シェイキング@
作者: ケイ   2010年04月18日(日) 22時35分24秒公開   ID:m5M8TG0eh.A
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あたしはまだ誕生日がきていない。
だから14歳。

あたしの名前はリシエル・ファーミー。
手短にリシーと呼ばれている。

あの事件が起きたのはまだ冬の風が吹いているころ。
2月と3月の間くらい・・・。



「きゃあああああ!!!」



叫び声がすべての始まり。
この叫び声はあたしのだ。

その叫び声のわけ。
それは
家族が血まみれで家に倒れているということ。

お父さん。
お母さん。
妹。

その光景をまだ覚えている。
確か2月28日。

2月の終わりは最悪なものになった。

あたしの身柄は警察に引き取られる。
あたしは婦警と一緒にされ、
取調室に連れて行かれた。

そこでされるいくつかの質問。
それは心無いものだった。

「何か見た?」
「なんか心当たりは?」
「盗まれたものはある?」

ねぇ教えて。
家族の安否を。

「大丈夫。助かるよ。」

やっと聞こえたその言葉。
しかし説得力がない。

お願い。
ここから出して。
この狭苦しい室内から。

やっとあたしは知り合いに引き取られた。
家族の情報は唯一つ。

「全員胸を一突きです。」

安否はもうわかりすぎた。
わかりすぎる答えは時に人を傷つける。

全員死んだ。

あたしは一人。
あたしは一人で公園にでかけるようになった。

あたしは公園のベンチで読書をする。
そして次のページをめくる。

その時に風が吹いた。


ビュオオォォォォオオオオォォォオ!!



ページが無理やりめくれる。
あたしは一生懸命読んでいたページを探した。




その時あたしは隣に気配を感じた。


「ぶっっ!!」

見てみると男の人があたしを見ていた。

「あの・・・どちらさまですか?」

とっさに聞いた。
男はあたしの本に手を伸ばす。

そして

「235Pだよ。俺見てた。」

「え・・・。っていつからいたんですか!?」

ずっとさっきからいたの!?
リシー不覚・・・。

「俺はさ、ずーっといたよ。あんたがあんまり悲しい顔してたからさ。」

そして男が怪しく笑う。
そして顔を近づけ
耳元でこう言った。



「そういうの大好きなんだよね・・・。」




最っ悪だ!!




あたしの中で雷が轟いた。
あたしは立ち上がった。

「失礼しますっ!」

こんな男の人とは一緒にいられない!

「待てって。」

でも男はあたしの腕を引っ張った。
あたしはバランスが取れなくなり
男の膝にトサッとのってしまう。

男はまたわらいかける。

「話してようよ。迷宮入り事件のたった一人の生き残りさん。」

「!!!」

あたしは動けなくなった。
生き残り。
そう。
取り残されたあたし。

でも・・・
ちょっと待って。

「今・・・迷宮入りって・・・?」

「ああ。だって犯人がまだ捕まっていないもんな。」

「ただの殺人事件じゃ・・・。」

「いや。俺は犯人の顔を知ってる。」

「!!・・・誰?」

男は真剣な顔になった。

「多分・・・知っても何もできないぞ?だって戸籍とかに登録されてない人間だもん。ってか人間?知らんわ。」

あたしは男の顔を見る。

「お願い!教えて!」

懇願するようにあたしは顔の前で手を合わせる。
男は頭をかく。

「・・・お前は殺すのか?その犯人を・・・。」

「うん!」

「そうか・・・。」
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