お化けと呼ばないで
作者: 零堵   2010年06月08日(火) 18時00分18秒公開   ID:LjOpF6jSo/I
「あれ・・・?」
僕は、辺りを見渡してみるそれは何も無い、虚無の世界。
色で例えると真っ白な空間である。
「何でこんな場所にいるんだ!?僕は・・・」
何故かその場所にいる、外見は少年に見えるが足は無い。
足が無いので空中に浮かんでいる、少年は、自分の足が無い事に気がつく。
「うわあ!あっ足が無い〜!!」
少年は、パニックに陥った。
まあ当然か、いつも使っていたと思われる足が唐突に消えたのだから無理も無い。
「そりゃそうだよ?だってアンタ、死んじゃったんだから?」
「え?」
少年は、声のした方向へと振り向く。
するとさっきまで誰もいなかった場所に女性が立っていた。
少年と違ってちゃんと足が付いている。
「ぼ、僕が死んだって?まさか!?」
「まさかと言っても無駄よ、だって死んだ事は事実よ?素直に受けとめなさいよ?」
素直に、受けとめなさいよと言われても、少年には無理なようである。
「何で僕が死んだのさ?確か、僕は健康で死ぬような要素はなかったと思うんだけど?」
少年はそう言う、女性は溜め息をつきながらこう言う。
「そう、あんたは死ぬ事なんて無かったのよ?ほんとはね?
でもあんたは何故かここにいる、これが何を意味してるか解る?」
「何をって?一体僕に何があったの?」
少年がそう言うと、女性は落ち着いた表情で言った。
「思い出してみて?あんたに何が起こったかを・・・」
女性は、そう言った。少年は思い出してみた。
少年、朝桐桂太に起こった出来事を・・・

〜回想〜
「ふわあ・・・朝か」
最近、テレビで人気のある曲が流れる目覚まし時計で彼は目覚めた。
彼の名前は朝桐桂太、まだ小学生の幼い少年である。
「あっ今日、日曜じゃないか?早起きして損したかも?」
桂太は、寝むたそうに言っている。
気を抜いたらすぐに眠りについちゃうような、そんな感じだった。
「やっぱり、寝てようかな?」
しかし一度起きてしまった為か、どうも眠れない、仕方なく僕は、朝飯を食べる為に台所へと向かったんだけど・・・
「あら?おはよう〜?可愛い桂太ちゃん」
そこには、知らないおっさんが、どう言う訳か僕が来るのを待ってたみたい
「うわ!あんた誰!?」
かなり驚きながら、無意識に叫んでいた。
そりゃそうだよ?
だって知らないおじさんが勝手にくつろいでるんだから誰だって驚くって?
「あんた誰は無いでしょ〜?これから私と一緒に暮らすんだからね?桂太ちゃん」
なんか今、有り得ない事をさらっと言ったような・・・?
「ええ!?暮らすって!?僕のパパとママは何処行ったの!?」
僕は、おじさんに聞いてみる。おじさんの口から絶望的な言葉が返って来た。
「桂太ちゃんのパパとママ?そうね・・・このプロジェクトに参加拒否したので葬ったわ?」
「え・・・嘘・・・」
僕は信じられなかった、大好きだったパパとママが消えたなんて、そう考えると涙か溢れてくる。
「パパ・・・ママ・・・」
僕が泣いていると、何故かおじさんはカメラを持っていて、僕の泣き顔をカメラに納めている。
一体何に使うんだろう?と、気にはなったが
やな予感がするので聞かない事にした。
「まあ、これでプロジェクトに何の問題は無くなったわ、さっ桂太ちゃん?これを飲みなさい?」
おじさんは、懐から一粒の薬を僕に差し出した。
僕の答えは決まっている。そりゃそうだ、知らないおじさんから薬なんて、きっとやばい代物に間違い無い。
「いりません、結構です〜!」
僕は、怖くなって逃げ出した、行く宛てが無いが、家にいるのは危険と思ったからだ。
「逃がさないわよ?来なさい!」
おじさんは指を鳴らした、すると全身黒で包みこんだ男二人が、僕の事を捕まえる
「離してよ!」
僕は、必死にもがくが変わらなかった。
まあ小学生の僕に、男二人から逃げる事など不可能と思う。僕は諦めておじさんの元へと戻った。
「まったくなんで逃げちゃうの?」
そう言われても、誰だって逃げるって?
