友のために麗羽は生きる(V)
作者: 美月   2010年01月07日(木) 20時12分38秒公開   ID:Ee3yYWMigJ6



今日から3日間、第6回生は外地体験(修学旅行)である

第5回生も山へキャンプに行く



「上、減ったー。(先輩がいなくなったので圧力が少しなくなるという意味)」

鈴風(りんか)は席に座りながら背伸びをする


「少しの間だけど、楽になるね〜。」


麗羽(れいう)も嬉しそうに背伸びをする



この世界、上下関係というものはすごく複雑なもので

信頼のある(陛下に忠誠のある)者が上になる

上の者に従わなければ、陛下を侮辱することに繋がるのだ



「久しぶりに庭に行かない?いつもは上が占領してて行きにくいじゃん。」

鈴風は親指を庭の見える窓へ向け笑う




「そうね〜・・・。うん、行こっか!」


麗羽は髪を結い直しながら頷いた








庭に着くと幸い誰もいなかった


日陰に行き弁当箱を開く



「落ち着くね〜。」


麗羽はくつろぐように腰を落とす


「本当〜。誰もいないとかってすごくラッキ〜。」


鈴風はさっそく卵焼きを口へ放り込む




「あ!」


麗羽は突然声を出す


「わあ!・・・何?何?」


麗羽は鈴風の弁当箱に残っている卵焼きを見つめる







「・・・やっぱり。卵の殻が入ってるわよ?」


「マジで!!!?」





見てみるとその通りだった


「全然気づかなかった〜。」

「急いでたの?そういえば今日学院に来る時間、少し遅かったね。」



鈴風は息をつく


「急いでたっていうか・・・、寝坊した・・・・?」



「何でそこに【?】が付くの?」






「第4回生はもう帰るだけだね。」


麗羽は教科書を整えカバンに入れながら言う



「いや〜、ホント楽だわ!」


鈴風は自分で肩を叩く



「あ、そういえば知ってる?」


鈴風は思い出したように麗羽を見る



「何のこと?」


麗羽は知らないことだった



「えーっとね〜、悪魔の噂。」



鈴風は真剣な顔を麗羽に近づける


「あ、悪魔?」


麗羽は多少弾くヒクヒクしながら聞き返す




「ある呪文を唱えてね〜、出てきた悪魔に願い事したら、それが叶うの!」


鈴風は得意げに言う



「え?それっていいじゃない。願いが叶うなんて・・・。」

「甘ぁぁぁぁあああい!!!!」



「えええぇぇぇぇえええええええ!?」



鈴風は怖い顔でもっと顔を近づける


「・・・悪魔にお願いすると、それなりの代償が必要なの!」


「だ、代償?」



鈴風は腕を組む


「・・・例えば魂とか。」


「命を取っちゃうの?」


「例えばよ。」



(怖いかも。でも噂よね?)



「でね、その悪魔に会っちゃった人は、悪魔を見るために必要な目を授かるから、瞳が赤くなるの。・・・まぁーっか(真っ赤)で血のような赤にね。」


「こ、怖い・・・・。」



麗羽は眉をひそめる


「やっぱり?」


鈴風は心配そうな顔をする


「話さない方がよかった?」



「・・・いえ。」




麗羽は首を振る



「・・・鈴風が怖いの。」



麗羽はガタガタ震えていた




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