しゅごキャラ!キュンキュン 第三十一話「影で動く者達」
作者: My heart egg   2017年10月07日(土) 08時56分46秒公開   ID:y.W.qTLzo2E
しゅごキャラ!キュンキュン31

第三十一話以降の新しい登場人物
ムーンナイト
闇の心を持っていた月詠幾斗から作られたクローンに、さらに闇の心を植え付けた物。真っ黒なたまごの偽たまを持つ。

リリス
闇の心を持っていたほしな歌唄から作られたクローンに、さらに闇の心を植え付けた物。×ダイヤのたまごの偽たまを持つ。

ジョーカー
闇の心を持っていた日奈森あむのクローンの第一号。オリジナルのあむとは髪の色が違い、黒髪である。一彦の実験により作られた、オリジナルのあむが持っていた四つの×たまの全ての力を結集させたたまごを持つ。

第三十一話「影で動く者達」
一彦は消え去る時、コロナのいる部屋ではなく、愛する我が家、下里家に帰ろうと決めていたので、今彼は下里家の前にいた。最近家に帰ることもなかったので、とても懐かしく感じながらドアを開けた。
一彦「ただいま」
二人「おかえりなさい!!」
ドアを開けるとそこには、娘である下里優子と、エッグメーカー社へ連れ出した少女、日奈森あむが笑顔で立っていた。
一彦「私が帰ってくるのがわかってたのか?」
優子「ううん。でも、パパはそろそろ帰ってくるだろうって思ったの」
一彦「そうか。じゃあ何故君まで出迎えてくれたんだい?」
一彦はあむの方を向いてそう言った。
あむ「あたしも、ずっとここに置かせてもらってるから、お礼したくて……でも何て言えばいいか分からないから、一彦さんが帰ってきた時におかえりなさいって笑顔で言うことしか、今は出来ないかなって思って…」
一彦(そうか。日奈森あむにとっては、初めて連れてきた時に置いていたあの暗い部屋より、ここの方が落ち着くのは当然か)
一彦「そうだったのか。それは私も帰ってきてよかったって思えるし、君も今だけは家族の一員なんだと思うようになったよ」
あむ「それは、あたしも嬉しいです」
優子「よかったね、あむ。さ、夕ご飯にしましょ。いつも二人で食べてて寂しかったんだから、パパも早く手洗ってきて」
優子は一彦を洗面台へ行くよう促し、一彦の背中を押した。一彦は何度も頷きながら、洗面台へと向かった。
一彦(仕事に囚われてばかりだったからな。奴のことは、今日だけあいつらに任せてもいいだろう)
洗面台の鏡に映っている自分。その顔は、家にいる二人の家族を思う父親の顔であった。
一方、エッグメーカー社では、松野雪菜とその他のre_birthメンバーが集まっていて、会合をしていた。
雪菜「ガララ君は何を言っても駄目。あの最強の力、なんとしてでも手に入れたいのに…………もう一方の方を進めるしかないわね」
リリス「ふーん。アッシュ様から頼まれたことを放棄するの。ならばあなたはクビよ。出て行きなさい」
雪菜「う、うるさいわね!放棄じゃなくて、保留よ!」
リリス「ふん、何強がっちゃって。偽たまも持ってるだけだし」
雪菜「なっ、これ以上言うなら!」
ムーンナイト「それは俺のセリフだ。二人とも、これ以上言うなら出て行け」
ムーンナイトが二人を宥め、雪菜とリリスの言い争いは終わった。
雪菜「話を戻すけど、もう一方の方を進めるということで、何か方法は無い?」
雪菜がそう言うと、その場に沈黙が流れた。数分後にそれを破ったのはジョーカーという少女だった。
ジョーカー「あたしが聖夜学園に行って、×たま狩りをしてくる。これはどう?」
リリス「あんた、聖夜学園に行って大丈夫なの?」
ジョーカー「あたしがあの日からいなくなって、そろそろ二ヶ月が経つ。あたしもそろそろ世間に顔を見せなきゃと思うの。妹も心配しているだろうしね」
リリス「ちょっと待って。家族にも顔を見せるの?それは大問題になるわよ!」
ジョーカー「それは無いわよ。両親は今頃世界で仕事をしている筈だから」
リリス「そ、そうなの」
雪菜「わかったわ。では、学園で×たま狩りをするのと同時に、ガララ君のことも見てもらおうかしらね」
ジョーカーはこくんと頷いた。制服は下里家にいるオリジナルのあむからこっそり借りることとなり、偽物のあむが聖夜学園に行くことが確定した。
一方、その聖夜学園でも、誰にも知られず、一人で行動している者がいた。先日のガララとの戦い以来、聖夜学園のパソコン室を貸し切っているような感じで使い、エッグメーカー社へのアクセスを試みてきた者。その者の名は、辺里唯世。春休み中であるにも関わらず、一人学園に足を運び、もう二週間くらい、エッグメーカー社の実験についての情報が無いかを探していた。エッグメーカー社の経済ニュースはもちろん、その他のニュースまで、関係のあることは全て調べたが、唯世の知りたい情報は全く無かった。
そこで、もう一度原点に戻ることにした唯世はまず、エッグメーカー社の社員について調べることにした。念入りに社員名簿を見ると、あむが拐われた直後に見たときには載っていなかった者の名があった。その者の名は、松野雪菜。春休みが始まった頃にロワイヤルキャッスルでパーティを開いた時に、ガララとムララの保護者と言っていた者だ。彼女ならガララの変化について何か知っているかもしれないと思い、彼女について調べることにした。しかし、ここまでだった。この先はパスワードが必要で、調べることが出来なかった。
唯世「後もう少しで、僕の知りたい情報に辿り着く筈なんだけど」
唯世は電源を落とし、ここから出ることにした。
唯世「はぁ、ガララ君の家がどこか分かればいいけど、あの日僕はやられたんだよな、敵の幾斗兄さんと歌唄姉さんに………ん?あの子は確か……」
唯世がパソコン室を出て、窓の外を見た時に目に映ったのは、ガララの妹のムララであった。唯世は真っ先にムララの元へ向かった。ムララは突然唯世が現れて驚いていたが、普通に話を聞いてくれた。唯世の話が終わると、ムララは家まで案内すると言ってくれたので、唯世はついていくことにした。
聖夜学園から数分歩くと、松野家についた。
ムララ「最近セツナ、帰ってきてないから、どうぞー」
唯世「お邪魔します」
唯世は靴を脱ぎ、居間へと向かった。そこには、傷ついたガララがソファに横たわっていた。
唯世「ガララ君!?」
ガララ「タ、ダセ。助けて……もう、嫌だ。クルしみたく、ない……」
ムララ「お兄ちゃん!しっかりして!お兄ちゃん!!」
ガララの目には、涙が浮かんでいた。そしてそのまま、ガララは意識をなくした。
唯世はガララの側にいることしか出来なかった。
■作者からのメッセージ
どーもお久しぶりです。著者のMy heart eggです。
今回で第三十一話となりました。
半年間休止にしており申し訳ございません。
今度はまた活動を続けていくので、これからもよろしくお願いします。

■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集