「その薬は、何・・・?」
「とってもすっきりする薬よ?ほら、飲みなさい!」
おじさんは、僕に無理矢理、怪しい薬を飲ました。
「嫌だ〜!うっ!」
僕は、飲んだ瞬間、体が重くなり意識が遠のく、薄れゆく意識の中でおじさんの一言が頭に響く。
「お前は、生まれ変わる、ファントムとしてな・・・」
そう聞こえた、僕は思った
なんでここだけオカマ言葉じゃないのだろう?と
僕の意識は完全に失った。

〜回想終了〜
「そうだ!僕は知らないおじさんに、怪しい薬を飲まされて・・・」
「思いだしたみたいね?そう、あんたはそうやって死んだの、だからこの場所にいる訳、解った?」
僕は、思い出してむかついてきた。
そりゃ当然だよ?だってね?知らないおじさんに殺されたようなものだから
「じゃあ!仮に僕が死んじゃったとしてここは何処?なんで僕はここにいるの?」
僕は、女性に聞いてみる、女性は再び溜め息をつきながらこう言った。
「それは私が聞きたいわよ?ここは死後の世界への通り道なんだから?ここから天国と地獄に行く筈なんだけど・・・」
「はずなんだけど・・・?」
なんか嫌な予感がする、女性はきっぱりこう言った
「あんたには道が無いのよ?だから天国にも地獄に行けないの?」
「ええ!?じゃあここをずっとさまよう事になるって事?」
「そう言う事になるわね?」
そう言われても・・・僕はこれからどうすればいいのか?
僕はこの場所にずっといたくない、出来れば元の世界に帰りたいとも思う。
「一つ聞きたい事があるんだけど?」
「何?」
「ここから脱出したいんだけど、何か方法はありませんか?」
僕は聞いてみる、良い答えが返って欲しいと思った。
「そうね・・・、あんたには道が無い、けれど扉はある筈よ?扉を探してみて?
その扉のその先は、あんたのいた元の世界へと繋がってると思うわ
まず探してみて?」
僕は、それを聞いて素直に喜んだ。元の世界に戻れるなんて、願っていた事が叶えられたと同じ事である。
「解った、ありがとう、あっそういえば貴方は誰なんですか?」
「私?私は唯の案内人よ、もう二度とあんたに会う事ないかもね?それじゃ」
そう言って、女性はぱっと消えた。どういう原理で消えたのは不明だが、女性は僕の前から消えた。
「良し、扉を探せばいいんだ?」
僕は、扉を探す。扉はすぐに見つかったが、問題があった。
「あれ・・・ドアノブが無い」
これじゃ、元の世界に帰りたいの帰れないじゃないか?どうしよう?
「うーんどうしよう・・・」
僕は、考えた。とりあえずタックルしてみる。
失敗、また考えた、しかし何も思いつかない。
「僕は、ここにずっといる事に・・・?」
そう言って落ち込んでいたらさっきの女性が現れる
「まったく・・・見てられないわ。扉を見つけたのは良かったわね?でも何故その先に行かないの?」、
「行かないのでは無くて、行けないんだけど・・・ドアノブが無いから・・・」
僕がそう言うと、女性は呆れたようにこう言った
「何だそんな事?それはね?」
女性は、扉に手を付けて横に押す、扉は簡単に開いた。
「これ、引き戸になってるのよ?」
そう言う事は、早く言ってください、頼むから
僕は女性にありがとうと言うと、扉の先の世界へと、つまり元の時代へと帰って行ったのである、僕の身に何が起こっている事を知らずに・・・


「う・・・」

僕は、目覚めた、その世界は真っ白だった。
部屋の中だという事は解ったが、見た事ない物が壁中に飾ってあった。
「ここ何処だろ?それに何か、体が大きくなってるような・・・」
僕は、自分の体を見てみる、良く見たら、背も伸びて手足も大きくなってるような気もする。
僕が死んで、あれから何年かが経過しているみたいである。
「それにしてもここは何処なんだろ?」
僕がそう言うと、学校のアナウンス見たいに、放送が聞こえてきた。
「ようやくお目覚めかね?ファントム」
ファントム?何それ?あれ?でも何かどっかで聞いたような・・?
「お前は最強兵器として生まれ変わったんだ、だから我々の為に役にたって貰う」
役にたつ?最強兵器?何の事?僕には理解が出来なかった。いや普通出来ないでしょ?
