〜Valentine Special〜異世界からの贈り物〜
作者: レイド   2010年01月20日(水) 01時58分41秒公開   ID:YynBrr2ofCI
今日は、二月十四日、世間ではバレンタインデーと呼ばれ
好きな男性に、チョコレートを渡す日なのである。
ここ、桜幸聖市(さくらこうせい)にある桜幸聖高校から
この物語が始まるのであった・・・。



「ねえ、涼」



帰り支度をしている涼に話しかけて来たのは、愛子であった。


「お前の言う事は大体解るから、答えはノーだ!」



「ええ?まだ何にも言ってないのに?涼ってエスパー?」


「大体解るんだよ、どうせ料理倶楽部でチョコレートケーキ作るから
俺にあげるから、貰ってくれないとかだろ!」



「よく解ったわねwじゃあ話は早いね?涼
チョコレートケーキを食べてくれない〜?w」



「だ・か・ら、答えはノーっと言ったろ!俺は、帰るからな!」

「今日は、バレンタインか・・・何するかな?」

そう呟いたのは、金髪で不良でもある。
祥太であった。

「確か、去年は、あいつらと宴会騒ぎしてたな・・・
今年は、あいつら遠くに爆走しに行ったしどうするかな?」


そう言っていると、祥太に話しかけてくる者がいた。


「あら・・・何か考え事・・・?」

そう言ったのは、同じクラスの美梨亜であった。

「ああ、ちょっとな、お前こそ俺に何の用だ?」



祥太は、美梨亜に聞く事にする
美梨亜は、不気味に笑いながら言うのであった。



「実はね・・・?貴方にこれをあげる・・・」

「あ?」



美梨亜は、祥太にハート型の茶色い物体を渡す
見た目は、チョコレートに見えた。


「お、俺にこれを!?」

「そう・・・、まあ食べてみて・・・」



「あ、ああ・・・」

(なんか企んでるのか?こいつ・・・逆らわないようにしなきゃ命がもたないからな・・・)



祥太は、恐怖を感じながらその、茶色い物体を食べた。


「あれ・・・これ、美味いな」


「当たり前よ・・・一生懸命作ったんだから・・・」

(もしかして、こいつ俺に好意を持って?まさかな・・・)



祥太が、そう思って食べていると
途中で、少し変な気分になっていくのを感じたのであった。


「お、おい!なんかお前が二人に見えるんだが?気のせいか?」



祥太は、周りが不思議に見えた
美梨亜が二人に見えたり、空が赤かったり
周りの景色が変に見えていた。

「あら・・・どうやらきいてきたようね・・・」

「一体、俺に何を食わせた!」

「実はね・・・それは、”幻覚剤”と言ってネットオークションで売ってたから
買ってみたの・・・それで、誰かに試したくて
今日はバレンタインデーでしょ・・・だから
貴方にあげてみたの・・・チョコの中にいれてね・・・どうお味は?」

「美味かったけど、気分は最悪だ!ふざけんな!」



祥太は、美梨亜に殴りかかろうとする
幻覚が見えているので、上手く当たらなかった。

「て、てめえ・・・覚えてろよ・・・・」

祥太は、気分が悪くなって気絶した。

「あら・・・どうやら量を多くしちゃったみたいね・・・
まあ、死にはしないと思うから、大丈夫でしょ・・・うふふふ・・・」



美梨亜は、怪しい笑いを浮かべた後、祥太を保健室に連れて行くのであった。
ところかわってバレンタイン前日
愛子は、学校が終わって、帰り道。
部活の帰り、愛子は近くの河原で一人の少女を見つけて
話しかけたのであった。

