正義の味方VS悪の組織
作者: 神田 凪   2010年09月05日(日) 14時50分48秒公開   ID:Fpk3UqE6X6I










「では、まぁ、とりあえず、全員正座で








正義の味方VS悪の組織








どうも皆さん、私はしがない一般庶民です。
ええ、ドラマとかでそこら辺を通っているであろう通行人Aのはずなんです。

そして目の前の人物達を見るに、私の本当の立ち位置は逃げまどう人々の中にいるべきなのでしょうが、我慢できないので通行人Aから主役に名乗り出ます。

さて、私の他の登場人物は
目の前のなんか5色の衣装をそれぞれ身に纏った5人と、怪しげな黒の衣装を着ている男とその部下らしき怪人っぽい奴ら。


「えー、っとその、あの、」

沈黙に耐えきれなくなったのか、5色人間の青色が口を開いた。
そして、目の先のつまり私の背後を見て呟いた。


「貴女の・・・?」

「ええ、そうですとも。私の家ですが何か?」




見事に潰れていますけど何か?



「あのですね。はしゃぐのも大いに結構ですよ。でもですね、はしゃぐならはしゃぐなりに礼儀ってものがあるでしょ。分かります?」

「あの、はしゃいでいたわけではなくて、我々は地球征服が目標で・・・」

「怪人は黙っとけ!」

「はいっ」


ピシッと背筋をのばした怪人一号(他6号までいる)


「毎回毎回、うるさい騒音にもこちとら心優しく許してきたつもりでしたよ?何か時々大きくなって格闘ごっこしてましたけど、警察にも訴えもせず見守っていましたよ?でもですね、人には限界というものがあるのですよ」

「それは、本当にすいません。はい」

「見たところ若い方達ですから、人に迷惑をかけたくなる年頃なのかもしれませんが、そんな優しい人達に甘えてばかりいてはダメでしょ」

「貴女も若いと思われますが・・・」

「はい。今年で23ですけど何か?」

「いえ、何でもありません」



うむ。先ほどからこの青色さんばかりと話している気がする。
ここは上の人が下の責任を取らなくてはいけないだろう。



「ところで、リーダーはどなたですか?」



その場にいた全員がそれぞれ、赤色さんと黒色の男を指差した。


「初めまして。私はあなた達に壊されたアパートの住人その1の者です。家は一般家庭なのでここの格安家賃にはすごく助けられていました。大家さんも優しい方だったし、お隣さんもおみやげを毎回くださる気の利いた方でした。幸せとはいかないまでも、それなりに良い生活をしていましたがあなた達の変な道具のせいで木っ端微塵になってしまいました。ああ、私ばかりがすいません。あなた達の自己紹介を聞いてもいいですか?」


にっこりと笑顔が基本の自己紹介を言うとリーダー二人はなぜか顔を青くした。
私は気が短い方なので早くしてもらいたい。



「赤色さん・・・?」

「うぇっ、はいっ! あの、俺ではなく私達は他の惑星からこの悪の組織を追ってきた正義の味方です」

「それはそれは、わざわざ遠いところからようこそおいでくださいました。で、どうして追ってきた正義の味方さんが私の家を壊すようなことになったのでしょうか」

「あ、と、それはこの悪の組織が・・・」

「おい、貴様! 我々のせいにするのか! 元はと言えばお前が宇宙大砲を撃つから、」

「それはお前達が何か悪さをしようとするから!」

「まだ我々は何もしてなかったぞ!」

「まだってことはするつもりだったんだろう!」




「・・・・・・ゴホン」




「「  っっっっっっっ!!   」」


「ああ、すいません風邪気味なもので

「・・・・・・」

「ところで、その悪の組織さん? あなたは?」

「ははは、はいっ! 我々は他の惑星から来て、この地球を征服したいと思っている悪の組織です」

「そうですか、誰しも夢を持つことは大事ですからね。ぜひ、叶えられるように頑張ってください」

「あ、と、はい! 頑張ります」

「ところで、私にも夢がありましてね。地方に住んで、農業をやりながらひっそりと暮らすという平凡な夢なんですけど」

「そ、それはいい夢ですね」

「そう言ってもらえると嬉しいです。でも、私って見れば分かるとおり人見知りでおとなしくて・・・」

「え・・・」

「何か?」

「い、いいえ、そうですね。か弱い女性ですもんね」

「はい。ですから厳しい農業に耐えられるか・・・」

「大丈夫です! 貴女なら大丈夫です!」

「ええ、図太・・・いえいえ、優しい貴女なら大丈夫です!」



なぜかリーダー二人は強く肯定してくれた。
応援してくれるなんて意外といい人なのかもしれない。




「ええっと、あっくんの組織さんでしたよね?」

「誰ですか、あっくんってものすごく個人的な組織じゃないですか。悪の組織です!」

「あと、正義まさよしの味方でしたっけ?」

「違いますっ、それ正義まさよし君限定の味方じゃないですかっ」

「えー、間違いやすいですし、もういっそそれでいいじゃないですか? 人に迷惑掛けて置いて断ろう何て思いませんよね?」

「はい、あっくんの組織です」

正義まさよし君の味方です! いつでも味方です」

「気に入ってもらえて嬉しいです。ところで、私、悪いことをしたら謝るべきだと思うんです。やっぱり誠意って行動しなきゃ伝わらないと思いません? 前置きが長くてすいません。つまり、何が言いたいかと言うと、







土下座しやがれ






「「「「「 すいませんでしたぁーーーー!!!!!! 」」」」」













正義の味方VS悪の組織VS一般市民?


勝者:一般市民


ちなみに賠償金はもちろん払ってくれますよね?
ええっこんなにですか?
え、何か?
いいえっ、はい! もちろん言い値で払います!










えんど







■作者からのメッセージ
長くてくだくだ。神田の得意技です。
大家さんとお隣さんは亡くなっていません。ただ、アパートが木っ端微塵になっただけです。正義の味方は悪の組織を倒すため選ばれた5人のエリートです。リーダーの赤は熱血で、青はクール・・・とかありきたりな設定。ほとんど他の色は話していませんが。悪の組織はいわゆる悪の組織。覚えておきやがれっで去る感じの。

一般市民さんは、フリーターです。バイトでお金を稼ぎながら、実家(農家)の結婚して跡取りになってくれる男を捜しています。
意外と、赤さんと結婚しそうです。彼女がいる限り、あっくんの組織は手出しできないので、他の色さん達は喜んで赤さんを生け贄じゃなかったお婿に出します。
あっくんの組織はトラウマになって元の惑星に帰りたいと毎日泣いています。でも、宇宙船を売って賠償金を払ったので、帰れません。

コメントまで長くなりました。すいません。
それではここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。
字の間違いなどがありましたら教えてください。

■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集