「どうやら理解出来てないようだな?これでどうだ?」
そう言った後、部屋の一部が開けられて、中から大量の獣、百獣の王と呼ばれるライオンが僕に向かってくる。
「さあこの獣を倒して見ろ、お前の実力を見てやる」
ええ!?そんな事を言われても?僕は、ライオンを眺めてみる。ライオンは興奮して襲いかかってくる、あの・・・どう勝つか考えても、100パーセント勝てそうに無いんですけど・・・?。
「さあ、お前の力を我々に見せてくれ」
見せてくれと言われても?どうすればいいんだ。ライオンは牙を剥き出しにして襲いかかってくるというのに。
「こうなったら、駄目で元々だ、やってみるしかない!」
僕は、覚悟を決めてライオンに襲いかかる。
ライオンは、僕に無数に噛みついた、噛まれた所に激痛が走るが、一滴も血が出なかった、それが一番の謎である。
「何か解らないけど勝てそう!」
僕は、ライオンに向かって殴りかかる。ライオンは一発当たっただけでかなり遠くに吹っ飛んだ。
最強兵器と言うのも、嘘じゃないらしい、でも人の体を勝手に改造して欲しく無いなと、僕は思った。
「いける!うりゃあ!」
僕は叫びながら、ライオンを次々となぎ倒す。
何だか気分が良い、全て倒した後、また放送が聞こえる。
「さすがだ、最強兵器と呼ばれる事だけはある。ファントム、お前に指令を与える」
指令?いきなり?そんな事言われたって、素直にはいそーですかと、聞く筈無いんだけど・・・。
「何で僕がそんな事しなくちゃいけないんだ!」
そう言うと、すぐに返事が返ってきた。
「お前に拒否権は無いのだよ、お前は我々が巨万の財力で作り上げた最高傑作なのだからな?ちなみに命令違反を行った場合、記憶を消去して、操り人形見たいに扱うが、構わないか?」
それはそれで嫌です、はい、せっかく生き返ったのに、操り人形見たく扱われるのは絶対に嫌だから。
僕は、仕方が無く、指令を引き受ける事にした。その指令とは・・・
一つの組織を壊滅させてこいだった。
暗い闇の中、大陸の中心に立つ住宅街、その住宅街からかなり離れた場所、一軒の建物が建っている。
「あそこが、今回のターゲットだ、ファントム」
ファントムと呼ばれた者、つまり僕に言っている。ちなみにその場には、僕しかいない、ここに来る前に渡された無線機で言っている。
「やっぱり僕には、拒否権は無いのかな?」
そんな事を言ってみる、返ってきた言葉は、予想通りだった。
「お前に、拒否する権利はある訳無いのだ、命令違反したら、記憶と人格を消す」
「解った・・・結局やるしか無いのかな?」
「そう言う事だ・・・、今回のターゲットの詳細を教える
今回破壊する組織は、殺戮兵器を製造している科学研究所だ、様々な迎撃トラップが、あると思われるが」
え?トラップ?かなりやばいのでは・・・?。
「それをクリアして、建物の中心にある機械を破壊するのが任務だ」
そう言われても、こんな真夜中に建物に侵入って・・・僕は、はっきり言ってやりたくなかった。
でも断ると何されるか解らないし・・・。結局、言われた通りに行動する事にした。
「任務を達成したら知らせてくれ、では、健闘を祈る」
そう言って、無線が切れた。
「やっぱ、やるしか無いのか・・・はあ」
僕は、深呼吸して気持を整えると、建物に向かって走り出す。
「トラップ満載って言ってたけど、どうしよう?あっ」
建物に入ろうとしていて、気づいた。
出入り口が真正面しか無く、その周りは柵で囲んでいる。
良く見ると、登ろうとすると傷だらけになる針金見たいな物が備え付けられていた。
「出入り口は、ここしかないのか・・・でも扉が閉まっている」
当たり前である、今の時刻は夜中、普通のお店でもやっていないのに開いていたら、かなり不用心な建物である。
「う〜んどうしよう?やっぱり破壊して中に入るのかな?、開くか解らないけど」
結局、それしか方法が思い付かなかった、早速実行した。
「はあ!」
扉は、一発殴っただけで簡単に開いた、と言うか原型も解らなくなるような無惨な形へと変貌していた。
たった一発でここまで壊れるなんて、予想していなかった。
「すごい・・・まさかここまでぱわーあっぷしてるとは・・・おっと任務を遂行しなくちゃ」
僕は、建物の中へと入ろうとした。一歩入った瞬間、警報が大きく鳴り響く。
「警報!警報!我々のアジトに侵入者有り!除去隊!対象者を見つけ次第殺せ!以上!」
