チビドロ
作者: 冷夏   2010年02月28日(日) 20時12分59秒公開   ID:ov6RKaAr3rc



=2= 前を


<知美 目線>


ことの発端は中学生のときだった


具合が悪くて保健室に行くと


先生があわてたように近づいてきた


「あらっ!とても真っ青よ!熱を測って・・・・!」


私は体温計を脇にはさみ


保健室の椅子に座った


ピピッ ピピッ ピピー


体温計が鳴る


見てみると・・・


「あ・・・。」


体温は37.8


熱っぽかった


「今日は帰りなさい。家に今連絡を入れるから。」


「あ、大丈夫です。すぐ近くなんで・・・。」


私の家は学校を出て坂を下り真っ直ぐな通りを行くだけだった


「そう?じゃあお大事にね。」


「はい。」


私は教室に戻った


「え〜!知美、帰っちゃうのー!?」


「いいな〜。」


友達は心配をしてくれたりからかったり・・・


少なくとも私には良い友達がいた


「じゃあね・・・。」


「ばいばーい!」


友達と別れて私は学校を出る


具合が悪いせいか教科書が思いせいか・・・


肩がすごく重かった


「早く帰ろう・・・。」


私はなるべく早く歩いた


家に帰ったら部屋のベッドに飛び込もう


そんなことを考えながら・・・


〜〜〜〜☆〜〜〜〜★〜〜〜〜☆〜〜〜〜★〜〜〜〜


「あ・・・れ・・・・・?」


鍵がかかっている


留守なのだろうか・・・


私はポケットの中にある鍵を取り出し中へ入る


「・・・・・・。」


悪い感じがしたのでなるべくそっと入った


「・・・どうして?」


私の心臓は悪い予感で満ちていた


そして・・・


私は母親がいるであろう居間に行く


誰もいない


「・・・誰もいないんだ・・・。」







ガタン!




「・・・!」


突然聞こえてきた物音


上にいるのだろうか・・・


私は階段を上る


段々聞こえてくる音


まるで何かが軋む音・・・


「お母さ・・・・。」


私はそっと開けた


そこには・・・


ベッドに横たわる知らない男と母親


「・・・・!!!」


私は気づかれないようにドアを閉めた


私は壁にもたれかかる


「はあっ・・・はあっ・・・!」


息が自然に荒くなる


しかし私は息を殺した


息を殺したまま・・・


家を出た


もう具合が悪いのも忘れていた


そして私は知らない橋の下まで走り抜いた


そしてそのまま倒れこむ


「うっ・・・ひくっ・・・・・。」


とたんに自分から聞こえてくるすすり泣き


心が・・・壊れそうだ


ピラ・・・


とたんに私のそばに紙が落ちた


私は急いで顔を上げた


でも誰もいなかった


この紙はどこから来たのだろう・・・


私は紙を見てみた




「・・・・・・!」


そこには変な呪文と


その使用方法が書かれていた



『深い悲しみに支配されたあなた。
   その悲しみという名の闇を
      あなたの力に変えませんか?
         これはそのための魔法です。
 しかしこれは
    あなたの魂と闇を使います。
       それでもあなたは
          この呪文を唱えることを誓いますか?』



最初はばかげてると思った


でも・・・


「本当に力になるの?本当に・・・・この不幸が・・・・・。」





私は唱えた








「本当に力になるんだったら・・・・・









     くれてあげてもいい・・・・・魂くらい・・・・・・・。」






〜〜〜〜☆〜〜〜〜★〜〜〜〜☆〜〜〜〜★〜〜〜〜


「・・・・・。」


光はずっとその話を聞いてくれていた


彼はこれ以上の闇を心に秘めている


私は闇を喰われてしまった・・・


「・・・負けちゃった・・・。」


「あはは(汗)。」


光は苦笑いをした


それは昼の光だった


彼は苦労したであろう


自分の心の闇を隠すために


偽りの笑顔を周りに向けて・・・


「私って甘いね・・・・・。」


私は笑って見せた


「あなたの方がよっぽど・・・・強い・・・・・。」


光は私のその言葉を聞いてキョトンとする


「僕は強くない。この力を手に入れた時点で僕は・・・・・




                   前を見る力を失った・・・。」



「・・・・前を見る力??」


「うん。君にはもうその力が戻った。だからもう進めるよ。」


「進める??」


「過去に縛られないで前進できるって意味だよ。」


光は私の手を取る


そして笑いかけた


「夜の僕の姿は秘密にしてね(笑)。」


「・・・ええ。」


「うーん・・・・・・。」


光は考え込む


「・・・・?」


そして・・・


ガツッ!!


光は思いっきり私の頭を殴った


私は気を失う




そして聞こえた光の言葉


「思い出されると厄介だから、記憶を消しといて。ヒイラギ・・・。」



私の意識はそこで途絶えた



こわいよ・・・光(悲)




■作者からのメッセージ
最後はちょっと最悪な結果??

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