千羽鶴-三章 千羽鶴 -(薄桜鬼二次創作 平千 SSL) | |
作者: 林檎頭巾 2011年11月12日(土) 14時57分20秒公開 ID:sTYIRFezUnY | |
私が泣き止んだのは、日が完全に落ちた頃だった。平助君は私が泣き止むまで、小さい子供をあやすように、私の背中を撫でてくれた。 「落ち着いたか…?」 心配そうに平助君が訊ねる。 「うん…。ごめんね、急に泣いたりして」 「オレこそ、勝手に見舞いに来てごめんな?」 「ううん、本当はお見舞いに来て欲しかったの。でも……」 私は暫しの間、口ごもる。それから、口を開いた。 「言えなかったの……。だって言えないよ。言える訳ないよ…!心臓病だなんて……」 「……」 平助君は少しの間を置いてから口を開いた。 「それならそうって、早く言えよ。理由も告げずに来るな、って言われるほうがオレは心配なんだよ。それで、いつ退院出来そうなんだ?」 「多分、もう少しかかるかも。詳しいことは、手術が終わってからじゃないと……」 私が言うと、平助君はそっか、と言って訊ねた。 「それで、手術はいつなんだ?」 「明日だよ」 私が返すと平助君は丁度良かった、と言って紙袋から何かを取り出した。 それは、色とりどりの千羽鶴だった。 「千羽鶴……?」 私が訊くと平助君は頷いた。 「一君とか総司とか土方さん、色んな人に協力してもらって折ったんだ。お前に元気になってもらいたいから」 「ありがとう、平助君。こんなにいい物もらっちゃったら、何かお礼しなきゃ。平助君、少しの間だけ、目、閉じてくれる?」 私が言うと平助君は目を閉じてくれた。私は彼に顔を近づけ、お互いの唇を重ねた。 私が唇を離すと、平助君は顔を真っ赤にしながら私を見ていた。 「千羽鶴のお礼」 それだけ言って、私は彼に微笑んだ。 |
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