そう聞こえた、僕は驚く、だって見つけ次第殺せって?それってここがかなりやばい所と言っているような物だったからだ。
「とっとにかく、さっさと終らせよう・・・」
そう決めて、奥深くへと進んでいく。
扉を開けると中は、広い廊下になっていて部屋がいくつもあった。
まるでダンジョン見たいな構造になっている。こんな面白そうな建物には大抵モンスターとかいそうだが。
「見つけたぞ!」
「あっ見つかった・・・」
出くわしたのは、完全武装した数人の男だった。手には当たったら一発で死にそうなライフルを持っている。
「撃ち殺せ!」
男達は、僕に向かって乱射してきた。
「うわあ!」
僕は悲鳴をあげる、避けきれなくて全て命中する、辺りは白煙に包まれる。
「やったか?」
男の一人がそう言う、白煙はすぐに消えた。
「あれ?僕・・・生きてる?」
確かに弾は全て命中していた。服に弾丸で付いた穴があいてるし?でも僕は生きていた。
「な!生きてるだと!何だこいつは!」
それはこっちが聞きたいです、はい、僕にも原因が解らないのだから。
「もしかしたら外れたかもしれん!撃ちまくれ!」
男達は、もう一回撃ちまくった、しかし・・・やっぱり僕は死ななかった。兵士達はこう叫んでいた。
「この!化け物め!」
そう言われた、僕はこれからどうしよう?と迷っていたのであった。
「この化け物め!くたばりやがれ!!」
そうはっきり言われた、化け物って・・・確かに弾丸を喰らって生きてるなんて、化け物と同じだろ、だけど・・・。
「お前らに言われる筋合いはないよ!」
僕は怒った、だって初対面の人間にいきなり化け物だ!と言われたら誰だって怒るでしょ?。
「銃じゃ駄目か・・・ならこれならどうだ!」
兵士達は、銃を捨て、切味の良さそうなナイフを装備した。
「ええ!、ちょっと!」
僕は戸惑った、弾は大丈夫だったけど、刃物はやばいかもしれないと思ったからだ。
「死ね〜!」
兵士達は、僕に切りかかった。僕は腕でガードするが、突き刺してきた。
「痛い!」
一瞬刺された所に激痛が走った、その痛さで無意識に男を殴っていた。
「ぐはあ!」
兵士は、叫びながら数十メートル吹っ飛ぶ、そして壁に激突して気絶した。
仲間をやられたせいか、兵士達に殴りかかって来る、僕は、やらなければやられる!と思い、反撃した。
そして・・・除去隊と思われる男達を全て倒したのだった。
「これで、邪魔する者はいなくなったみたいだね?」
その場は、シーンと静まり返っている、明かりはついていたが、全員倒したので静かになっていた
「さて、任務をやり遂げないと?」
僕は、部屋の一つ一つを調査した、そして数十分後、破壊兵器室と書かれた部屋に入った部屋の中は、見た事無いような機械やパソコンがあった。
「えーと、ここを破壊すればいいのかな?でもどうやって破壊しよう?」
僕が悩んでいると、声がした。
「貴方!ここに何の用?」
声を出したのは、白衣を着て眼鏡を掛けていた、暗がりで顔は良く見えないが知的美人に見える。
「あっえーと・・・」

僕は、戸惑った、何て説明しようと思っていたら、女性から話し掛けてきた。
「もしかして・・・貴方、私を助けに来たの?そうなのね!」
女性はそう言った、え?助けるって?
「いや、僕はここを破壊しに来ただけなんだけど・・・」
僕がそう言うと、女性は怒った、そして周りにあった物を僕に向かって投げつける。
「何よ!助けに来たんじゃないの!じゃあ私はどうすればいいのよ!」
「そんな事を言われても・・・自力で逃げ出したらどうですか?」
「出きる訳ないでしょ!こう見えても私はかよわい乙女なんだから!それに・・・」
「それに?」

「この部屋から一歩出ると、監視カメラを見て武装した兵士達が、来るのよ?だから誰か助けに来るのを待ってたのに・・・」
彼女は泣きそうになっている、僕は
とりあえず今ならこの部屋から出られる事と、危ないから遠くに離れてと命令したのであった。
「そんなの無理よ!だって一歩出ると、警報が鳴って誰かしら来るんだから!」
「それは大丈夫だと思うよ?」
「どうしてそんな事が言えるのよ!」
彼女がそう言っているので、僕は何故大丈夫かを説明した。
「それはね?僕は外からやって来たし
ここに来るまでにここの警備隊をやっつけたからね?だから大丈夫だよ?
