☆サンタクロースのお仕事★
作者: 神田 凪   2010年12月23日(木) 21時57分04秒公開   ID:Fpk3UqE6X6I
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「お願いします。勘弁してください。うう、ひどいじゃないですかぁ。俺まだ何もしてませんよぉ」

「まだって事はこれから何かするつもりだったのか」


今の状況を説明しよう!
1.子供部屋に正座のサンタクロース
2.目の前には仁王立ちの子供(ターゲット)
以上


ちなみに通報は必死に頼んで止めてくれました。(嫌々でしたけど。今すぐに通報できるように手には携帯電話を持っているけれど)


「普通はさぁ、子供だったら喜ぶ場面でしょ。わーサンタさんだぁ!とかさ。俺あのきらきら瞳を見るためにサンタになろうと思ったのに」

「普通は、いきなり部屋の鍵を壊して侵入してくる奴を不審者と言うんだ」

「壊してないよ。こう針金で・・・」

「その言動が既に夢のサンタじゃねーよ」



子供は眠そうな顔をして俺を睨んできた。まぁ、確かに眠い時間だよね。


「お前マジでサンタなわけ?」

「そうだよぉ、証拠にはいプレゼント」

「・・・・・・俺、ゲーム機をお願いしたんだけど。何これ、おつまみ?」

「ゲーム機とかそんな物価の高い物やめてよぉ。最近さぁプレゼントにかかるお金が高くなって、変わりに俺の給料からひかれていくんだよね

「子供に生々しいこと聞かせんじゃねーよ。つーか、背中に見えてるぞゲーム機」

「はうわ、俺のゲーム機!」

「どう見ても俺にくるはずだったプレゼントだろうが! サンタが子供のプレゼント盗むとかねーし!」


ばれたので、素直に渡しました。


「なんか君、子供っぽくないね」

「俺なんて普通だし。お前らこそ、俺達子供に夢持ってねぇ?」

「えー、マジでぇ。何かやる気なくした。今からまた3件ほどプレゼント配りに行くんだけど」

「ふーん、サンタも大変なんだな」


子供の顔には不審な雰囲気が消えた。とりあえず、サンタというのは信じてもらえたようだ。やっぱり、奥底ではサンタの存在を信じていたのだろう。ベットに腰掛けこちらを見ている。


「うーん、まぁ、自分で選んだ職業だしね。それなりにやっているよ」

「お前見ていると本当にそれなりなんだなって思うよ」


あ、今のぐさりときたよ。
確かに同僚にはお前のせいでサンタのイメージが更にひどくなりそうだとか言われたし。


「君たちだって大変でしょうが。子供って独特の世界だし。価値観も想いも俺達には想像がつかないしね」

「・・・・・・」



まぁ、ね。一応サンタ高等学校を卒業したわけですから、子供に気付かれないようにプレゼントを配る方法は習っているわけですよ。

なのに、この子に気付かれた。
理由は一つ、最初からこの子が起きていたから。

子供には眠い時間だ。確かに、最近の子供は遅く眠る子もいるしサンタを見ようと遅くまで起きていたのかもしれない。

でも、この子は必死に眠気と戦っている。
何かをひたすら待っている。

こんなに子供部屋で話しているのに、
電気が付いているのに、

親がやってこない。



「ねぇねぇ、そのゲーム機俺にちょうだい」

「まだ言うか。これは俺の欲しいモノだ」

「本当に?」

「・・・」

「そのゲーム機の変わりに本当に欲しいモノ上げるよ」


確かに、家に入るまでは電気は付いていなかった。
暗い部屋でこの子は待っていたんだ。

寂しかったのかな。
怒っていたのかな。


それとも願っていたのかな。


なら叶えましょう。
サンタクロースですからね。


「・・・さん」

「うん」

「おとぉさんとおかぁさん」

「うん」

「早く帰ってくるって、言っていたのに」

「うん」

「でも、仕事が大変だって知っているし」

「うん」


本当に時代は変わったな。
昔の子供は素直に甘えていた子供が多かった。
どうして、気を遣ってしまうのだろうね。

自分のために働いてくれてると知っているから。
大切にされていると分かっているから。

更に求めることが出来ないのかな。


でもね、でも、今宵はクリスマス。
奇跡を起こしてみせましょう。




「早く、帰ってきて、欲しい」

「ほいな。じゃあ、よい子の君にプレゼントをあげましょう」


ポンと子供の頭に手を乗せる。


−−ガチャ


それと同時に玄関のドアが開く音。
子供が眠っていると思っているのかその音は小さい。


「え、」

「それじゃあ、このゲーム機もらっていくね」

「な、んで、どうやって?」


混乱したような子供に、その何時の時代も同じ様な子供らしい表情に、
少し得意気になる。


人差し指を口元に持っていく。


「少しくらい、秘密があったほうが面白いでしょ」


子供の顔が、理解したのか、ゆっくりと笑顔になる。
うん、この表情のためにサンタクロースになったみたいなものだ。
え? さっきと違うこと言ってるって? 気にしない気にしない。


さて、さすがに大人に姿を見られるのは困るな。
部屋の窓に足をかける。あれ、本当に不審者かなこれ。



「じゃあ良いクリスマスを」

よいしょ。外に出るとおお寒い。
車を止めている場所まで急ごう。早く中に入りたい。


「サンタ!」


背中に、声が掛けられる。
ん?と振り向くと手を振る子供の姿。





「メリークリスマス!」





・・・・・・・・・・・・。

まったくこれだから子供は可愛いんだ。






「メリークリスマス!」









さぁ、残りの子供達に会いに行きますか。
■作者からのメッセージ
ギャグだったんです。ギャグのはずだったんです。
なぜか最後にはこんな感じになってしまいました。途中までギャグで終わらせるつもりだったのでいきなり何か変わってしまいましだが、まぁ、良しとしよう。
前半部分、読みにくかったら流し読みでお願いします。
一気に書きました。なので、字の間違いがありましたらお知らせください。
それでは。メリークリスマス!

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