おとーさんの厄介な遺産 8
作者: ルーク   2011年02月21日(月) 17時52分50秒公開   ID:gDpB60zr1as
「うぅ…暑いし熱い…」
ぐつぐつ。
「なーんでこんな日にやらなくちゃいけないんだよ…」
ぐつぐつぐつ。
「なんか暑すぎてむしろ何も感じなくなってきたような…」
ぐつぐつぐつぐつ。
「あー、汗たらしそう…」
ぐつぐつぐつぐつぐつ。




「……っ、もう!!!」
ついに耐えきれず、私が叫ぶ。


「なーんでこんな暑い日に調理実習で鍋なんか作んなきゃいけないのよー!!?」


季節は夏。夏休みもあと2週間に迫り、しかも地球温暖化やらヒートアイランド現象やらでこの日本の気温も毎年じわじわと上がっている。
それなのに!なんで鍋を(以下略

周りを見ると、やっぱりどの班もげんなりしている。
私たちだって例外じゃない。
私、奏多、健人君、麻里の4人でグループを作ったのはいいものの、暑すぎてろくにしゃべる気にもなれない。


そんなこんなでどうにか小さな鍋を作り、汗を流しながら食べ終わった後のお皿洗いがどんなに幸せだったか!
「あー、水が気持ちいい…」
「あ、ずるい、遥。私にも洗わせてよ」
「今すぐプールに飛び込みてぇ…。健人もそう思わねえ?」
「うん……。何で高校って水泳の授業ないんだろう」
健人君の言葉に、麻里がげぇっと声を漏らす。
「何で高校にまで来て水泳しなきゃいけないのよ」
「山本さん、あれ?カナヅチってやつ?」
健人君が面白そうに尋ねる。麻里はふんっと唇を尖らせた。
「この一生において狭苦しいプールで泳ぐ必要性がないのよ!」


「あはははっ、それは災難だったね!」
昼休み、いつものように教室でお昼を食べていた際、里香ちゃんにそのことを話すと爆笑された。
「もー、笑い事じゃないよ」
「ほんと!正直今日お弁当いらなかったかも」
私たちよりも早く食べ終えた(まぁあたりまえなんだけど)里香ちゃんがそうだ、と手を打った。

「もうすぐ夏休みじゃない?みんなで、どっか行こうよ!!」

あ、そっか。もうすぐ夏休みだった。

「じゃあ2人も呼ぼうよ。奏多くーん!夏目ー!」
麻里が後ろを向いて、べつの場所で机を並べていた2人に声をかけた。
「何だよ」
「あのさ、夏休み、どっか行こ?」
「このメンツで?」
奏多が里香ちゃん、麻里、私、そして健人君に順番に目を走らせた。
そうだよ、と里香ちゃんが満足そうにうなずく。
「実はさー、私のおじいちゃんが、海辺に別荘持ってるんだ。どうかな?」
「え、里香ちゃん家の?」
「うん。おじいちゃんだけどね。年金が有り余ってるからって建てたらしいよ」
許可取れればたぶん大丈夫、とうなずいた里香ちゃんがなんかすごく見えた。

「私はいいけど」
「もちろん賛成!」
私と麻里がうなずく。健人君もうなずいた。
「海なんて行くの何年ぶりだったかな」
「健人が行くんだったら俺も行く」
最後に奏多がうなずく。
よし、と里香ちゃんが満足そうにうなずいた。
そしてかわいらしいストラップがついた携帯電話を取り出すと、電話をかけ始めた。
「あ、もしもし?私だよ。…うん、そう。里香。
 あの、伊豆あたりの別荘だけどさ、夏休みの間、しばらく友達と泊まりに行きたいんだー。……ほんと?やったぁ!ありがと、おじいちゃん!じゃ、また電話するね」

そしてくるっとこっちを向くと、満面の笑みでピースして見せた。
「おっけー!!よし、夏休みの予定けってーい!!」


拝啓、お母さん。
元気にしてますか。そっちでお父さんと仲良くしていますか。
私は元気です。今、夏休みの予定が決まりました。
九重家に来て初めての夏休み、ちょっと楽しみです。

             [続く]
■作者からのメッセージ
こんにちは^^ルークです!
理科のテストオワター\(^0^)/

鍋wwwwwwww
季節違う…。今なら絶対ちょうどいいのに…。

明日は公立の合格発表だ……!!(オロオロ)
友達が何人か電話くれるって言ってた!!(オロオロ)←何で関係ない私がこんなにオロオロしてるんだろう…?

では!無事を祈っております(`・ω・)ゝ

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