僕は侵入者だから、僕を倒しにここに来るはずでしょ?」
「あっ確かに・・・じゃあ今なら逃げても大丈夫って事?」
「そう言う事、だから逃げたら?」
僕がそう言うと、彼女はお礼を言って、こう言った。
「あっ大丈夫みたい?ありがと、最後に教えてくれない?貴方の名前と何の目的でここに来たのかを」
「僕の名前は朝桐桂太、今はファントムと呼ばれてる、目的はここの破壊だよ」
彼女はそれを聞くと、ありがとうと言ってその場から立ち去ったのであった。
僕は、それを見送った後、おもいっきり機械に向かって殴りかかった。
「あれ?もしかして、これって爆発するって奴?」
その通りだった、僕の予想通りに、機械はショートして大爆発したのであった。
「あれじゃ、中に生きている人はいなそうね・・・」
爆発する寸前に逃げ出した彼女は大爆発を見てそう言っている
建物は完全に廃墟と化していて、黒い煙が黙々と昇っている、しかし、その中から声がした。
「あれ?やっぱり僕、生きてるや・・・」
その光景を見て彼女はかなり驚く、まあ無理も無い。
あの大爆発で生きていたから誰だって驚くと思う。
そして、彼女は僕の姿を見て、こう叫んでいた。
「貴方・・・化け物?」
「お願いだから、それは言わないで・・・」
僕は、そう言っていた、こうして僕の任務は終了した、さて・・・これからどうしよう?
時刻は朝、町は人々でにぎわっている。
僕は、迎えに来たトレーラーの中にいる。行き先は解らないが、僕にはもう一つ気になる事があった、それは・・・
「何で、ついて来たの・・・?」
それは、建物で出会った彼女が、僕の隣に座っていたからだ。
「あら?良いじゃない、面白そうだし?」
面白そうって・・・そんな理由で良いのか?と僕は思った
「それにね?頼れる人いなかったし、行く所も無かったしね
だから貴方について行く事にしたの、あっ自己紹介がまだだったわね?私は白川紗江、サエで良いわ」
サエは笑顔でそう言う、暗がりで顔を良く見てなかったが、今見てみると、やっぱり美人だった。
「でも本当にこれで良かったのかな?」
僕がそう言うと、サエは、「いいのいいの、貴方に興味が沸いたしね」と言った。
興味が沸いたしねって・・・もしかして僕の体の事だろうか?確かに弾丸とか大爆発にあっても無事だったけど・・・
僕がそう思っていると、トレーラーの動きが止まった、どうやら目的地に辿り着いたみたいである。
「降りろ」
トレーラーを運転していた男がそう言った。
僕とサエは、言われた通りにトレーラーから降りる。
待っていたのは、黒い服にサングラスを掛けた男だった、はっきり言ってかなり怪しい格好です、はい
「良くやった。ファントム」
良くやったと言われても・・・
「あの・・・僕は、命令されてやったたげなんですけど?それに攻撃とか喰らいましたし?」
「でも傷一つついていないじゃないか」
確かに傷一つついていなかった。でもナイフで刺された時はかなり痛かったのを覚えてるんだけど?