「ちょっと?大丈夫?」


「は、はい・・・何とか・・・ここはサマノトリア大陸ですか?」

「え?サマノトリア大陸?」



愛子は、知らない大陸を言ったので、驚く。
まあ無理もない、彼女はそれを言った後、こう言ったのであった。

「ここが何所だか解りませんが、私の名はティア・ファルエース
サマノトリア王国からやってきました、貴方は?」

「私は、香崎愛子よ?貴方は異国の人?智亜ちゃん?」


「貴方にとっては、そうかも知れないですね?
あの?私はティアで・・・智亜では・・・」


「あれ〜?香崎さん?こんな所で何をしているの〜?」

愛子の所にやってきたのは、哲弥と祥太であった。

「香崎・・・そいつ・・・誰だ?なんか・・・・可愛い顔をしているな・・・」

「この子?この子は異国から来た少女、智亜ちゃんよ〜」

「だから、・・・私はティア・ファルエース・・・」

「どっちが本当の名前か知らないけど
僕は智亜ちゃんって呼ぶ事にするね?いいかな?智亜ちゃん?」



哲弥は、笑顔100%でティアに言う
ティアは、ちょっと照れて。

「は、はい・・・あの・・・お名前はなんというのですか・・・?」


「僕?僕は柏木哲弥、香崎さんと同じクラスだよ〜、よろしくね」


「俺は、倉田祥太、よろしくな?ティアちゃん」



祥太は、勝手に名乗っていた。


「ねえ、異世界から来たってほんと?」



「うん、見てて」



ティアは、落ちている空き缶を見つけると
指先を空き缶に向けてこう言った。

「指先からビィィムっっっ!」



すると、手からまばゆい光の光線が発射される。
それを見た祥太は、マジで驚いた。

「う、うわ!なんだ!ゆ、ゆゆゆゆ指先からビームがぁぁっ!?」


「す、すっごい!智亜ちゃんてそんな特技があったんだ〜w」

愛子は、目を輝かせて言っている。

(おい・・・愛子、そのリアクションはどう考えたっておかしいだろ・・・)


祥太は、そう思っているのであった。

「どう?あなたの世界にはこんな子いる?」

(すげぇ・・・可愛いしつ強えぇ・・・!)

「そう言えば、智亜ちゃんは何所から来たの〜?」

「解らないです、でも、誰かに誘われた気がして・・・」

「そっかぁ〜、でも智亜ちゃんはラッキーだよ♪明日は、バレンタインだし?」

「・・・バレン隊?・・・」

「まぁいっか!私が智亜ちゃんをなんとかするね?さっ行こ」

愛子は、強引にティアを連れて帰った。
その強引さに、さすがの哲弥も少し驚いていた。
次の日、放課後

「愛子〜哲弥さん、何所にいるか知ってる〜?
私、いろいろ探したけど見つからなくて・・・」

たった一日でティアは愛子と親密になっていた。


「哲弥君?哲弥君なら・・・今日は、何所だっけ?涼?」

「確か、園芸部に所属していたからな、学校にいるんじゃないか?
それにしても、智亜・・・だっけ?、哲弥に何か用があるのか?」



涼は、気になったので聞いてみる事にした。

「あの・・・今日は、バレンタインと聞きましたので調べてみたら
好意を抱いている異性にチョコレートと言う物をあげるみたいじゃないですか・・・だから、哲弥さんにあげようと・・・」

