ring-a-ring V
作者: ルーク   2010年07月25日(日) 10時16分08秒公開   ID:UIAOiqYuVxY
屋敷に入った直後、この屋敷の主である叔父さまが出迎えてくれた。
父さまによく似た顔がにっこり笑う。
「エイク!久しぶりだなぁ」
その顔を見て、自然と私の顔もほころぶ。
「わあ、叔父さま、お久しぶりです。お元気そうでなによりです!」
叔父さまは私の頭をポンポンとなでると、私の半歩後ろに下がっていたレイルに言った。
「レイル、ご苦労だったな。エイクを部屋で休ませてやりなさい」
「は、はい」
と言って後ろを向いたレイルに、叔父さまは、ああ、忘れていた、と彼を呼びとめた。

「エイク、お前の付き人にレイルを使ってくれ」



……、え?
レイルを、私の付き人に??

後ろを見ると、レイルの口はぽかんとあいていた。
多分、私の口も同じくらいあいていたのではないだろうか。
「どうかな、エイク?」
そうだ、私の問いかけられているんだった。

「…レイルがいいのなら、私はそれを望みます」
レイルはどう?と目で尋ねると、一瞬目を伏せたレイルはすぐにまっすぐにこちらを見て、
「はい、よろこんで」
と立膝をついて右手を胸に持ってきた。

ちょっと、ドキッとした。

叔父さまはよし、と手をたたいた。
「じゃあ、行って来い」



「エイク様、本当によかったのですか?」
「え、あ、うん……」
「…?どうかなされましたか?」
「あのさ、レイル」
「はい」

実は、さっきから気になるんだけど。

「敬語、……使っちゃダメ」
「えっ?」

レイルのきれいな瞳が大きく見開かれた。
「え、あ、う、その」
しどろもどろになってしまっている。純粋にどうしたらいいのか分からないんだろうな。

「私ね、小さいころから敬語ばっかり使う大人に囲まれて暮らしてたんだ。私だって、学校に行って同年代の子供たちとタメ口で話したかったのに、それが許されなかったのね。だから、決めたの。レイルは、私と同年代だもの、敬語を使わないでちょうだい。私のことも、エイクって呼んで。様とかやだよ」

ただ、離れて行ってしまうのがいやなの。
そう思ってうつむいていると、不意に右手をとられた。
「え、何?」
見ると、レイルが人差し指に紫色の意思がはめ込まれた指輪がはめられている。

「約束。これ、俺のと一緒の指輪なんだ」
敬語でなくなっている。ちょっと嬉しかった。
「俺、ずっとそばにいるから。俺が友達になってやる」
そういった直後、急に恥ずかしくなったのか、レイルが顔を赤らめて下を向いた。

「うん、約束」
…この指輪に誓うよ。
              [続く]
■作者からのメッセージ
3話です!

だいぶぎこちなくなってきたレイルににやにやな作者ですが。
最近1、2話の読者が増えてうれしいっ(*^_^*)

ご指摘お待ちしております♪
次回をお楽しみに♪

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