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作者: ルーク 2011年01月25日(火) 14時28分14秒公開 ID:gDpB60zr1as | |
そして、憂鬱なパーティー当日はやってきた。 「今日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。こんなにたくさんの方々に誕生日を祝っていただくのは大変ありがたいことだと思います。 どうぞ、ごゆっくりとパーティーをお楽しみください」 短めのあいさつを終えると、私はレイルの元へ向かった。 うう、やっぱりドレスって動きづらいわ。 一時期はスカート丈を伸ばす伸ばさないでレイルと言い合いになったことがあったけど、まぁ私もそれなりに年なんだからと最近は少しずつ丈を伸ばし始めていた。それでも、やっぱり足もとまでまとわりつくドレスは重たいし歩きづらい。 「あ、レイ…」 「こんにちは、お誕生日おめでとうございます、エイクさま」 レイル、と声をかけようと思ったら、目の前に男の人がにゅっと現れた。 「あ、ありがとうございます」 「よろしかったら、私と後で一曲踊りませんか?」 今年のパーティーは何ともうっとうしいことに、ダンスパーティーが付いている。きっと、たくさんの人と話すようにという父さまと叔父さまのもくろみなんだろうけど。 「あ、え、っと、お気持ちはありがたいのですが、私下手なので」 「大丈夫です、僕がリードしますよ」 「だ、大丈夫です。お気持ちだけ、受け取っておきます。失礼します」 あー、うっとうしい。 また今年も途中で抜け出してしまおうかしら。 しつこい男の人をすり抜けて、レイルの待つイスに座った。 「お疲れさま。何かいきなり大変そうだったけど、大丈夫?」 周りをはばかって、レイルは小さな声で、それでもいつものようにしゃべった。 「うーん、すごいうっとうしい。もう、先に部屋帰っちゃおうかな」 いつもなら、いつものレイルなら、「そうだね」って笑ってくれるのに、今日の彼はちょっと違った。 「駄目だよ。せっかく旦那さまやモーガン氏が気を遣ってくれたのに」 「……!何で、そういうこと言うの?レイル」 レイルは気まずそうに視線をそらすと、ぽつりとつぶやいた。 「駄目なんだ。俺たちは、いつか離れなきゃいけないんだから」 「…っ」 全部、レイルの言う通りなんだって、わかってる。 私の権限では、本家に彼を連れていくことも許されない。家が出来上がったら、もうお別れしなきゃいけない。でも、 「私は、レイルと離れたくないよ…」 なんだか熱いものがのど元にこみあげてきて、ちゃんと発音できたかわからないけど、どうにか声を絞り出して、私はその場を後にした。 [続く] |
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