「そっか、じゃあ、学校まで案内するよ?
智亜ちゃん、涼はちょっとここで待ってて〜♪」



「解ったよ・・・」

「さあ行こっか?智亜ちゃん」


「うん、ありがとうね、愛子」

こうして、愛子とティアは、哲弥を探しに行く事にしたのであった。
学校の中庭に、哲弥がいた。
哲弥は、今育てている巨大ヘチマを育てているのであった。

「今日も元気だね、どんどん大きくなってね〜」


そう言ってるが、今でも十分に大きい
1メートル以上は超えていると、推測される。

「あ、いたいた哲弥君〜」


哲弥が世話しているヘチマの花壇の場所に
愛子とティアが、やって来たのであった。

「あ、愛子さん〜どうしたの?僕に何か用?」

「私じゃなくて、智亜ちゃんが用があるの」


「こ、こんにちは・・・哲弥さん・・・」

「君は・・・智亜ちゃんだね?僕に何か用かな?」


哲弥は、智亜にそう言う。
ティアは、顔を赤くしてこう言ったのであった。
ちなみに、その場に愛子はいない。


「あの!今日は、バレンタインと聞いたのでどうぞ!」

ティアは、チョコレートを哲弥に渡す。


「あ、ありがとう、遠慮なく頂くね」


実は、哲弥は雛乃からもチョコをもらっている。


「ありがとうございます!」


「智亜ちゃん、渡せてよかったね」


愛子は影から渡す瞬間を見届けて帰ってきた。

「うん」

「今は、ヘチマの手入れをしているから、あとでコレを頂くね?」

哲弥がそう言ったその時、中庭に誰かやって来るのであった。

「あれ・・・愛子ちゃん・・・こんな所で何してるの・・・」

やって来たのは、美梨亜であった。
手には相変わらず熊の人形ジョニーを持っていた。


「あ、美梨亜ちゃん、ちょっと智亜ちゃんの付き添いをしていたの」


愛子がそう言うと、智亜は小声で愛子に言うのであった。

「愛子さん・・・この人は何者ですか?尋常では無いオーラと
まがまがしい波動が見えるのですが・・・?」

「美梨亜ちゃん?美梨亜ちゃんは、私の大親友よ?」


「そうなの・・・」


ティアが、そう言うと美梨亜はこう言うのであった。

「そうだ・・・愛子ちゃん・・・、もうこの時間だし、一緒に帰りましょう・・・」

「ごめん!私はちょっと行くところがあるから、校門で待ってて!」


「解ったわ・・・じゃあ、後でね・・・」


「うん、ごめんね」

「私は、母国サマノトリアの帰り方を探すので図書室に行きますね!
愛子、あとで迎えに来て!」

「解った、智亜ちゃん」


「だから、私はティア・ファルエースだって〜〜〜〜」

その頃涼は、あまりに愛子が遅いので帰ろうとしていた。
たった今帰ってきた愛子は、悲しそうにこう言うのであった。

「かなり待たせちゃったけど・・・
せっかく涼の為に作ってあげようと思ったのに・・・
いらないんだ・・・」


「え?俺の為・・・?」


「涼が、受け取らなかったら課題が終わらないじゃない・・・」


「ちょっと愛子、聞きたい事があるんだが?」


「何?涼?」

涼は、愛子に聞いてみる事にしたのであった。

「課題って何だ?料理倶楽部に課題なんかあるのか?」


涼が、そう聞くと愛子はこう言うのであった。


「部長が、”異性の為に手料理を作ってあげなさい”て言ってたから
異性の涼に食べてもらわないと、課題が終わらないの・・・」

「だったら、他の奴に頼めばいいじゃないか?」

「一番仲が良いのは、涼だけだもん、だからお願い・・・」


愛子は、悲しそうに言う
涼は、それを見て断れなくなった。


「解った・・・食べてやるからそんな顔するなよ」



「ありがと、涼、じゃあ、早速作るから食べてね?
今日は、バレンタインだから、涼にチョコレートケーキを作ってあげるよ?」

「あ、うん、出来ればふつ〜の奴を頼むな・・・」


愛子は、笑顔で家庭科室に入るのであった少し後・・・


「はい、涼、出来たから食べてみて?」

「変な物はいれてないよな?」

「大丈夫だから、安心して食べて」

「解った・・・」



涼は、死にはしないな・・・と思い
覚悟を決めて、チョコレートケーキを口に含む。


「あれ・・・ちょっとおいしい・・・」

「本当?」


「ああ、本当だ、愛子にしては、上出来だな」


「ありがと、涼、これで課題クリアー!感謝するね?」

「あ、ああ」

その頃、祥太と美梨亜は・・・


「あのチョコ・・・大丈夫よね・・・?」


保健室にいる祥太は・・・


「う・・・うう、幻覚があ・・・・・ぐは・・・」


こうして、彼らの多彩多様なバレンタインデーは、幕を閉じた。
一人だけ不幸な人がいるけれど・・・

〜終〜
■作者からのメッセージ
はい、レイドです。このシリーズこれで完結としようと思います。
次からは、舞波ストーリーデイズとか他に新作でも書こうかな?と思います。

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