあああ!!」

メイリンの甲高い声が響く。カインは咄嗟にイスに捕まるが、アリスは衝撃で後ろの壁に叩きつけられてしまう。

振動が収まった後、タリアがバートに尋ねる。

タリア「バート、敵艦の位置は!?」

バート「待って下さい!まだ!」

バートが確認している中、アーサーは艦内に被害状況の確認を取っている。

タリア「CIWS起動!アンチビーム爆雷発射!次は撃ってくるわよ!」

バート「見つけました!レッド8チャーリー、距離500!」

バートの報告を聞いたアーサーが戸惑いながら「逃げた?」と呟き、タリアは賞賛を口にする。

タリア「やってくれるわ。こんな手で逃げようなんて。」

恐らく今衝突したのは艦の推進剤の予備タンクだろう。推進剤がたっぷり入ったタンクは確かに引火すれば凄まじい武器になる。しかもそれを即席の機雷として逃げるとは……一体指揮官はどんな人間なのだ?

しかし、そんなことよりあれを強奪した部隊は何者なのだ?ただの海賊にしては手際の良い組織的な作戦だ。やはり地球軍か?そしてこの件をきっかけに世界が動く。タリアはそんな気がしたが、ブリッジに入ってきた通信の内容はそんな懸念を一気に吹き飛ばしてしまう。

タリア「ブリッジ遮蔽解除!」

メイリン「コンディションイエローに移行。」

タリア「議長も少し艦長室でお休み下さい。ミネルバも足自慢でありますが、敵もかなりの高速艦です。すぐにどうということはないでしょう。レイ、御案内して。」

レイ「はっ!」


ルナマリア〈艦長。〉

ルナマリアだ。少女はきびきびとした調子で話を進める。

ルナマリア〈戦闘中と言うこともありご報告が遅れましたが、本艦発進前にザク二機に登場していた4名の民間人を発見。これを拘束したところ、三名はオーブ連合首長国代表カガリ・ユラ・アスハとその随員と大河教授の長男の魁とその妹と名乗り、デュランダル議長への面会を希望しております。〉

オーブの姫?ただでさえこの艦にはプラントの議長が乗っているというのに、セレブが二人とは!初陣から飛んだ騒動だ。

追撃に失敗したミネルバは暫くの間カガリとデュランダルの両方を乗せる事となったが、どういう訳かデュランダルは艦内を案内すると言い出した。レイはアスランとカガリ、魁を案内するが、デュランダルの意図を疑った。

デュランダル「本当にお詫びの言葉もない。姫までこのような事態に巻き込んでしまうとは。ですがどうか御理解いただきたい。」

カガリ「あの部隊についてはまだ全く何も解っていないのか?」

デュランダル「ええまぁ、そうですね。艦(ふね)などにもはっきりと何かを示すようなものは何も。しかし、だからこそ我々は一刻も早く、この事態を収拾しなくてはならないのです。取り返しのつかないことになる前に。」

カガリ「ああ、解ってる。それは当然だ、議長。今は何であれ世界を刺激するようなことはあってはならないんだ。絶対に。」

デュランダル「ありがとうございます。姫ならばそう仰って下さると信じておりました。」

カガリ「…」

デュランダル「よろしければ、まだ時間のあるうちに少し艦内を御覧になって下さい。」

カガリ「議長…」

デュランダル「一時的とは言え、いわば命をお預けいただくことになるのです。それが盟友としての我が国の相応の誠意かと。」

シン「オーブのアスハ!?」

2人を部屋へ送り届け、インパルスの整備をしていたシンだったが、ふとルナマリアに、アーモリーワンで自分を助けてくれたザクのパイロットが誰か尋ねた所、それがオーブの代表の名前が出てきて彼は驚いた。

――オーブのアスハ……彼にとっては、特別な意味を持つ名前だった。その名の所為で、自分は家族を失った。そう彼は思っている。

ルナマリア「うん、私もビックリした。こんな所で大戦の英雄に会うとはね。でも何? あのザクがどうかした
の?」

シン「ああいや…ミネルバ配備の機体じゃないから誰が乗ってたのかなって」

間違ってもアスハに助けられたなどとは言えないシンは、咄嗟に嘘をついた。

ルナマリア「操縦してたのは護衛の人みたいよ。アレックスって言ってたけど……でも、アスランかも」

目を輝かせて、そう小声で言うルナマリア。その名前に、シンは驚いて目を見開いた。

シン「え?」

ルナマリア「代表がそう呼んだのよ、咄嗟に。その人のことをアスランって………アスラン・ザラ、今はオーブに居るらしいって噂でしょ?」

シン「アスラン……ザラ……」

かつてのプラント最高評議会議長であるパトリック・ザラの息子にして、大戦時にはネビュラ勲 章を授与され、特務隊FAITHに任命された超が付くほどのエリートの名前だった。

