ジュエルプリンセスMiracle 第1話 転校生はカムバック&1年生!?
作者: 夏姫 みの   2010年01月01日(金) 20時57分57秒公開   ID:bkWoewa3Plc
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それは寒い日に行われる3学期の始業式の日のことだ。


「行ってきまーす」


薄い青のマフラーをした少女は、元気よく家を飛び出していった。
 少女は草柳 叶氣くさやなぎ かなき。茶髪に青い瞳の中学2年生の女の子。実は叶氣は宝石の姫様――ジュエルプリンセスだ。生徒会の話を聞くと本当に叶氣は姫様だった。詳しくはまだ不明だ。
 そんなことを言われて1年経った今は、少しずつ本人も自覚してきたそうだ。

「おはよ、叶氣。初詣ぶりだな」
「陽! お、おはよ。後、いつものことだけど恥ずかしいから離して……」

 黒髪で赤い瞳の少年が叶氣を後ろから抱きしめる。彼の名は日向 陽ひなた よう。中学3年生の生徒会副会長だ。女子にもよくモテているが、叶氣一筋。

「だって寒いもん。それに比べて叶氣は温かいけど、体温高いの?」
「まあ朝ごはん食べたばっかりだし。体温は高いと思うけど。手袋だったら貸すよ?」
「いいの?」
「うん」


(皆の前でベッタリされるよりは、数千億倍いい)

と叶氣は思った。そして、陽に手袋を貸した。

「温かい」
「さっきまでしてたからだよ」
「ありがとう、叶氣」
「どういたしまして」

と会話してる時

「あっ。空上姉弟そらかみきょうだいだ! 桃奈ちゃーんっ! 有紀くーんっ!!」

桃奈はそれに気づき、笑顔で叶氣の元へ駆け寄る。有紀も同じく駆け寄る。

「あら、姫様プリンセス!! と日向くん。おはようございますですわ」
オレはついでかよ。とりあえず桃奈と有紀、おはよ」
「おはよー。桃奈ちゃん、有紀くん」
「おはようございます」

 桃奈とは空上 桃奈そらかみ ももな。陽と同じ中学3年生で生徒会副会長の女子だ。こちらも男子にはモテる。ちなみに「肉食系女子」と最近では騒がれているご様子。
 そして、有紀は空上 有紀そらかみ ゆうき。叶氣と同じく中学2年生で、生徒会の書記を担当している。男の子だが可愛い外見で、年上の女子から人気がある。
 それぞれ挨拶をし終わった後、4人はおしゃべりしながら校門へ行く。

「そういや今日、うちのクラスに1人と1年生に転校生が来るらしいですよ?
「えっ?!」

有紀の言葉に皆驚く。

「どんな子?」
「2人とも綺麗な銀髪で2年生は男子、1年生は女子が転校生とのことらしいです。先生におねだりして聞きだしてきました」
「おねだりって、お色気作戦のことか?
「はい♪」

 お色気作戦とは!! 生徒会なら誰でも使えるスキル的なもの。相手を誘惑させ、一時油断を相手がしたスキに情報を聞き出すことであーる。誰でも出来そうだが、強烈なのは桃奈、有紀、陽だ。特に有紀のウルウル攻撃は、誰でも必ずスキを見せる(女子や女の人限定だが、叶氣・桃奈には効かない)。

「担任が女の先生なんで、ウルウル攻撃したら教えてくれました☆」
「有紀くん、なんかちょっと内心が……ぐ、グロい……」

有紀は黒笑顔を浮かばせながら言い、叶氣はおびえながら言う。

「ですが、楽しみですわね。新しい転校生」
「そうだな」
「うん」

 でも叶氣はどこか引っかかった。転校生が「銀髪」ということだ。銀髪はどこかで見たことのあるような人で、最近会った人とと思ったのだ。だが、思い出さずのまま話は進んでいく。

「転校生ジュエリーチェンジとか使えたら、即生徒会だな」
「そうですわね。もし使えるとしたなら、試験相手は私がやりますわ
「えっ?! も、桃奈ちゃんが?!」

叶氣は驚く。

「だって、久々のジュエリーチェンジでスカッとさせたいじゃない。最近してなかったんですしね。……それとも姫様がやります?」
「へっ?! 私はやらないっ!!」
「じゃあ、桃奈。頼んだぞ」
「ええ」

