だうと=とらべる (前置き)
作者: キノコーボ   2010年06月17日(木) 21時16分03秒公開   ID:m5M8TG0eh.A


アルダーは触れ合ったことのない人間の子どもを見て、動揺した。


人間の子どもはすごく綺麗な目をしている。


まだ邪なものなど何も知らない純粋な瞳。


アルダーはそのすべてに惹かれていった。



子どもの服装は何日も同じ服装のままだったらしい。


所々破れている。


アルダーが優しく子どもの頬を触ると


子どもはニッコリ笑った。


アルダーはその子どもを自分の弟子にした。


その子どもは純粋に言われたことを吸収していくため、教育が楽だった。


そしてアルダーはその子どもの教育期間は周りの時間を止めた。


アルダーはその子どもに永遠の寿命を与えたのである。



そして10年後。


一人前になった弟子に名前を授けた。


その名を《エルシェリー》。



弟子も増やした。


エルゼダー。

エルオール。

エルジャ。

エルマルス。


みんなすくすくと成長していった。




ところがある日、エルゼダーがアルダーの元を出て行った。


エルゼダーは危ない好奇心を持っており、自己中心的だった。


アルダーは引き止めることを止めた。


あいつの人生だ。


そう思いながら・・・。




アルダーはある時、子どもの心臓ぐらいの大きさの石を拾う。


そして力を込めると、それは白い炎をまとった魔石となった。


人々は絶大な力を持つ魔石を《アルダーの珠》と呼んだ。


残虐で美しい神 トラクはその珠を奪いたくなった。


そして・・・。




「アルダーさん。それを我にくだされ。我はその珠の力で、この世界を平和な世界にしてあげよう。」


アルダーは眉をひそめる。


「だめだ。きっとお前は一週間も経たないうちに、その計画を違うものに変えるだろう。お前は欲深い。欲深いが故に美しい。だが心は醜い。俺はお前にこの珠は渡さん。」


トラクは怒りに体を震わせる。


「あなたはわかっていない。」


「何をだ?」


「アルダーさんは自分の力を珠に送ってしまった。つまり、今この場で有利にあるのは我だ!」


トラクはアルダーに飛びかかり、珠を無理やり奪った。


そしてアルダーの視線の先にはトラクの後ろに控える見覚えのある姿・・・。



「エルゼダー・・・・・。」





エルゼダーは笑っていた。


「師匠・・・いや、アルダー。あんたはトラクに負けた。その事実だけで十分かな?俺がトラクに寝返る理由は。」


「エルゼダー・・・、貴様・・・・・・。」


「おっと、アルダー。俺はエルゼダーじゃないぜ。第一、俺はあんたの弟子を止めた。だからあんたの付けた名前は使わない。今度から俺は《ゼダー》だ。」



「ゼダー・・・・?」




そしてエルゼダー・・・ゼダーはトラクの後に付いていった。


取り残されたアルダーはそのまま絶望のまま目を閉じた。







気を失ったアルダーはエルシェリーによって見つけられた。


見つかったのはゼダーが行ってしまった2時間後だった。



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