「さすが、我々の最強兵器だな」
男はそう言う、僕は、その声が何だか聞いたことがありそうなので思い出してみる
思い出した、その声は、放送と無線の声と同じだった。
「ちょっと、聞きたい事があるんだけど?我々って何?何かの組織なの?」
サエがそう言うと、少し黙り込んでからこう言った
「我々は、レジェンズだ」
レジェンズ・・・聞いたことがあった。
世界を破滅にしようとする者を、徹底的に破滅にさせる組織である。
だが、何処に基地があるかとか?どんな方法を使うだとかは、一切不明のままであった。
「じゃあ僕は、そのレジェンズの最強兵器って事?」
「そうだな、そう言う事になるな」
「すっごーい!私だってレジェンズは名前だけしか知らなかったのに、こんな場所にあったとはね?」
「まあ、ここは外部の人間に教えて無いからな、おっと、ファントム、ボスがお呼びだ、一緒について来い」
「それって・・・断っちゃ駄目?」
「当たり前だ」
「やっぱり・・・」
僕は、仕方がなく男の後ろをついて行く事にした
サエも「ボスってどんな人かな?会ってみようっと」と言って、結局、一緒に行く事になった。
「さあ、ここがボスの部屋だ」
案内されて、僕とサエは、部屋の中に入って行く
待っていたのは意外な人物だった・・・
部屋の中は、赤絨毯が敷いてあり、掛け軸とか置物が飾られてあった。
椅子に腰掛けている者、さっきの男はボスと言っていたが、僕にとっては、知っている顔がそこにあった
「あれ・・・パパ!?」
そう、待っていたのは、ファントムこと桂太の父親
三郎太である、三郎太は笑顔で挨拶をした。
「何年ぶりか?桂太・・・いや、ファントムか今は」
「僕・・・パパとママは、怪しいおじさんに葬られたって聞いたんだけど・・・」
僕がそう言うと、三郎太は少し黙ってからこう言った。
「いやあ知っていたらこんなプロジェクトには参加しないでしょ?
だから勝手に活動を再開したのだよ」
それを聞いて頭にきた、だってそうでしょ?
親だからといって、勝手に体を改造されたら誰だって怒ると思うんだけど・・・?
「勝手にって・・・僕は普通の暮らしがしたかっただけなのに・・・酷いよ!」
「まあ怒るなって、体を強化しただけで他は何にもいじってないから安心しなよ?
目からビームとか、ロケットパンチとか出来ないだろ?」
確かに、目からビームとかロケットパーンチとか出ないけど・・・
やっぱり僕は、納得がいかなかった。
「いつか夢だったんだよ、子供が出来たら最強の戦士に育て上げるというのをな・・・それが叶ったから、かなり嬉しいぞ?」
そう言われても・・・僕は別に最強の戦士になりたくなかった。
だって痛いのとか嫌いだし
「ねえ・・・パパ・・・もう元の体にとか普通の生活に戻れないの?」
「ん?その体が嫌なのか?」
「いや・・・嫌っていう訳じゃないけど・・・」
この体で行動していくうちにこんな体でもよいかな・・・と思っていた。
順応力抜群である
「そうだな、しばらくはレジェンズの活動をするからな
元には戻れないな」
「やっぱりそうなんだね・・・」
僕は、その一言で諦めがついた、他に行く所が無い
最強兵器として過ごすのも良いかも知れないと思ったからである。
「ところで・・・君は誰だ?」
三郎太は、僕の隣にいるサエに話しかけた。
「貴方がレジェンズのボスですね?」
「まあ、そうだが・・・何だ?」
「私をレジェンズに入れて下さい、お願いします!」
え?僕は驚いた。何で入るのかな〜?と思ったからだ。
それを聞いた三郎太は一言こう言った。
「いいぞ」
早!決めるの早!、いくらなんでもそれは無いと思う。
それを聞いたサエは、ありがとうございますと言った。
「何で許可しちゃうの!?パパ?」
「だって、この組織を知られたからには生きては返さないと決めていた
だが・・・いきなり入隊希望だぞ?私はそれで気に入った。ただそれだけだ」
「そんな理由でいいのか・・・あ、ところで一つ気になったんだけど」
「何だ?」
「僕の名前・・・ファントムってどういう意味?」
「最強兵器としたからな、コードネームもそういう風にした、ファントムは幽霊、まあつまり化け物だな」
「そうか・・・やっぱり化け物だったのね?」
「出来れば変えて欲しいんだけど・・・」
僕はそう言っていた、ファントムって・・・やっぱり化け物の事だったのか・・・
でも出来れば化け物と呼んで欲しくないな・・・と心の中で思っているのであった・・・
その後、僕とサエはどうなったのかと言うと、サエと一緒に破壊活動を企む輩を片っ端からやっつけているのであった。
でも活動しながらちょっとはこう思っていた。
出来れば普通に生活したいなと・・・でもそれは叶わぬ夢なのであった・・・


〜終〜
■作者からのメッセージ
零堵です。
幻影機神ファントム書いてるので、ファントムの名前ついた物語を投稿します。

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