桃奈は元気よく返事する。そろそろ学校だ。

「じゃあ、したくの後は生徒会室だね」
「ああ。どんな子か楽しみだ」
「本当ですね」


叶氣たちは下駄箱でバラバラになり、そしてしたくをし、生徒会室へ向かった。























「お兄ちゃん」
「何?」


少女と少年が生徒会室へ向かっていた。

「なんかドキドキしない? こう……新しい学校って」
「別に」
「えーっ。そうなの? お兄ちゃんは、すぐ慣れるもんね。いいな、なんかそんなの」
「そう?」

 仲のいい兄妹だ。楽しく話をしながら生徒会室へ向かっている。他の人からは、まるで「彼氏と彼女」ように見えるのだろう。

「ついた」
「ここ!? すごーい、大きい扉。この中学校に、こんな所があったなんて、知らなかった!!」
「入るよ」
「うんっ!!」



ガチャリ……。
















「えっ?!」












一足先についていた叶氣かなきたちも、その兄妹も驚いていた。














「ななななななんで、しゅうくんがここに?!」
「嘘だろ……?」
「ええっ?!」
「どうしてですの?!」


叶氣たちは驚く。








転校生――……それは秀だったからだ。








 秀とは五十嵐 秀いがらし しゅうだ。秀は1学期の間、叶氣達の学校の生徒会 書記をやっていたのだ(詳しくはジュエルプリンセス ShinigやLA番外編をご参照ください)。夏休み中にロスへ転勤したのだが今、目の前にいるのだ。


「あの、えと、話が見えないんですけど……」



もう一人の銀髪の少女が言う。叶氣たちは、その言葉ではっとした。

「詩羽、この人たちは僕がお世話になった生徒会の皆さん」
「へぇーっ、どうも。自己紹介いいですか?」
「は、はい」

叶氣は返事をする。

「今日から1-Bに入ります。五十嵐 詩羽いがらし しうです。秀は、あたしのお兄ちゃん」
「ええっ?! そうでしたの?! てっきり彼女かと」

桃奈ももなは言う。

「よく間違われるから大丈夫! けど、お兄ちゃんだからね。よろしくお願いします!」

詩羽しうという少女はペコッと頭をさげる。

「詩羽ちゃんは初めまして。そして秀くんは久しぶり。私は草柳 叶氣。この生徒会の会長を勤めています。そして……宝石の姫様ジュエルプリンセス。よろしくね!」
「はいっ!!!! 初めて会う気がしないけど、本物のジュエルプリンセスだぁ!!! よろしくねっ!!」
「う、うん」

 詩羽は叶氣の手をブンブン振り回して握手する。叶氣よりも年下なのに、タメ口だ。

「初めまして。オレは日向 陽。生徒会副会長だ。よろしく」
「よろしくおねがいします! 日向先輩!!」

詩羽は普通の握手をする。こんどは手を振り回さなかった。

「詩羽さん、初めまして。空上 桃奈です。生徒会副会長の女子ですわ。よろしくおねがいします」
「桃奈先輩ですね! よろしくおねがいします!!」

詩羽は桃奈と握手する。

「詩羽さん、初めまして。空上 有紀です。生徒会書記を担当させていただいてます。空上 有紀です。よろしくお願いします」
「これはこれはご丁寧に。有紀先輩、よろしくお願いします」

詩羽は有紀と握手をする。

「詩羽、どう?」
「いい先輩さんたちで、これなら馴染めそう!」

詩羽は瞳を輝かせて言う。

「よかったね。詩羽ちゃん」
「うん♪ 姫様プリンセスって呼ぶね? お兄ちゃんも呼んでるし」
「わかった。……生徒会室を少し探索していってね。ここが生徒会室だから」
「はい! 姫様!!」

詩羽は元気よく返事をし、生徒会室を見回ってる。

「……あんな詩羽、僕は見たこと無かった」
「えっ?」

叶氣たちは驚く。

「詩羽は体が弱くて僕が日本にいる間、詩羽はLAにいたんだ」
「で、でも、LAは生徒会皆で冬休みに秀くんの家に行きましたけど、いなかったですよね?」

有紀が言う。

「確かにいなかった。理由は、病気でおばあちゃんの家に元々預けられてたから
「そうだったんですの……」

桃奈は悲しげな顔をする。秀は話を続ける。

「でも、最近の詩羽は調子が良くなってる。そして外出も禁止されてたのが出来るようになって。詩羽、日本の学校に行くのがすごい楽しみだったらしい」
「そうですか」


(だからあんなに瞳がキラキラしている。まるで一つの宝石みたいな感じに)

叶氣は詩羽を見て思った。

「だから、今回はめいっぱい外の景色を楽しんでほしい。勉強も頑張ってほしい。友達も沢山作ってほしい。お父さん、お母さんも言ってる」
「へぇ……」

叶氣は詩羽を見たまま言う。

「お兄ちゃん! もう時間だよ!! 始業式だから早く行かなきゃ!!」
「わかった。じゃあ始業式が終わった後、またこの場所で」
「ああ。わかった」


ようは返事をする。皆もうなずく。




そして五十嵐兄妹いがらしきょうだいは生徒会室を出て行った。






⇒To Be Continued...

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