ジュエルプリンセス 第16話〜第20話までの総集編 | |
作者: 夏姫 みの [Home] 2010年02月20日(土) 17時13分33秒公開 ID:bkWoewa3Plc | |
近くの芝生にて。 「あの、話したいことって?」 叶氣は恐る恐る由梨に聞いた。由梨は芝生に座った。そして話し始めた。 「私と妹のことよ。ほ、ほらっ! 私の隣に座りなさいよ。結構話は長いんだから」 「あっ、うん。ありがとう」 「別に。さっきも言った通り、話は長いから」 「うん」 叶氣はにっこりとして言った。由梨は、少し顔が赤くなっていた。 「で、本題に入るんだけど。妹…いや、有理のことをどこまで知ってるの? 思い出でもいいから」 いきなりの質問で、ちょっと驚いたけど……正直に答えればいいんだよね。と叶氣は思った。 「うーんとね、素直で正直な子で、とても優しい女の子。それから、小さい頃は一緒に毎年開かれる夏祭りやプールにも行ったり、紅葉狩りやお花見にもよく行ったなー。それからそれからー……あれ? 由梨ちゃん、どうしたの?」 叶氣がそう言うと由梨は薄い微笑みを浮かべていた。 「いいわね、有理のいろんなことを知っていて。私なんて顔と名前と、これから話すことしか知らなかったわ」 しばらく沈黙が続く。風がそよそよと吹く。気持ちのいい春風だ。その時、由梨が口を開いた。 「……私が有理の姉で良かったの? って正直思う時があるの。貴方は私より「妹」を知っていて、すごいなって思う。でも 有理は私のこと、きっと忘れてるわよね……」 「……」 由梨は、そう言うと叶氣は少し悲しげな顔をした。由梨は「寂しそうな顔」をいつの間にかしていたからだ。 だが今までにあった夢の中のことを、叶氣は思い出す。その夢の中で有理とお話をしていたことを。そして、口を開く。 「有理ちゃんは、由梨ちゃんのことをちゃんと覚えてたよ。そして今でも、お姉さん思いだったよ」 「えっ?」 由梨は、なんでわかるの? という顔をしていた。 「私、夢の中で有理ちゃんと三回ぐらいお話したことがあるの。私と由梨ちゃんがまだ、会ったばかりのときだけど有理ちゃんは 「叶氣ちゃん、これから、お姉さんがいろいろとしてくるかもしれないけど……お姉さんを恨まないで」 って言ってた。有理ちゃんにとっては、由梨ちゃんしかお姉さんはいないんだよ。代わりなんて誰もいない。由梨ちゃんは世界に一人だけのお姉さんだよ。 「いいお姉さん」とか私にその基準はわからない。けど 一番大切に思っていたのは由梨ちゃんだと私は思うよ?」 「一番大切に思っていたのは、私? 本当なの?」 「うん。そうだと思う」 叶氣はそう言った。 「そう。と、とにかくありがとう」 由梨は元気を取り戻したのか、少し赤くながら微笑む。叶氣も釣られて微笑む。 「……あ。後、過去のことも少しだけ話すわ。これはたぶん、貴方や生徒会にも関連はあると思うから」 由梨は口を開く。 「過去で産まれた有理とは、生まれた時から離れ離れだった。最初に有理「本人」を見たのは写真だったの。そして有理のことも全然知らなくて、いつの間にか有理の姉という存在すら忘れてた時もあった……。 ――でも、 哀瑠の魔法によって有理と貴方だけ記憶を消されて過去に戻り、私や生徒会の人たちとか、他にもいるけど記憶を消されなく「今」という時代に、タイムスリップしたの。でも、共に見た目が子供になってしまったわ」 (えっ……私も有理ちゃんと?) 叶氣は驚いた。 「ど、どうしてなの?! なんで記憶を?」 「有理には、生まれた時から不思議な力を持っていなかったからよ。小さい頃は持ってたけど。そして、貴方も……後で話すわ」 由梨は腕時計をチラッと見る。叶氣はその少しの間、こう思っていた。 (私はともかく、不思議な力って、もしかしてあの夢自体が有理ちゃんが持っている、特別な能力だったりして) 「そうよ、よくわかっているじゃない。あれが有理の特殊能力。夢でいろんなことを伝えること。簡単に言ってしまえば、予言みたいなものよ」 叶氣は心を読み取られたような感じがし、少し怖いと思った。だが由梨は気にせず続ける。 「でもそれは「過去」になって急に復活した。原因はわからないけどね」 叶氣は信じられなかった。自分の失われた記憶の一部が、こんなことだったなんて。 「噂は噂を呼ぶじゃない? その噂を聞いた 「えっ!? 有理ちゃんを?」 「そうよ。……これは誰かから聞いた話だけど。絶体絶命の有理を貴方は、そこで守ったのよ。自らが犠牲となってね」 「有理ちゃんのため、に?」 叶氣は頭が真っ白になる。 (じゃあ。私が記憶を忘れて「今」という時代に来たのは、まさか自分が犠牲になったから?) 叶氣は思う。けど、今は信じられない。由梨は話を続ける。 「そして貴方は倒れて消えてしまった。有理は何とか無事だった。貴方だけを過去にタイムスリップさせたら、もう哀瑠はいいと思ったからね」 由梨は言う。叶氣は、もう真っ白だった。 「何故、記憶を忘れたのか」 がわかった。そして、ココにいる理由も。そして由梨は話を続ける。 ⇒To Be Continued... |
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