ルナマリア「アスラン・ザラか〜……何か両英雄が、この艦に乗ってると思うと興奮しちゃう
わね」 楽観的なルナマリアに対し、シンは、そうは思えなかった。アスランの事も気になるが、それよ りも魁の方が気になっていた。傍目からは、穏やかな青年にしか見えなかったが、彼に見つ められた時、何だか心の奥底まで見透かされたような感じがした。 温かさの中に、氷よりも冷たい感情がある……そんな瞳をしていた。シンの頭の中には未だ に、その瞳が残っていた。

デュランダル「ZGMF−1000ザクはもう既にご存じでしょう。現在のザフト軍の主力機です。あちらの二機がZGMF−22Sアナーと85Sグラウンド…そして、このミネルバ最大の特徴ともえるこの発進システムを使うインパルス。工廠でご覧になったそうですな?」

アスラン「あ、はい…」

アスランが答えるがそれも満足に聞かずにデュランダルは続ける。

デュランダル「技術者に言わせると、これは全く新しい効率の良いMSシステムなんだそうですよ。私にはあまり専門的な事は分かりませんがね。」

そうは言うが、デュランダルの顔が魁は気に入らなかった。

魁「お言葉ですが、そのような事を仰る割には嬉しそうですね。」

魁がデュランダルに意見する。

デュランダル「嬉しい、そう思うかい?」

魁「会見の事はアレックスさんと私から少しばかりお聞きしました…一兵士の私が口を挟む事ではないのかも知れませんが……私は彼女が仰るように強すぎる力が争いを生むというのは正しいと思います。争いが無くならぬから力が必要というのも一理あるのでしょう…しかし、私は代表を支持します。」

アスランは言葉を選びながらデュランダルに意見する。

アスラン「私は見てきました…力がどのようなものなのか……その結果も……今回もそれと同様です!」

魁は拳を握りしめて思い出す。他ならぬ自分の手で妹から平穏を奪い、その要因となったヘリオポリスのMS……ジェネシス、核ミサイル…それらが今も目に焼き付いている。

デュランダルは柔和な笑みで魁に問う。

デュランダル「だから、力など持つべきではないのだと…君もそう思うのかい?」

魁「はい…」

すると、カガリが声を荒げてデュランダルに詰め寄る。

カガリ「そもそも何故必要なのだ!そんなものが今更!!我々は誓ったはずだ!もう悲劇は繰り返さない!!互いに手を取って歩む道を選ぶと!!」

魁「代表、お言葉が……」

魁が諫めようとした時…

シン「流石、綺麗事はアスハのお家芸だな!!」

シンだ。声を荒げてシンはカガリを睨み付ける……あの眼をシオンは知っている。かつてアスランや自分が抱いた感情、憎しみの眼だ。

魁「あれは・・・?」

デュランダル「彼を知っているのか?」

魁「はい、彼はシン・アスカ インパルスのパイロット。彼は過去の戦争でオーブのオノゴロ島で両親と妹を失い戦後、オーブに移住してきた者ですので……」

シンがオーブ在住なのは魁も聞いていた。そして、先程の言動の理由には心当たりがある。いや、それしか考えつかなかった。中立のオーブから移住してきた彼がカガリに憎悪の目を向ける理由は。

この男、何を考えている?
デュランダル「すまないね。聞き流してくれたまえ、アレックス君」

アスランとデュランダルに頼む。

デュランダル「名は、その存在を示すものだ。ならばもし、それが偽りだったとしたら。」

なんだ?何が言いたいんだ、この人は?

通路の所でアスランは寒気がしながらもデュランダルに見入った。

デュランダル「それが偽りだとしたら、それは…その存在その者も偽り……という事になるのかな?アレックス…いや、アスラン・ザラ君。」

アスラン「偽りとは、どういう事ですか?」

デュランダル「今の君には難しい質問だったか……だが、本当の君なら分かるんじゃないのかね? アスラン・ザラ君」
不意にアスランは話を振られて、キョトンとなるがデュランダルは苦笑した。


