十字架の誓い T ―転入― | |
作者: 琉華 2009年10月25日(日) 22時23分10秒公開 ID:yJh2CTfeMns | |
「林檎、君はこんな学校に通ってたんだ…―――」 一人の少女がある学校の前に立っていた。 何か愛しいモノを目の前にしているような幼い表情。 それと一緒に、憎しみの視線。 さあ、これからどんな復讐劇が繰り広げられるのだろう? 十字架の誓い T ―転入― ここは優秀な生徒ばかりを集めた紫苑学園。 テストは赤点を出した生徒は今まで一人もいない、と噂されている。 「こんにちわ、貴方が緋咲李兎さんですね。私はあなたのクラスを担当している藤岡です。 貴方の転入するクラスは3-Aです。みんな仲良しだからすぐ慣れると思いますよ」 林檎の通っていたクラスだった。 それで仲良し? …――嘘だ。 林檎を虐めていたのに。 なにが“仲良し”だ。そんな言葉は偽り以外の何者でもない。 まさか藤岡は知らないのかな? 君のクラスに隠された真実を。 それから教室の前にいった。 藤岡は李兎に待っていて、と命令した。 「転入してきた緋咲さんとは仲良くしてあげてください。入って」 入った。 李兎はまずクラスメートの顔を記憶した。 元々記憶力が良い為にそれくらい簡単なことである。 「初めまして。緋咲李兎と言います。なれないこともあるだろうけど、よろしくお願いします」 笑顔を作る。 猫かぶりとばれないように綺麗に。 何人かの生徒は顔を赤くした。 「みなさん仲良くしてあげてください」 □□ 「緋咲さんって何処から転校してきたの?」 転入生が珍しいのか李兎の周りにはクラスメートが集っていた。 順番と言うモノを知らないのか、お構いなしに質問してくる。 「ぼくはアメリカから来たんだ」 「すごい、帰国子女なんだ!」 驚きの声が響き渡る。 帰国子女で日本語が上手だからだろうか、そんなに珍しいことなのだろうか、 李兎にとってはそっちの方が疑問だった。これが当たり前だった。 「1つ聞いて良い?あの端っこに置いてある机って誰のなの?」 傷一つ付いていない机。なのに端っこにある。 謎めいて当然だ。 李兎が質問した途端、クラス中が静かになった。 「えっとね……前使っていた子が転校しちゃったからだよ」 「別にその机をぼくが座っても良かったと思うんだけど」 そっと質問に答えてた女の子に触れてみた。 そして女の子と思っていることが分かる。 それが李兎の能力の1つだった。 触れた対象者の考えていることが一発で分かる能力だった。 それより、あの机の持ち主が女の子のお陰といったらいいのか分からないが分かった。 平野 林檎。 元3-Aのクラスメートでありながら、李兎の大切な姫君。 いつも明るく、優しく、虐められるようなことは絶対しない正義感の強かった林檎。 しかし、その瞳を閉ざしたほど追い詰めた人間がいる。 「まあ机の話はいいや?ぼくのことは李兎って呼んで。こっちは何て呼んだら良い?」 そう言うと先ほどの勢いのように一斉に名前を言った。 男子も女子も関係なく。 その中で4人だけが言わなかった。 女の子が1と男の子が3人。 ……――――やっと見付けた ⇒To Be Continued... |
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