江戸組っ!第一章 #16 新たな旅立ち
作者: ちびハチ公   2010年08月22日(日) 19時56分16秒公開   ID:MRiX6gH5OZ6
  「痛ッ!」
「ホラ、じっとしてな。悪化するよ」
今、姉貴と姉貴になついているポケモン達は治療を受けている。無鉄砲にオリに攻撃して無傷でいる方がおかしいか。
「タケシ。良と一緒に来たポケモン達、大丈夫?」
「まあ、大丈夫だろうな。元気そうだし」
 後は姉貴だけ、か。
 肝心の姉貴は色々と文句を言っている。
「何でアラレ達同様軽傷の俺が、重傷の人みたいに治療されるんだよ」
「これを見て軽傷って思う人がどこにいるんだよ!」
茶髪は姉貴の背中を強く叩く。叩かれた姉貴はかなり痛がっている。いい気味だな。
 「まあ、良は気力ですぐに治せると思うけど」
確かにそうだ。姉貴は文句をいつも以上に言っている。この調子だと一番長くかかって今夜には治ってるな。
  「俺、決めた」
姉貴の一言に俺を含めた全員が立ち止まった。
「俺、シンオウに残ってポケモントレーナーとして生きていく」
姉貴は決意が固いようだった。その瞳からはっきりと窺(うかが)える。
「じゃあ、武蔵さんに連絡する?」
姉貴はコクリとうなずいた。

  姉貴は自分の決意を武蔵、といういとこにつたえている。
 「そうか。こっちに残ってポケモントレーナー、か」
「若草町に戻っても大して得しないから」
姉貴がそんな事考えるのか?俺は一瞬疑問に思った。
『全く。本当はお前にくっついて来たポケモン達の事が心配なんだろ?』
それを聞いて頬を膨らませた姉貴。よほど察してほしくなかったのだろうか。
『そんなにかっこつけたくないのかよ、お前は』
さすが姉貴のいとこだ。すぐに頬を膨らませた理由を言い当てるとは。
 「そう言えば武蔵兄さんはいつまでシンオウにいるんだ?」
「呼び名変えたな、良。お前も成長したなー。まあ、13歳のお前にとっては当たり前か」
「そんな事どうでも良いから、早く答えてくれよ」
姉貴が少しキレた気がした。
『分かったよ。そんな怒るなよ。お前次第で残るか残らないか決めようと思ってたんだ。良が残るんだったら俺も残る』
姉貴が沈黙となった。かなり珍しい。
『何かあった時にポケモンの世界でしか生きた事の無い奴ばっかりだと解決しない事もあるだろ、お前の場合。それにお前はお前の事を熟知してる人間が目をつけてないと危ないからな』
確かに。人の倍以上の行動力をもつ姉貴の行動は危険な事が多い。俺たちだけじゃ手に負えない。
『じゃあみんな!良の事、よろしく頼むぜ!』
そう言うと武蔵は電話を切った。こういう所は姉貴に似てるな。

 翌朝。
「オーキド研究所からお届け物です」
 その届け物の中身は、リュック、ポケギアに何故かまた袋。 
「あ、そうだ。龍馬。荷物整理のためにまた若草行くからついてきてくれ」
「分かってる。だったら今日そのまま若草に帰るよ」
「分かった」
 珍しく姉貴が淋しそうな顔だ。今日は『意外』が多い。
 
 その日、茶髪は一時的にだけ帰る姉貴を連れて『若草町』に帰っていった。
 姉貴はリュックに大量の物を詰め、さらに袋にまで詰めて帰ってきた。 

 「さぁて!俺達全員完治した訳だ!出発だー!」
姉貴は一日休んで元気を取り戻した。今はテンションが高い。
 それにしても、トレーナーになると言った姉貴は大きな事を忘れている。
「おい、良!ポケモン達、どうするんだよ?」
姉貴の周りにはポケモンが六匹もひっついている。こいつらはモンスターボールにも入ってない。
 「あ、忘れてた。どうするんだっけ?」
姉貴の事だから覚えていないのも仕方無いか。
「モンスターボールに入れるんだよ。ボールに入れておいたら身が少し軽くなるだろ?」
それを聞いた姉貴は納得したような表情だ。
「でも俺、モンスターボールなんて一個も持ってないだけど」
「そうだろうと思った」
細目はボールを六個渡した。
「サトシ!タケシ!サンキュ!」
姉貴はボールを五個持つと、ピカチュウ連れと細目の背中を強く叩いた。音がかなり響いてる。かなり痛そうだな。
 「まずはリクとレンだな。二匹とも、ゆっくり休んでてくれ」
姉貴はモンスターボールをベイリーフとレントラーの目の前に転がす。自分で入るか入らないか決めろ、という事だろう。他人に強要されることに嫌悪感を抱く姉貴らしい行動だ。ベイリーフとレントラーはすぐに入った。
「マグ、マグ」「ムックール」「リオ」「ワニャ」
マグマラシ、ムックル、リオル、ワニノコが姉貴に声をかける。自主的に入る、と決めたようだ。
「そっか。なら俺はそれに従うだけだ」
姉貴はボールを転がし、マグマラシ、ムックル、リオル、そしてワニノコがボールに入る。ワニノコは嫌々だったが。
 「それでさ、サトシ」
「何だ?」
「俺、一匹外に出しておきたかったんだけど・・・。ノコ、ホントは嫌がってたから」
姉貴は頬をかきながら言った。
「ああ。それなら、一匹モンスターボールから出せばいいだけ」
「そっか。サンキュ」
 そう言って姉貴はワニノコをボールから出した。ワニノコは姉貴の頭に乗っかった。
 「よし、これで旅再開できるね」青髪の女がニコニコと笑った。
「おう!」何故か姉貴が返事をした。
■作者からのメッセージ
 「江戸組っ!」、やっと終わりました。
 実はリーグ終了後辺りなんです、これ。この設定は最終回を書いている時に思いつきました。何というアバウトさ・・・。自分でもヤバイと思います。・・・あ、リーグ前に今変更です。
 一話がこんな長くなると思いませんでした。こんな長い文に最後まで付き合っていただいた方々には本当に感謝、感謝です。
 我が儘かもしれませんが、最後までお付き合い頂いた方々にもう一つ、お願いがあります。読んだ感想を教えていただけませんでしょうか?キャラ叩きはオリキャラも小説の中のポケモンキャラでも黙って受けます。私が未熟な証拠ですから、キャラ叩きは。
 それでは、また!
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