漆黒の翼 第1話 〜迷える子羊〜
作者: 神無月   2009年12月29日(火) 16時48分58秒公開   ID:33E/nA6Ip9Y
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第1話 迷える子羊


点滅する蛍光灯が一つしかない路地に3人の少年達いた。
その3人は路地の奥にある小さな扉の前に立った。

「…ホントに行くのか?」

顔を白くしながら1人が他の2人に問う。
その問いに2人は押し黙る。

「…これから行く場所は今までとは違うんだぜ? そ、それに…」

「…化け物たちが棲む場所……だろ? そんなの分かってたじゃねぇか。」

白い顔の少年より背丈の無い少年は笑顔でその問いに答えた。
その笑顔を見て2人は黙り生唾を飲む。

「化け物なんて聞くだけでゾクゾクするだろ? 喧嘩好きには堪んないぜ…」

握った右拳を胸の中心に開いた左手に軽く当てながら少年は舌で唇を舐める。
その仕種を黙って見つめる2人は違う意味でゾクゾクしていた。

(俺ら…)

(ここで帰ったら……)

((確実に、殺される…こいつに…))

そんな2人の気持ちなど知るはずの無い少年、駕王 遼平がおう りょうへいは腰に手を当てながら高らかに笑っていた。



「俺はここに遊びに来たんじゃねぇ……喧嘩しに来たんだ!!」




そんな遼平たちを遠くから見つめる少女がいた。

背中まで流れる艶やかな黒髪。

紅蓮を思わせる攻撃的な赤い瞳。

その瞳とは対照的な白雪のような白く細い手足。

人形のような整った顔には表情は無く本物の人形。

白い両手には、赤く染まった刀が握り締められていた。

「……慈悲も情けも無用……隔離世界モノクロワールドルールに従いあの者達に終焉を…」


そう言い残し彼女は消えた。
■作者からのメッセージ

1人、また1人闇へと消えていく仲間。そんな遼平は1人の少女と出逢う―

次回、〜血に染まりし少女と血染めの少年〜

(グロテスクな描写があると思いますので、苦手だなぁと思う方はバックホーム…)

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