何があっても | |
作者: ルーク 2011年04月08日(金) 18時24分06秒公開 ID:SECjYw56uE2 | |
「…起きた?」 「…相馬……」 気が付いたら眠っていたらしい。相馬は私のベッドの端っこに腰かけていた。 「食えそう?」 「…うん、食べる」 「さっき作ってきたばっかりだから、ほら、口あけて」 「…自分で食べれるし」 そういいながら、口を開ける。 親鳥からえさをもらう雛のように相馬からお粥をもらう。 「…おいしい」 「そ?よかった」 長い時間をかけておかゆを食べ終わる。 「今親父さんたちいないの?」 「うん…。お母さん仕事だし、お父さん出張」 「そっか、じゃあ今日は俺が看病してやるね」 「いいの…?相馬は」 「いーよ。こんなマキちゃんほっとく男はどこにもいません!」 言いながらおでこに冷えぴたを貼ってくれる。 ひんやりとした感触に目を閉じる。 相馬が私の頬をやさしくなでてくれた。 「…あのね?」 「ん?」 今日、ずっと言いたかったこと。 「…ありがとね、今日来てくれて」 「…………」 相馬からの返事はなかった。 「相馬…?」 「…マキちゃん、それは反則」 そうっと目を開けると、相馬の頬はなぜか真っ赤に染まっていた。 「そゆこといわれると、マジでやばいから」 「な…っ」 つられて、熱のせいではなく顔が赤くなっていくのがわかった。 「ば、ばか!」 「全く、そういうこと言われると明日も看病しに来たくなるじゃんかよ」 「うつっちゃうよ、ダメ」 「うつらねぇよ、ほら、俺バカだから!」 必死に口実を作る彼がおかしくて、ついつい笑ってしまう。 「やだ、相馬が明日もきたら鼻血たらしそうだから」 「でも明後日学校来なかったら俺、マキちゃん禁断症状で死んじゃう」 「そのくらいで死なないでよ」 「でもさ、まあ」 ころっと声色を変えて、相馬はほほ笑んだ。 「なにがあっても、マキちゃんのもとに駆け付けるから」 「……バカ」 ……だいすき。 [終わり] |
|
| |
■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集 |