first friend 〜Venus〜
作者: リリィ   2021年10月22日(金) 00時07分02秒公開   ID:NXiXey7hhv.
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〜マーズ視点〜

パーティーの終わりを知らせるベルの音が聞こえた。

折角仲良くなれたのに、もうお別れなのね…。

ヴィーナス「マーズ様…」

マーズ「もう私たちの仲じゃない。“様”付けしなくて良いわ。私もそう“様”付けなんてしないわ。」

ヴィーナス「それもそうね。お互い好きな呼び方にしましょう。それじゃあ、改めてマーズ。」

マーズ「何?」

ヴィーナス「誕生日はいつかしら?」

マーズ「誕生日?」

ヴィーナス「そう。…誕生日なら会いに行ける口実になるかなってね。」

マーズ「誕生日ならもう過ぎているわよ?」

ヴィーナス「えっ!そんな〜!」

分かりやすく落ち込むヴィーナス。本当はこんなにも感情が豊かなのね。

マーズ「それならヴィーナスの誕生日は?」

ヴィーナス「えっ?」

マーズ「ヴィーナスの誕生日なら私が行けるでしょう?」

ヴィーナス「…今日。」

マーズ「えっ?水星のプリンセスと同じ日なの?」

ヴィーナス「違うわよ。水星のプリンセスは二月前に終わっているでしょう?」

マーズ「あっ。」

今思い出したわ。水星は王族の誕生日は誕生日から三ヶ月程度使って祝われるのだったわ。そして今日はその最終日だった。

マーズ「そう、おめでとう。」

ヴィーナス「ありがとう。祝われたのは初めてだわ。」

マーズ「でも、プレゼントがないわね。」

ヴィーナス「良いわよ。お祝いの言葉だけで嬉しいわ。」

マーズ「でも、これだけは受け取ってちょうだい。」

私はドレスの飾りとして身に付けていた赤いリボンを取ってヴィーナスに渡した。

ヴィーナス「えっ!ちょっ!ドレスのリボンなんて…」

マーズ「良いの。それお気に入りのドレスのリボンだから。」

ヴィーナス「お気に入りなら尚更じゃない!」

マーズ「お気に入りだからこそよ。私たちは将来仕える相手も違うじゃない?それでも友人だと言うことを形に残したいもの。」

ヴィーナス「…そうね。私たちは友人同士よ!私もマーズにとびっきりのアクセサリーを誕生日にプレゼントするわ!」

マーズ「えぇ、楽しみにしているわ。」


「「マーズ様ーー!!!」」

遠くからフォボスとディモスの声が聞こえる。

マーズ「そろそろ行くわね。」

ヴィーナス「えぇ。また会いましょう?」

マーズ「そのつもりよ。」てちてち

ヴィーナス(えっ?てちてち?)


私に出来た初めての友達。
呼び方も好きな呼び方で良いと言われたから“ヴィー”と呼ぼうかしら?

マーズ「…ムフフ。」てちてち



⇒To Be Continued...

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