アスラン「・・・・・・」

カガリ「アスラン さっきの話お前は――・・・」

アスラン「・・・え?何?」

カガリ「あ・・・いや その 議長はお前の顔・・・知ってみたいだな」

アスラン「ん・・・ああ・・・」

ミネルバのブリッジ内では・・・・

メイリン「〜♪」

通信オペレーターのメイリンはシン達のデータを登録して呟いた。

メイリン「!? 艦長、デュランダル議長からの通信です!」

タリア「議長から?」

メイリン「はい、大河博士の長男である民間人の少年が艦長室で議長と初めての面会するとの事です」
メイリンはデュランダルと魁との面会の話をタリアに話した。

タリア「・・・・アーサー、信号弾の準備を!」

アーサー「艦長、副長の私は…?」

タリア「これは艦長命令よ!最初にレイが代表と艦長室へ案内したから今度はメイリンが私と一緒に艦長室へ行って議長と彼との面会の準備するから・・・メイリン、御案内して!」
メイリン「はい!」
インカムを外しデータの書類を持ったメイリンはタリアを連れて艦長室へ案内した。

レイ「シン!議長と代表に向かって失礼だぞ!」

ルナマリア「シン!」

シン「どうした?」

ルナマリア「私に話があるの!」

魁「大丈夫か・・・」
加奈「うん、大分良くなったみたい」

メイリン〈艦長が通路へ待っています!至急部屋から来て下さい〉
魁「はい、ここで休んでてな」
加奈「うん」

魁「ワッ!何だ!?この音は」
タリア「驚いた?これは信号弾が発射した音よ」
魁「えっ!? グラディス艦長!・・・・」

タリア「最初レイが代表と案内したから、今度は彼女と私があなたを艦長室へ案内してつれてきたわ」
何だ?ミネルバのオペレーター役は女の子じゃねぇか・・・それに年は加奈と同じでツインテールな髪型をしている。

魁は線路で待ち合わせしたタリア共に案内したメイリンを見ていた。

魁「コレが艦長室か・・・・」

メイリン「まもなく議長が来ます!少々お待ちください」
タリア「ええ・・・」

デュランダル「待たせたね、タリア」

タリア「議長」

デュランダルが来てタリアは呻く。

魁「議長が俺・・いや私と面会に来るとは光栄です。アレックスさんと会った事は聞いています!」

デュランダル「アスラン・ザラ君の事か・・・」
メイリン「えっ!?」
メイリンは魁と話したデュランダルを見て呻きだした。
魁「どうしたんですか?」
メイリン「な、何でもありません・・・どうぞ、あなたは私と艦長と一緒に艦長室へ」
魁「あ、ありがとう」

メイリン「議長も艦長室どうぞ!」

デュランダル「ありがとう。」

メイリンの案内通り、タリアと魁とデュランダルは艦長室へ入った。

ルナマリア(やっぱり・・・)

その頃ユニウスセブンでは・・・・
「磁気層到達・・・」

テロリスト「フレアモーター!作動・・・」

サトー「さあ行け・・・我らの墓標よ・・・!」

デブリ帯で安定軌道にあるはずのユニウスセブンが地球へ向けて動き始めていたのだ。

艦長室ではデュランダルは魁と面会を始めた。
デュランダル「そうか、君の父が優秀なコーディネイターだったとは・・・・」

魁「はい・…面目ないんです・・それよりデュランダル議長は今回の件 どうお考えですか・・・・?」

デュランダル「と 申しますと・・・・・・?」

魁「議長は争いがなくならぬから力が必要だと言ったが あんな新型モビルスーツなど作らなければこの事件は 起こらなかったのではないですか?」

デュランダル「君の父・大河教授の意思を受け継いだと・・・」

魁「はい!父はブルーコスモスの盟主ムルタ・アズラエルに殺されてしまったんです、そして俺の・・・いや私の父の意思は私の意志です!」

デュランダル「それが君の真実か・・・・」
魁「はい」

メイリン「彼の言った通り、父はブルーコスモスの盟主であるアズラエル氏に殺害されたと言っています」
魁「ええ、そうね・・・」

デュランダル「君の父の意思を継いだのか?」
魁「はい 私の父の意思が生きています、それで・・・書類は?」

タリア「アーモリーワンからの事件のデータの書類をメイリンが持ってきてくれました」

魁「メイリン?誰ですか、それ?」

タリア「ブリッジ内のオペレーターでルナマリアの妹さんよ」
妹!?あ、あいつがルナマリア・ホークの妹、メイリン・ホーク・・・

タリアはデュランダルの右側に立っていたがルナマリアの妹である事を魁に話した。

タリア「メイリン!」
メイリン「はい」
ルナマリア・ホークとメイリン・ホーク・・・・あの2人は・・・

メイリン「アーモリーワンからの届けてくれた新型MSが奪取された事件の書類データです。」
タリアに命じたメイリンは書類データをデュランダルに渡した。

デュランダル「ありがとう」

タリア「何ですって?分かりました!」
何を話しているんだ?

