だうと=とらべる (1)
作者: キノコーボ   2010年06月20日(日) 18時20分28秒公開   ID:m5M8TG0eh.A


少女レインの記憶の中の最初の1ページは、


農業を営む小さい村《ファルドー農園》の総合台所から聞こえる料理の音。


そしてレインにとって一番欠かせない存在、ルーシーだった。


ルーシーはレインの《おば》のような存在であり、育て親だ。


レインはいつものように台所に忍び込む。


そしていつものようにお菓子を盗み食いしてくるのだ。


そしてルーシーに見つかり、怒られそうになったレインは笑顔でルーシーに抱きつく。


それがレイン(5)の記憶・・・。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


少し大きくなり、8歳になったレインは台所に忍び込むのが巧みになっていた。


ルーシーも3/1は見つけられないほどだった。


そしてファルドー農園に来客が来た。


金髪で緑色の瞳の男だった。


どことなく高貴な服をまとっている。


ルーシーは誰よりも早く迎えに行く。


「何で来たのよ、老いぼれ。」


第一声がコレ。


男はよく通る声で答える。


「老いぼれって・・・。俺っちは全然老いてるように見えないよね〜?」


男はレインに振る。


もちろんレインは何とも言えずに・・・。


「・・・ぅん?」


すると男は、


「あーっはっはっはっはっは!」


笑い出した。


レインは動揺する。


そしてその笑い声を遥かに超え、聞こえたのは・・・。


「うざい。老いぼれ。」


ルーシーは氷のような目線を送る。


男は困ったように顔をそらした。


「・・・・・。」


レインは2人の微妙な関係に蟠りを感じた。





■作者からのメッセージ
作者からのメッセージはありません。

■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集