狂物語>本編7>シリアス・ボーイ
作者: ハル  [Home]   2010年05月18日(火) 22時20分48秒公開   ID:m5M8TG0eh.A



「奴らの種族名、知ってるか?」


任務を終えたダリア達は隊長室に連れてこられた。

そして聞かれる。


「・・・?いいえ。」


ダリアはハテナ丸出しでリリにフォローを求めた。

リリは一つ咳払いをする。


「ドールは恵みの精霊ドリュアドって言って、最高齢樹の木に住むといわれる種族の末裔なの。今は精霊なんて意味、なくなっちゃってね・・・。彼らも大変なんだろうけど、やっぱり争いは嫌だよね・・・・。」


リリの表情は暗くなった。


「とにかくっ!」


ジルはダリアを一瞥する。


「お前達は重要な職務に着いたんだ。ちゃんとがんばれよ。それに近いうちに恵みの精霊ドリュアドと戦争になるかもしれないからな。」


戦争・・・。


その言葉にダリアは強く胸を打ち抜かれるようだった。








「あの・・・。」


ダリアは隊長室を出た廊下でリリに話しかけた。


「なーに?」


「ジル隊長って、ずいぶんシリアスな方だと思いませんか?」


「あー・・・。」


リリは考え込む。


「そうね・・・。そうだけど、結構明るいわよ?冗談も言う人だし。」


「それは知ってるんですけど・・・。心の中は冷めきってるようで・・・。」


「・・・あまり気にしないほうがいいんじゃない?」


「そうですね・・・。」


廊下が暗い雰囲気になった。







次の朝。

ダリアの部屋を誰かがノックする。


「ダリア君!私よ!私!」


「リリさん!?」


ただいまの時間 5:20


(眠い・・・。)


「どうしたんです?」


ダリアはドアを開ける。

そこにはリリが満足そうな笑みで立っていた。


「昨日、ダリア君。ジル隊長が冷めきった人だって言ってたわよね?」


ダリアは一回周りを見回す。


「そうですけど・・・。」


「だったら自分の目で確かめてみる?今は丁度いいところよ。」


リリはウィンクした。






「今日はもう休め。今帰ってきたばかりだろ?」


「大丈夫よ。ちょっと仕事したら寝るつもり。きっとあなた、仕事ためてるでしょうから。」


「はは。その通りだけど、あんまりそこは突いてほしくないな・・・。」


「じゃあ早速やるね。」


「いや、これは俺の責任だ。お前は寝てろ。」


「いえ、大丈夫!」


「大丈夫じゃない!」






「見て!あのラブラブっぷり!」


「・・・・!!」


先ほどからジルと話をしている女性はとても美人で可憐な人だった。

黄土色の艶やかな長い髪が特徴的だった。


「あの・・・・・。彼女ですか?」


「ん〜?・・・そうなのかな?そこはわかんないけど幼馴染みたいよ。」


「そ、それってラブロマンス的な設定じゃないですか!」


「そうね!でもそういうのは焦っちゃダメなのよ!私たちはただ・・・ただ!応援するの!」


「そうですよね!俺たちは・・・!」






「何してるの??」





綺麗な声がダリアの耳を通り過ぎる。


「なぜここにいる?ダリア。リリ。」


不機嫌そうなジルは静かに歩み寄る。


女性はダリアの顔を覗き込む。


「ジル〜、新入隊員?結構元気そうな子ね。リリがお世話役?」


「はいっ!」


リリはいきなり姿勢が正しくなった。

リリはいささか嬉しそうである。

きっと憧れなのだろう。


「レイアさん、帰ってくるの早いですね。」


「まーね!がんばったんだ〜!すごいっしょ!」


レイアと呼ばれた美しい女性はピースサインをする。


「それより、よろしくね!新入隊員さん。え〜っと・・・。」


「ダリアです。」


「ダリア君!私は副隊長のレイア・デュナミス!」


レイアが手を差し伸べるのでダリアも手を伸ばし、握手する。



(今、何と?)


副隊長と言った。



「以外でしょ?」


リリは耳打ちしてきた。


「・・・はい。」


ボソッとダリアは一言。





「ってなわけで、お前らはまだ寝ろ!まだ5:30だぞ!」


ジルの怒声が響く中、レイアはただクスクスと笑っていた。


「やっぱり軍のこういう雰囲気が一番!楽しいもの!」


レイアはすごくハイテンションだった。






「ね!結構シャイで優しくておもしろい人でしょ!?」


「はい。びっくりしました。あんな一面があるんですね。」


リリとダリアは廊下で雑談をした。

もちろん眠れるはずもなく・・・・・・・。



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