メイリン「デュランダル議長に最高評議会からの通信です」

デュランダル「どうした?」

メイリン「ユニウスセブンが動き出したという通信が入りました!」

デュランダル「・・・・!ユニウスセブンが動いている・・・・!?」

魁「何?ユニウスセブンが・・・・どうゆう事ですか!?」

メイリン「バートさんの情報した通り、軌道がずれた場所は地球に向かっているようです!」

ユニウスセブンが・・・ち、地球に・・・・そんなバカな・・・

メイリン「原因は分かりませんが 既に向かわせた二隻の艦から輸送されたメテオブレイカーの破粋を試みており・・・」
タリア「もういいわよ!今は休憩して」

メイリン「え!?」

タリア「後は私が代表が来た後に報告するわ メイリン、シン達の所へ行きなさい!」

メイリン「はい、申し訳ありませんが・・・失礼します!」
メイリンはタリアに敬礼し、休憩を取りシン達の所へ行くため艦長室から去っていた。

タリア「議長 ボギーワンは・・・・」

デュランダル「アーモリーワンから別の捜索隊を出す 今は彼と私の面会の方が先だ」

タリア「申し訳ありません!」

地球に・・・落ちる・・・!?

シン「民間人の少年がコーディネイター?」

ルナマリア「そうよ アーモリーワンの自宅に住んでい大河家の長男でしょ?」

シン「大河……魁……」

ルナマリア「何か民間人の兄弟が、このMSに乗ってると思うと興奮しちゃうわね それに私達姉妹も2人の場合はね、MSのパイロットなったのは私ルナマリアで、妹のメイリンはミネルバのオペレーターを努めたから・・・」

シン「そうか・・・」

カガリ「ア……アスラン、私はもう部屋に戻るが……」

口慣れない様子で言うカガリに、アスランは頷いた。

アスラン「ああ。俺も、すぐに戻るよ」

カガリ「じゃあ……」

 カガリは軽く手を挙げてその場から去って行った。


ルナマリア「シン!さっきの・・・あんな事言っちゃって大丈夫?キツイ処分だったらどーすんのよ!」

シン「別に構わないさ!」

ルナマリア「そうそう護衛の彼・・・やっぱりアスラン・ザラだった見たいよ 議長が話してるの聞いちゃった!それに艦長とメイリンと一緒に案内した魁さんと議長が話したのも聞いちゃったから」

シン「え?本当かよ そんな人が何でオーブ代表の護衛なんか・・・」

メイリン「シン、お姉ちゃん、レイ!」
シン「!?」
ルナマリア「メイリン!」
シンが呻き、当直を終えたメイリンは3人の下へ来た。
ルナマリア「どうしたの?メイリン!」

メイリン「何か大変な事になっているのよぉ〜 その前にもう一つは・…」



タリア「既にアーモリーワンへの救援、調査隊が出ているとの事ですので、うち一隻をこちらへ皆様のお迎えとして回すよう要請してあります。」

デュランダル「この書類をプラント最高評議会に渡すとしよう!」

魁「はい、失礼します!議長の話・・・疲れるなぁ・・・ ん!?」

シン「アスラン・ザラ?あいつが?」
ルナマリア「…」

メイリン「だってぇ、議長が言ったのよ、『アスラン・ザラ君』って。それで彼、否足しなかったんだもの。でもでもっ!それだけじゃないの、凄かったんだからぁ!」
メイリンは彼が『アスラン・ザラ』だと無邪気な表情でシン達に告げた。

あの護衛役が、アスラン・ザラ、そんな、バカな・・・

魁「あの……」

アスラン「お? 何だい?」

ふとアスランに話し掛けられ、魁は首を傾げる。

そもそも何故必要なのだ!そんなものが今更!!我々は誓ったはずだ!もう悲劇は繰り返さない!!互いに手を取って歩む道を選ぶと!!

流石、綺麗事はアスハのお家芸だな!!

それが偽りだとしたら、それは…その存在そのものも偽り……という事になるのかな?アレックス…いや、アスラン・ザラ君。

そうそう護衛の彼・・・やっぱりアスラン・ザラだった見たいよ 議長が話してるの聞いちゃった!

だってぇ、議長が言ったのよ、『アスラン・ザラ君』って。それで彼、否足しなかったんだもの。でもでもっ!それだけじゃないの、凄かったんだからぁ!

