ジュエルプリンセスFlash 第13話 空上姉弟の真実
作者: 夏姫 みの   2009年12月27日(日) 20時48分57秒公開   ID:bkWoewa3Plc
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「結構大変だね。この作業」
「そうですわね。毎年恒例ですが、流石に全部の決まりを見直すのもやっとですわ」

生徒会女性軍はクタクタだ。

「大体こんな感じだろ。これ、プリントになって全校生徒に配られるから、変なところはキチンと直さないとな」
「そうですね。あ、姉さん。漢字間違って無いですか?」

有紀は赤のボールペンで加筆修正したプリントを桃奈に見せる。

「私、国語より英語なんですけど。とりあえず……大丈夫ですわ」
「よかったです」



――前に、桃奈ちゃんの事件があって「争い」が酷かったけど、でも今は……あの2人、すごく仲が良くなってる。







平和だったら、こんな感じだったのかな?







私たちは「未来人」。でも








未来から来てない、普通の……普通の人間だったら?







そしたら、こんなことは無かった? 今までのことは全て「嘘」になっていた?








私が宝石の姫様では無かったら








皆を巻き込まないでよかったの?









1年前の……消滅の時だって、皆を巻き込んだ。











また巻き込むの? 皆を?





















それが……運命なの?









「…き……かな…き……叶氣!!」
「ふぇっ?!」

「どうしたんだ? ぼーっとして」
「何でもな…い……!!」


陽が言った時、叶氣は気が付いた。そして、あの夢とあの言葉を思い出した。









「2人は番人さん。でも、まだその状況じゃ話してないみたいね。自分が過去と未来の扉の番人さんだってことを」










 桃奈と有紀、実は二人は過去と未来の扉の番人だ。叶氣は、それを本人の口から話して欲しかった。本当に「番人さん」なのか。


「あの…桃奈ちゃんと有紀くん」
「何でしょう?」
「何でしょうか?」

ほぼ同時に桃奈と有紀は言う。流石は姉弟…と感心してる場合じゃない。




「あの。2人って、本当に番人さんなの……?」




「番人…って?」


桃奈が叶氣に聞き返す。陽と有紀は驚いていた。

「えと…桃奈ちゃんは「過去の扉の番人さん」で有紀くんが「未来の扉の番人さん」……でしょ?」


(……姉さん、どうします?)
(構わないわ。そして……この日を私は待ってたのですから)
(そうですか。なら、本当のことを姫様に話しましょう)


 空上姉弟の特有のテレパシーだ。桃奈と有紀はどんなに遠くても、離れていても強く思えば心で話すことが出来る。

「……どこで私達の正体を知ったんです?」
「未来の私に不思議な夢で会ったの。その人のヒントから……私がいつの間にか当ててしまって……」

叶氣は言った。陽は驚いた。

「当たってたか……かなの言っていたことは。会ったんだな、夢で」
「叶さんが?」

 叶……もっと過去の叶氣のことだ。「今」にタイムスリップする前に私は「草柳 叶」と名乗っていたのだ。未来と過去でややこしいが、名前で区別がつける。

「オレも叶氣と同じような夢見て。それは叶と会った夢だった。それで、叶が予想をしてた」

「それが……当たったんだ」
「そうだな」

叶氣と陽の会話が終わった時、有紀が切り出した。

「話を戻しますけど……そうですか。――確かに、姫様プリンセスがおっしゃる通りに、僕たちの正体は「過去と未来の扉の番人」です。姉さんが「過去の扉」を担当し、僕が「未来の扉」を担当してます。今でも、過去でも……

有紀が言うと、桃奈も口を開いた。

「ごめんなさい、姫様。本当は貴方と「今」というこの世界で出会った時から、お話しようとしてましたわ。でもね、その時の私達は思ったの。








『姫様は姫様という自覚が無い』









と。有理ゆうりさんという少女と同じく、過去の時の記憶を無くしてしまっているんだと気づいたのですわ。言いたくても言えない。そんな毎日でした。それから、もう1年。でも、やっぱり姫様は自覚して無い感じがしてましたの」


(有紀、お願い)
(わかりました)


「それで僕たちは言えなかった。そしていつか、この正体が姫様に知られたら言おうと決めてたんです。だからずっと……言い出せなかったんです」


 叶氣と陽は驚いた。陽は空上姉弟の正体を知っていた。だが、叶氣に言うのは迷っていた……というのが陽にとっては驚いていた。









――自分も、同じだからだ。









桃奈は涙であふれていた。そして


「でも、こうしてお話が出来てスッキリしました。ずっと……ずっと言いたかったので。この話を…嫌な顔一つもせずに聞いてくれて、ありがとうございました」


と桃奈は言い、涙を流す。有紀も微笑んでうなずく。





「ううん……本当のことを話してくれて、ありがとう」





叶氣は笑顔で言う。そして、泣いている桃奈の頭をなでた。


























飛行機内にて、また新たな物語が始まろうとしていた。







「結局、日本に戻ることになったの?」
「そうらしい」
「パパの転勤はヒドイよね。まあ、いつものことだけど。どう思う? お兄ちゃん」
「仕方が無いこと」
「お兄ちゃんは慣れたんだよねぇ。たぶん。だから耐えられるのかな」
「……別に」




『Attention please. This airplane lands at Sakuragaoka International Airport soon』
(アテンションプリーズ。この飛行機はまもなく、桜丘国際空港に着陸いたします)





英語のアナウンスが流れる。

「ほら、もうすぐ着く。シートベルトしてる?」
「うん、してる。……楽しみだなあ。久々の日本!」
「そうだね」






……また、大切な人に会える……。







「なんだか嬉しそうだね。お兄ちゃん」
「……うん。






























大切な人に会えるから」
























「そっか。そんなに大切な人なのね」
「きっとビックリすると思う」


「うん! 楽しみ!!」


少女は笑みを見せた。




















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⇒To Be Continued...

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