漆黒の翼 第2話 〜血に染まりし少女と血染めの少年〜 | |
作者: 神無月 2009年12月30日(水) 14時27分13秒公開 ID:33E/nA6Ip9Y | |
第2話 血に染まりし少女と血染めの少年 遼平は血だらけで走っていた。 恐ろしい魔の手から、仲間を殺した奴等から必死に逃げるため。 「……っ!…畜生っ…! 何でなんだよ…!!」 走りながら絶叫する遼平の声はまるで断末魔のよう。 追って来る奴等のほうを見ると皆、修羅の目をしていた。 人を殺めるのに迷いが無い。むしろ、逃げ惑う 「…早く捕まっちまえよ…?!」 「楽に逝かせてやるからよ…!」 奴等は黄ばんだ歯を剥き出しにしながら遼平に向かって叫ぶ。 「……っ…誰が…お前等、なんか……あっ?!」 ドサッ! 遼平は走るのに集中し過ぎて足元にあった小石に躓いてしまった。 そんな遼平を見て奴等は一気に近づいて来る。 「チッ…手間掛けさせんじゃねぇよ…」 「…まぁ、いいじゃん? 威勢の良い奴ほど殺りがいあるじゃん? なっ、少年」 恐ろしさに声も出ない遼平に1人が声を掛けて来る。 そいつは、優しく声を掛けてきたが目は笑ってなかった。 激しく鳴り打つ心臓は今すぐ逃げろと警告しているみたいだった。でも、もう足に力が入らず諦め掛けたその時1人の少女が遼平達の前に現れた。 「…か、 奴等はその少女を見ると何故か怯えていた。 少女は遼平を一瞥するとすぐに奴等のほうを向いた。 奴等は一歩後ずさる。 「……これは私の獲物手を出すことは…」 少女は腰に着けた刀を鞘から抜きながら遼平のほうに1歩ずつ近づいて来る。 「…い、いやぁ…快夢さんのでしたか…。」 「そ、それは申し訳ないです…。」 奴等は少女が1歩動く事に自分達も1歩、2歩、後ろに下がって行く。 遼平はそのやり取りをただ見ていた。いや、動けなかった。 「…許さぬ…!」 その言葉を発するか否。少女のいたはずの場所に少女はいなかった。 その代わり、奴等の目の前に立つと一瞬空を切る音が聞こえたかと思うと少女は刀を鞘に納めていた。 スシャ…カチン… 遼平は次の瞬間自分の目を疑った。 奴等の体が上半身と下半身に分裂しその分裂部分から夥しいほどの鮮血が噴出しながら流れ出ていた。 噴出す鮮血を浴びる少女はゆっくり遼平のほうを見る。 遼平は少女の顔を見て、正確には瞳の色を見て驚いた。 少女の瞳はまるで………。 ―死んでしまった仲間や奴等の血のように真っ赤だったからだ…。 これが遼平と快夢との |
|
| |
■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集 |