アスラン「くっ!」

シン「全く面倒だよな・・・・彼が民間人の少年がコーディネイターだとは・・・」

レイ「テストパイロットとしての義務だ」

シン「分かってるけどさぁ・・・・」

ルナマリア「だって彼はコーディネイターだし・・・オーブ代表の護衛の彼・・・やっぱりアスラン・ザラかもね・・・」

メイリン「でもぉ、ほんとに名前まで変えなきゃなんないもんなのぉ?だってあの人前は…」

ルナマリア「何言ってのよあんたは。いくら昔…」

 と、その時、反対側の通路からシン、レイ、ルナマリア、メイリンの一団がやって来た。

メイリン「ぁ!ぅぅ…」
メイリンはレイの背後に隠れた。

「あら、シン。初実戦、お疲れ様」

「ど〜も……」

同期ではあるが、年齢が三つも年上なので周りから生意気呼ばわりされてるシンも、幾分かシェイナの前では自粛する。

ルナマリア「へぇー、ちょうど貴方の話をしていたところでした、アスラン・ザラ。まさかと言うかやっぱりと言うか、伝説のエースにこんなところでお会いできるなんて光栄です。」

 その中でルナマリアが目を輝かせて、アスランを一瞥する。

アスラン「そんなものじゃない……俺は、アレックスだよ」


ルナマリアが言うと、アスランはキッと目つきを鋭くして彼女を睨み付けた。

魁「お、お前は?」

シン「よせよ、ルナ。オーブなんかにいる奴に何も分かってないんだから……」

アスラン「ん?」

ルナマリア「でも、艦(ふね)の危機は救って下さったそうで。ありがとうございました。」
レイ「失礼します」

ルナマリア「では・・・」

メイリン「あ、待ってよ、お姉ちゃん!」

「だって、私を部屋に案内してくれた時は結構、優しいと思ってたのに、今の態度は何ですか?仮にも兄さんは年上なのに……」

「仮も何も、年上なんだけどね……ひょっとして、年上の威厳が無いのかな?」

「あると思ってるんですか?」

「うわ……」

妹のキツい一言に、魁は笑みを引き攣らせて二つのカップにコーヒーを注ぎ、片方をカナに渡した。

「毎度、思うんですが、兄さんってコーヒーには変な拘りがありません?」

「ああ、これね。昔の職場の先輩からの受け売りでね。その人が、大のコーヒーマニアだったか
ら、つい影響されて……」

お陰で喫茶店をやろうと思うようになったとシオンは苦笑した。カナは『昔の職場』という事に眉
を顰める。

「軍……ですか?」

「ん? さぁ……どうだろうね」

「兄さん、私に隠し事はやめてください」

そう言われて魁は、目を丸くするが、カナの真剣な目で見られてフッと唇を吊り上げると、
彼女の隣に座った。

「別に大した話じゃないよ。MS乗って、戦って、軍を抜けた。本当に、それだけだったよ」

「人を殺したんですか?」

「…………うん。何人も何人も……皆は“白銀の天魔”なんて呼ぶけど、それだけの異名が付けられるぐらい、多くの人を手にかけてきた」

そう言って、魁は自分の掌を見つめる。傍目からは白いと思われる、この手も彼に赤く見えた。沢山の命を奪って、それで自分は平和に喫茶店を営んでいる……魁は、そんな罪悪感を感じた。

「兄さん……」

「ん?」

「兄さんは、とても優しい人です。大怪我していた私の治療の為に、プラントへ連れて行ってくれた時、軍に見つかる可能性だってあったかもしれないのに……」

「いや〜、むしろ灯台下暗しを狙ってたりして……」

笑いながら言う魁に、加奈はクスッと微笑んだ。

「ですから、そんな兄さんを侮辱する、あのシンという方は嫌いです」

「ま、その辺は君らの問題だから首は突っ込まないよ」

魁はポンと加奈の頭を撫で、コーヒーを口に含んだ。


宇宙空間だと夜という概念が分からないので、消灯時間だけが頼りだった。シオンは、ベッドでカナが寝息を立てて、眠っているのを確認すると、静かに部屋から出て行った。

廊下は暗く、薄明かりしか点いていない。フワッと浮かびながら、シオンは常に明かりの点いているレクリエーションルームにやって来た。

そして、彼の言葉は現実となる。戦争の引き金となった血のバレンタインの中心――ユニウス7の落下という名によって……。
プラントではある異変が察知されていた。



⇒To Be Continued...

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